田代尚機のチャイナ・リサーチ

中国の理財商品で問題再燃、株式市場への影響も懸念

 万科企業の王石会長はこの時点で、正式に「宝能が大株主になることを歓迎しない」と発言。安定株主(安邦財産保険、安邦人寿保険など)を引き込み、買占め阻止に動いた。その後、万科企業は企業リストラ案をめぐり華潤と衝突、華潤に宝能が加担したことで、リストラ案は廃案となっている。

 さらに、宝能は臨時株主総会を要求、王石会長以下7名の取締役の解任などを求めたものの、今度は華潤がこれに反対。実現に至らなかった。

 7月には万科企業は、宝能の違法行為に対して調査を求める報告書を証監会、深セン取引所などに提出。8月には恒大集団が買収に乗り出し、買収劇はさらに複雑になっている。11月29日の段階で、筆頭株主は宝能で25.4%、華潤が15.3%、恒大集団が14.1%を占めるといった状況である。

 問題となっているのは、宝能、恒大の資金源である。

 宝能は同社が実質的に支配する保険会社・前海人寿の名(ただし、商品カテゴリーごとに分別管理されているため、口座数は複数)で株式を取得している。恒大集団は傘下企業を通じて株式を取得したと発表している。詳細は不明だが、先週の当局の動きからすれば、傘下の恒大人寿が関連しているとみられる。

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