投資

LINE、JR九州他 今年IPOが予想される有力企業を紹介

2月24日、今年のIPO(新規上場)第1号として東証マザーズ上場を果たした「はてな」。上場初日は買い注文が殺到し取引が成立しないほどの人気となったが、今年これから、はてなに続くIPOには、どんな企業が名を連ねるのか。投資情報サイト「IPOジャパン」編集長で、IPO投資の第一人者として知られる西堀敬氏が、今後IPOが期待される有力企業を紹介する。

「IPOジャパン」編集長・西堀敬氏

「IPOジャパン」編集長・西堀敬氏

* * *
現状では、夏前にも上場と報道されているLINEと、10月下旬といわれるJR九州が、年前半と後半の大型IPOの目玉となりそうだ。

無料電話・無料メールアプリを展開するLINEは、2年ぐらい前からIPOが取り沙汰され、注目を集めてきた。だが、このところ利益の伸びが鈍化していることもあり、株価にプレミアムが付きにくく、手に入れやすい公開価格となる可能性が高いと見ている。

JRグループでは4社目の上場となるJR九州は、会社計画では2016年3月期の経常利益目標が300億円となっている。上場しているJR各社のバリュエーションを見ると、時価総額は経常利益の10倍程度、PBR(株価資産倍率)は各社とも約2倍の水準となっている。この2つの要素を組み合わせると、時価総額は3000億~1兆5000億円という幅の広いレンジになる。

ただ、インバウンド(訪日外国人)効果もあって現状、目一杯のバリュエーションまで買われているJR各社に対して、JR九州はかなり低い株価水準で上場してきそうだ。手頃な公開価格となれば、株主優待・配当利回り期待もあるので、人気化が予想される。

以上の2社と同様、コーヒーチェーン「コメダ珈琲店」を展開するコメダが、7月頃に東証1部に直接上場する可能性が高い。コーヒーにトーストとゆで卵がついてくる、いわゆる「名古屋式朝食」を普及させたといわれる同社は、関東・関西に出店攻勢中で、すでに650店舗を突破。こちらも株主優待期待で人気になりそうだ。

9月頃に上場となりそうなクロスカンパニーも、大型上場になる可能性がある。「アースミュージック&エコロジー」などのブランドを展開し、「第2のユニクロ」とも呼ばれる同社も、IPOが現実になれば人気化は必至だろう。

新興市場へのIPOが予想される銘柄では、9月以降となりそうなスパイバーがまず注目される。慶應義塾大学発のベンチャー企業である同社は、「夢の繊維」といわれる鋼鉄の340倍の強度を持つ人工クモ糸繊維を開発している。すでにスポーツメーカーのゴールドウインと資本業務提携を結ぶなど、実用化に道筋をつけている。

人型ロボットや自動運転車両の開発を手がけるZMPは、名古屋大学と連携して自動運転の公道実験を行なっており、未上場であるにもかかわらず、市場ではすでに「自動運転銘柄の本命」ともいわれて注目を集めている。今年年初の上場予定を延期したが、年末までに上場してくる可能性は十分あるだろう。

以上の2社は日本のモノづくりを世界に発信できるだけの技術を有しており、上場後の株価は2014年にIPOし、上場後に株価が大きく跳ね上がったCYBERDYNEを彷彿させる動きになることも期待できそうだ。

ネットビジネスを展開するメルカリも6月頃のIPOが予想される。同社は、個人間で簡単かつ安全にモノを売買できるフリーマーケットアプリ「メルカリ」を日本とアメリカで展開しており、グローバル展開を意識した経営を実践している。

◆西堀敬(にしぼり・たかし):1960年生まれ。投資情報サイト「東京IPO」編集長(2002~2015年)を経て、投資情報サイト「IPOジャパン」編集長に。IR説明会、セミナーなども多数行なう。著書に『最新版 IPO投資の基本と儲け方ズバリ!』など。

※マネーポスト2016年春号

注目TOPIC

当サイトに記載されている内容はあくまでも投資の参考にしていただくためのものであり、実際の投資にあたっては読者ご自身の判断と責任において行って下さいますよう、お願い致します。 当サイトの掲載情報は細心の注意を払っておりますが、記載される全ての情報の正確性を保証するものではありません。万が一、トラブル等の損失が被っても損害等の保証は一切行っておりませんので、予めご了承下さい。