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高配当ETF他 東証が開発を続ける「新たなETF」の数々

東京証券取引所

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 2014年にはGPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)も導入したことで話題となった「スマートベータ運用」。いったいどういった運用方法なのだろうか?

 従来のファンドでは、日経平均株価や東証株価指数(TOPIX)といったインデックスをベンチマーク(目標基準)として、それを上回る運用成績を目指す「アクティブ運用」型と、インデックスのベンチマークに連動するように運用する「パッシブ運用」型が主流だった。

 スマートベータ運用型はこれら2つの中間的な存在として知られる。この運用方法を個人投資家が比較的手軽に実現できるツールとして注目を集めているのが、スマートベータ型のETF(上場投資信託)だ。現在スマートベータ型ETFの純資産残高は6900億円に拡大し、銘柄数も20銘柄に迫る(「JPX日経400」および「JPX/S&P設備・人材投資指数」に連動するETFを含む)。

 スマートベータ型のベンチマークとなる指数は、伝統的な指数(日経平均株価やTOPIXなど)と比べて算出方法やスクリーニング手法にそれぞれ特徴があることから、まずは機関投資家を中心に注目を集めているが、個人投資家の間でも伝統的な指数よりも高い精度で厳選された銘柄で構成されるスマートベータ型ETFへの期待は高いだろう。

 それでは、個人投資家がポートフォリオに組み入れる場合、スマートベータ型ETFはどのような役割を果たすのだろうか。東京証券取引所・上場推進部調査役の柴田崇志氏が解説する(以下、「」内同)。

「ETFは国内外のさまざまな指数に連動しており、アセットクラスも株式、債券、REIT(不動産投資信託)、コモディティと多様な種類があるので、ETFのみで様々なポートフォリオを構築することが可能です。もちろん、期待したパフォーマンスを獲得することができない場合もありますが、市場平均以上のパフォーマンスを期待できるスマートベータ型ETFは、アルファ(市場平均を上回るリターン)を狙いに行く手段のひとつとして存在感を発揮するのではないか、と考えています」

 より積極的にリターンを狙いたい場合は、レバレッジ型ETFを活用する方法もあり、近年活発に取引されている。とはいえ、そうしたETFの場合、リスクも高くなるので、ある程度の資金力とリスク許容力、そして商品性の十分な理解が必要となる。もし市場平均以上のパフォーマンスを目指すだけであれば、スマートベータ型ETFに投資することでその目的を果たすことができるといえそうだ。

「スマートベータという言葉は、数年前からETF関係者を中心に日本でも使用されるようになりました。東証でスマートベータ型ETFを明確にカテゴライズしているわけではありませんが、高配当銘柄にフォーカスした初のETFは、2010年に上場した『上場インデックスファンド日本高配当(東証配当フォーカス100)』となります」

 最近では独自の指数を開発して運用されるETFも登場している。例えば「MAXIS JAPAN クオリティ150上場投信(三菱UFJ国際投信)」は、同社のグループ会社である三菱UFJ信託銀行とSTOXXリミテッドが共同開発した「iSTOXX MUTB JAPAN クオリティ150インデックス」に連動するETFである。

「現在、高配当指数や最小分散指数などに連動するスマートベータ型ETFが注目を集めていますが、東証でも『S&P/JPXスマート・ベータ指数シリーズ』を提供しており、今後もこのような新しい指数の開発及び当該指数に連動するETFの普及を後押ししていきたいと考えています」

 リスクを積極的に取ることはできないが、アルファを狙いたいという投資家は少なくない。その中でもROE(株主資本利益率)に重きを置く人、配当を重視する人など投資家のニーズは多岐にわたる。今後ますます連動対象となる指数のラインアップが多様化することで、スマートベータ型ETFが担う役割も拡大してくかもしれない。

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