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【注目トピックス 市況・概況】【フィスコ・コラム】パリティ割れのXデーは近いか?

2017年1月8日 12:11

2016年は「ブレグジット」や「トランプ・ラリー」に象徴されるように、主要国の選挙結果が相場を大きく動かす要因となりました。反与党的な投票行動は今後も続き、2017年に実施される欧州での選挙に影響を与えそうです。ただ、ユーロは相変わらず市場の思惑通りには動かないとみられ、政治リスクがあっても極端なユーロ安には振れないように見えます。


昨年行われた欧州連合(EU)離脱を決めた英国民投票(6月)と米大統領選(11月)については、与党的な主張が有権者から嫌気された側面があります。英国民投票では与野党双方にEU残留支持の主張が多かったので、「反与党的」とは見えにくい状況でしたが、辞任したキャメロン前首相がEU離脱を訴えていれば、逆に残留という結果が出ていたかもしれません。米大統領選も、クリントン氏のオバマ政権の継承という立場が「(当選すれば)女性初の大統領」という新鮮味を弱めた可能性があります。


2017年はオランダ総選挙(3月)、フランス大統領選(4-5月)、ドイツ議会選(9月)が焦点となります。このうちフランス大統領選では、オランド大統領が所属する社会党は敗色濃厚で、右派・共和党の統一候補フィヨン元首相が、反EUなどを掲げる極右政党・国民戦線のルペン党首を制する可能性が高いとみられています。2016年12月4日に行われたオーストリア大統領選の経緯を踏まえれば、欧州内では極右候補は支持を集めつつあるとはいえ、選挙で勝利するほどではないようです。しかし、フィヨン氏の場合は与党でないものの、本命候補として優勢が伝えられるほどルペン氏のアンダードッグ効果を強めるかもしれません。


米国では、ドル高政策に批判的なトランプ氏に有利な材料を与えないよう財務省や連邦準備制度理事会(FRB)がドル高抑制に動いていたように見えます。このように政府やメーンストリーム・メディアを含むエスタブリッシュメント層のお膳立てを受けたことが仇となり、クリントン氏は勝てなかったとも言えます。フランスでも同様の事態となって、ルペン氏が予想外に支持を集めれば反EUの機運が高まり、9月のドイツ議会選ではユーロの守り手であるメルケル首相の退陣に発展しかねないでしょう。


しかし、ユーロの値動きはこうした政治リスクを反映するでしょうか。「トランプ・ラリー」と米連邦準備制度理事会(FRB)による利上げにより、ユーロ・ドルは1.1200ドル付近から約2カ月で7%超下落し、年明けには2002年以来15年ぶりの安値圏である1.0400ドルを割り込む場面がありました。ユーロには加盟国の選挙のほか経済の停滞や難民問題、英国の離脱、テロの恐怖など、売り材料しかないと言っても過言ではないでしょう。このためユーロ売りポジションが増加し、かえって何かをきっかけに買戻しが強まる特色があります。12月のイタリア国民投票を受けたレンツィ政権退陣の時が典型的でした。


心理的な節目であるパリティ(1ユーロ=1ドル)まで、わずか500ポイント程度(6日現在)。この水準にはオプションが設定されており、割り込んだ場合にはユーロはどこまで下げるか見当がつかず、市場に混乱を招くかもしれません。欧州中銀(ECB)は数年内のインフレ率2%弱を目標に金融緩和を継続していますが、目標達成にはパリティ割れは不可避との見方があります。一方で、リーマン・ショックにギリシャ問題と2度の危機を乗り切ったユーロにはしぶとさが備わっています。今年1年間でパリティ割れを回避できれば、「安全通貨」としての評価がますます高まるのではないでしょうか。

(吉池 威)

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