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【注目トピックス 日本株】ワコム Research Memo(5):コントロールIC技術がコンポーネント売上高の急伸に寄与

2016年6月13日 16:13

■主力事業の詳細

(2)テクノロジーソリューション事業

ワコム<6727>は1991年にペン・センサーコンポーネント分野に進出した。その後、Windows OS上で動くタブレットPCにペン・センサーコンポーネントの採用が2002年以降進んだ。当初は電子機器事業セグメントの中に含まれていたが、2004年3月期からコンポーネント売上高の数値は開示されていた。2011年3月期の開示からコンポーネント事業として独立し、2016年3月期からテクノロジーソリューション事業へと呼称変更されている。

コンポーネント売上高の推移を見ると、2011年3月期までは50億円前後で停滞が続いていたが、2012年3月期に動意づいた後、2013年3月期に爆発的に収益が拡大したことがわかる。セグメント利益においても、2011年3月期までは営業損失を計上していたが2012年3月期には黒字転換し、2014年3月期には営業利益が6,666百万円に達した。売上高営業利益率は2013年3月期にピークの17.9%を記録し、ブランド製品事業を逆転した。

コンポーネント売上高の急伸をもたらしたのは、同社の持つコントロールIC技術だ。同社は、ペンタブレットにおいて高精細入力を可能にする電磁誘導(EMR)方式を採用し、その制御技術を蓄積してきた。一方、スマートフォンやタブレットで利用されている指入力のタッチパネルでは、マルチタッチ方式が主流を占めている状況だ。そうした中でサムスン電子は、旗艦モデル「Galaxy Note」シリーズにおいて電磁誘導方式によるペン入力の採用を決定し、同社に白羽の矢を立てた。

同社が選ばれた理由は、マルチタッチの静電容量方式タッチパネルと電磁誘導方式のペン入力をコントロール可能なIC技術を有していたことに加え、自社パテントを所有しており特許紛争に巻き込まれるリスクが小さいこと、サムスンの要求に応えられるだけの生産能力を有すること、などの条件を満たしていたためだ。同社はサムスンに対して電子ペンとコントローラICを納入し、これらの売上げが急伸する結果となった。

テクノロジーソリューション事業の売上高のうち、スマートフォン向けはそのすべてがサムスン向けという状況だ(逆に、サムスン向け売上高には、テクノロジーソリューション事業のスマートフォン向け以外のセグメントの製品も若干含まれている)。そのサムスン電子向け売上高は、2014年3月期に29,341百万円のピークを付けた後、2015年3月期は前期比36.6%減の18,587百万円、2016年3月期は同9.8%減の16,771百万円と減少基調をたどっている。同社は2017年3月期もさらに20%近い減収を見込んでいる。

この原因については、同社のペン・センサーコンポーネントを搭載したサムスンのモデル(Galaxy Noteシリーズ)の売上高が低下してきているためであり、同社の競合環境に変化があったわけではない。今後もGalaxy Noteシリーズが続く限りはペン・センサーコンポーネントのOEM供給が続く可能性が高いと弊社ではみている。

テクノロジーソリューション事業の売上高からサムスン電子グループ向け売上高を引いたものを「非サムスン電子向け売上高」とすると、この値の推移は着実に増加してきていることがわかる。2015年3月期及び2016年3月期については、非サムスン電子売上高は、テクノロジーソリューション事業の中の“タブレット向け”と“ノートPC向け”の合算値とほぼ等しい。

この両市場へ供給する具体的な商品は電子ペンだ。PC・タブレットメーカー各社は、指でのマルチタッチ入力に加えて、ペン入力対応製品を増やしていることがある。同社はHP、Lenovo、DELL、東芝などの企業に対して電子ペンをOEM供給している。同社はペンタブレット、特にペンにこだわった製品開発を続けて来て、現在では、市場のニーズに合わせてハイスペックな製品から、ミドルスペック、ロースペックまで幅広い技術と製品のラインナップを誇っている。こうした点が完成品メーカーに評価されて、同社の電子ペンの採用企業が増加しているものと弊社では考えている。

最近の市場動向は、前述のように、ノートPCとタブレットの垣根が低くなってきているのが現状だ。ノートPCはキーボード入力に特化する一方、より小型でキーボードと切り離し可能なタブレットについては、指入力とペン入力を併用する、という流れだ。したがって、タブレットとノートPCを分けずに、両者を合算したほうが実態をよく表しているといえる。2016年3月期の実績は、タブレット向けが前期比11.6%増となる一方、ノートPC向けは同38.6%減となり、合算ベースでは同2.6%減となったという構図だ。

タブレット向けは今後も堅調に増加することが見込まれる。ノートPCから2in1タイプのタブレットへの需要シフトという、市場構造変化がその大きな要因だ。キーボードがないタブレットにおいては、指入力だけでなくペン入力のニーズが、ノートPCに比べて一段と高くなり、それが足元での同社の電子ペンのOEM供給増につながっている。この動きの延長として、同社は中国Huawei社を新規顧客として獲得に成功し、2016年3月期からOEM出荷を開始した。また、アクティブES技術で米マイクロソフトと提携し、Windows Penのペンプロトコールのライセンス供与を受けることになったことから、2017年3月期後半以降の商機拡大につながると期待される。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 浅川 裕之)

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