駅名の由来となっている「中野新橋」
住んでみたい街の理想と現実には、得てして大きな差があるものだ。憧れのあの街は果たして本当に素敵な街なのか？ まったくノーマークだけど、実は住みやすい街は？ 今回は「中野新橋」（東京都中野区）について、ライターの金子則男氏が解説する。
＊ ＊ ＊
東京には高円寺、下北沢、三軒茶屋など、“夢を抱く若者が集まる街”がいくつかありますが、中野新橋もその1つ。ざっくり言えば、高円寺はバンドマン、下北沢は劇団員、三軒茶屋はモデルや俳優の卵といったイメージですが、中野新橋は芸人が多く住む街としても知られています。お笑い芸人がこの街を愛する秘密を探ってみましょう。
鉄道は東京メトロ・丸ノ内線のみ。中野坂上から二股に分かれる「方南町支線」の駅で、中野坂上での乗り換えが面倒でしたが、2019年に本線への直通運転が始まりました。直通運転は平日昼間で1時間に3本ですが、煩わしかった中野坂上での乗り換えがなくなったのは嬉しいところ。新宿までわずか7分ですし、赤坂、銀座、東京、大手町まで乗換なしで行くことができるので、サラリーマンにピッタリです。
道路状況は良好です。山手通りと青梅街道が近く、首都高速中央環状線が出来て、高速道路へのアクセスは非常にスムーズ。駅周辺の道路は広く、路線バス網も充実しています。ただ、一帯は山手通りや青梅街道、甲州街道などの抜け道になっており、交通量は多いので、その点は注意したいところです。
駅前には気安く飲み食いできる店も多数
芸人が中野新橋に集まるようになった背景には、芸人が多く所属する太田プロ（四谷三丁目＝中野新橋から10分強）から近かったことも影響しているようです。
中野新橋在住のIさん（40代男性）によれば、テレビで見かけるMさん、Dさん、Hさんなど、人気芸人をしょっちゅう見かけるそうで、“芸人が多い”というのは事実のようです。若貴ブームに沸いた二子山部屋があった時代には、そこに相撲取りも加わり、「相撲取りとお笑い芸人が定食屋で並んでご飯を食べていたり、パチンコ屋で玉を弾いたりしていた」（Iさん）そうです。
