中川淳一郎のビールと仕事がある幸せ

うつ病は死に直結する病気 本当の恐ろしさは周囲の無理解

周囲の無理解がうつ病患者を追い詰めていくケースも少なくないという

 鬱病(うつ病)──。WHO(世界保健機関)によると世界の鬱病患者は3億人で、80万人がそれを理由に自殺しているという。しかしながら、鬱病は他人の目に見える病気ではないため、学校や職場などで、しばし「グータラ病」扱いをされてしまうこともある。これまでの人生の中で様々な鬱病患者と接してきた編集者の中川淳一郎氏が、鬱病への理解を求める。

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 かつて「鬱病は心の風邪」なんて言われ方をされてきました。風邪だったら治すための処置が必要なので、医師にかかり、薬を飲もう、という啓発活動ですね。しかし、この言い方は、今ではほとんどされません。理由の一つは、鬱病が風邪程度の生半可な病気ではないからです。何せ「死」に直結する病気なのです。

 もしも骨折をしてギプスをつけていたり松葉杖を使っていたら「この人は大変だな」ということは周囲の人も分かります。癌や白血病が見つかり入院をしたら誰もが心配をすることでしょう。しかし、鬱病というものは、なったことがない人にはほとんど理解できない病気であり、この周囲の無理解こそが患者当人を追い詰めてしまうのです。

 また、会社を休んでいるにもかかわらず、その日はテーマパークに行ったりする様子をSNSに公開してしまう人もいるだけに、「鬱病=グータラ病&さぼるための方便」的な扱いをされてしまうこともあります。しかし、鬱病の人からすれば、会社に行くことはできないが、大好きなことであればなんとかできる場合もあります。

 私の知り合いの鬱病患者の中には自殺をしてしまった人もいます。その女性・Aさんが亡くなった時、「なんでもっと鬱病の深刻さを知っておかなかったのだ……」と後悔の念が襲い掛かってきました。

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