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米FRBがマイナス金利検討 実施ならさらなる円高・株安に

国内外の株式市場、為替市場の波乱は収まる気配がない。2月前半には、日経平均株価は1万6000円を割り込み、円相場も1ドル=110円割れ寸前となった。その後、マーケットは一進一退となっているが、一部のヘッジファンドは、さらなる株安・円高を想定しているという。外国人投資家の動向について詳しいパルナッソス・インベストメント・ストラテジーズ代表取締役の宮島秀直氏が解説する。

パルナッソス・インベストメント・ストラテジーズ代表・宮島秀直氏

パルナッソス・インベストメント・ストラテジーズ代表・宮島秀直氏

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2月以降の世界的な株安は、米国景気の先行き懸念が急速に浮上したことにある。その要因は、冴えない経済指標とともに、米FRB(連邦準備制度理事会)のイエレン議長を始めとする幹部たちの追加利上げに対する慎重な発言がある。特に2月10日、11日に行なわれた、米下院金融サービス委員会でのイエレン議長の証言が決定打となった。

議長の発言は、「原油安も株価急落も予期していなかった。今後いつ好転するのかはわからない」、「(リーマン・ショックの再来の可能性について)現時点では判断できない」といった、マーケットの不安を鎮静化するどころか増大させるもので、さらに、マイナス金利導入についても、「現状は考えていないが、準備はしている」と答えている。このマイナス金利に対する回答に、ヘッジファンドは大きく反応した。

ある米系の大手マクロ型ヘッジファンドのチーフエコノミストは、「FRBは袋小路に追い込まれている。(経済情勢が悪化した場合)追加利上げを見合わせる、それでもダメなら利下げ、さらにマイナス金利を導入するくらいしか対応策が無くなっている。

G20(20か国財務相・中央銀行総裁会議)などによる、国際的協調が世界経済を救う構図は過去のもので、もはや通用しないだろう。このままでは、世界経済がリセッション(景気後退)に向かうことは誰も阻止できない」と語っている。

中央銀行が金融・経済政策を使い果たし、過去の歴史が経験しなかった、新たな世界規模の経済危機に現在突入しつつある──こうした認識が広がりつつあるのだ。

また、別の英系ヘッジファンドの幹部は、次のように語っている。

「すでに、現在の日米金利格差(実質金利は日本の方が高い)から判断する米ドル/円相場は1ドル=107円近辺、日経平均株価は1万4500円を割った水準が妥当だと考えられる。そして、FRBがマイナス金利導入に動けば、1ドル=100円割れ、日経平均1万3500円もありうるだろう」

こうしたレンジ感は、世界の株式市場を揺さぶっているCTA(商品投資顧問)というヘッジファンドに共有されつつあるものだ。現状の日経平均に底値感を見出すのは、非常に難しいと言わざるを得ない。

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