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【注目トピックス 日本株】メディシノバ Research Memo(3):中核神経系疾患における6つの適応領域において開発を進める(1)

2016年12月27日 16:04

■メディシノバ<4875>の開発パイプラインの動向

(1) MN-166(イブジラスト)

MN-166は、気管支喘息及び脳梗塞発症後の治療薬として杏林製薬が1989年に日本で上市した医薬品で、既に320万人以上の患者に処方されており、安全性に関しては良好な医薬品となっている。同社は、2004年に多発性硬化症を適応疾患として独占的・全世界(日本、中国、韓国、台湾を除く)での再許諾可能な開発販売のライセンス(点眼薬を除く)を取得し、現在は中枢神経系疾患における6つの適応領域において開発を進めている。各開発動向は以下のとおり。

a)進行型多発性硬化症
多発性硬化症は高緯度地方に住む白人に多い病気で、日本での患者数は非常に少なく、厚生労働省では難病指定されている疾病である。症状としては、手足のしびれ、目が見えなくなる、失禁、歩行困難などを引き起こす。これは神経線維を取り巻くミエリン(電線を被覆する絶縁体のようなもの)が炎症で壊れ、神経伝達がうまく伝わらなくなることで発症すると考えられている。同社が過去に欧州において実施した再発寛解型多発性硬化症※フェーズ2臨床治験において、MN-166は多発性硬化症の再発(急性憎悪)の予防・軽減よりも脳萎縮の抑制、不可逆的ブラックホールへの進行の抑制など、進行を予防、抑制する効果があることが示唆されており、進行型多発性硬化症の進行を抑制すると期待されている。

※寛解…症状が落ち着いて安定した状態。

多発性硬化症の患者数は世界で約230万人、米国で40万人以上、日本では1.2万人と言われており、患者の約85%は、再発寛解型多発性硬化症と最初に診断され、再発寛解型多発性硬化症と最初に診断された患者の大部分が最終的に二次進行型多発性硬化症へ進行する。多発性硬化症患者の約10%が一次進行型多発性硬化症と診断される。再発を伴わない進行型多発性硬化症に対する、一般に安全で有効であると考えられている治療法はなく、安全で効果的、かつ手軽に投与可能な治療法に対する大きな需要がある。治療薬の世界市場規模は、再発寛解型患者向けで190億ドル超となっており、進行型での治療薬開発に成功すれば、少なくとも同規模の需要が見込めるものと考えられる。

MN-166の開発状況に関しては、現在米国にてフェーズ2bの臨床治験を行っている段階にある。同治験に関してはNIH(国立衛生研究所)より11.3百万ドルの助成金を得て、クリーブランド・クリニックやNeuroNEXT(NIHの下部組織)が中心となって、全米28ヶ所の医療施設で治験が行われている。2013年より開始し、2015年5月に255人の患者登録が完了し、2017年下半期に最終的な治験結果を発表する予定となっている。治験デザインはプラセボ対照二重盲検試験で、評価項目としてはMN-166の脳萎縮抑制効果と、患者が治療用として服用している治療薬(コパキサン、INFβ等)との併用に伴う安全性の確認を行うものとなっている。

同治験では2016年12月19日に中間解析を検証した結果として、治療の継続が発表されている。

b) ALS(筋萎縮性側索硬化症)
ALSとは、脳及び脊椎の神経細胞にダメージを及ぼす進行性の神経変性疾患の一種で、発症原因はまだ解明されていない。症状としては、手足など特定の筋肉を動かすための脳からの指令が何らかの理由で届かなくなることで筋肉が萎縮し、筋力低下の進行に伴い随意運動が不自由となる。病状末期には全身の運動麻痺に至り、人工呼吸器などの補助が必要となる。診断されてからの平均生存期間は2~5年と言われている。

ALSの症状進行には、研究結果からグリア細胞であるアストロサイトとミクログリアの異常が関与していることが判明しており、MN-166の持つグリア細胞活性抑制効果※により、症状の進行抑制効果が期待されている。

※グリア細胞…脳や脊髄などの中枢神経系に存在する細胞総称で、神経細胞を様々な角度からサポートしている。神経細胞とは違って、情報を伝える働きは持たない。

米国ALS協会によれば、米国内の患者数は約2万人で、毎年6千人が新たに診断されていると言う。また、日本でも患者数は約9千人で希少疾患、難病指定されている。現在承認されている治療薬としてはリルゾールがあるが、延命効果は2~3ヶ月と限定的となっている。また、日本では2015年6月に脳梗塞治療薬であったラジカットが承認されているが、こちらは発症後2年以内の軽度の患者で、かつ腎機能に異常がない患者に限定したものとなっている。市場規模としては米国だけで年間約10億ドル規模の需要があると見られている。

MN-166の開発状況としては、2014年10月よりカロライナ・ヘルスケアシステムの神経科学研究所・神経筋ALS-MDAセンターにてフェーズ2治験が開始され(リルゾール服用のALS患者60人、期間は12ヶ月間)、2016年4月には中間解析結果が発表されている(25人、6ヶ月間の解析結果)。解析結果によると、ALS障害レベルを判定するALSFRS-R(改訂版ALS機能評価スケール)※において、プラセボ群に対して悪化率(症状の進行度合い)が22%抑制されるなどポジティブな結果が得られたとしている。特に、嚥下機能については50%、上肢機能については38%、プラセボ群に対して悪化の進行度合いが抑制される結果となっている。また、リルゾールとの併用に関しての安全性・認容性についても確認されている。今回のスタディデザインは統計学的有意差を検出するデザインではなかったものの、今回の結果については全体的にポジティブな評価となっている。

※日常生活における機能を把握するための評価方法で、言語、嚥下、身の回りの動作、歩行、呼吸等の項目で構成されており、それぞれ運動機能のレベルに応じてスコア化している。

また、同治験では2015年9月に新たに酸素吸入器(NIV)のサポートを受け症状が進行しているALS患者も治験対象に加えるプロトコル修正がFDAより承認されており、新たに進行性のALS患者60名を登録して治験を進めている。治験が単一施設で行われているため、今後の治験スケジュールは患者登録の進捗次第とはなるが、症状の進行スピード抑制や延命効果が治験で確認されれば、米国だけで10億ドルの市場規模になると見込まれているだけに、注目度は大きいと言える。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)

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