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アパグループ代表、中国人含む訪日客激減でも強気姿勢の理由

アパグループ代表の元谷外志雄氏はインバウンド減少をどう捉えるか

アパグループ代表の元谷外志雄氏はインバウンド減少をどう捉えるか

 コロナ禍で国内外の往来が途絶えても、ブランドを守るべく、赤字でも営業を止めることは考えていないというアパホテル。同ホテルはこのたび全国10万室を達成した。創業オーナーでアパグループ代表の元谷外志雄氏に、今後の経営戦略を聞いた。

──強気の経営戦略の一方で、海外からの訪日観光客は激減している。大きな痛手では?

元谷:確かにインバウンドはコロナショックで大きく落ち込みましたが、終息すればまた持ち直すと見ています。

 私は世界82か国に行っていますが、日本ほど治安が良く、清潔で食事が美味しい国はありません。加えて四季折々の自然といった観光資源も豊富にある。五輪の効果は一過性に過ぎない。そんなものに頼らなくても、今後、日本で観光業が栄えないわけがありません。

──元谷代表は厳しく中国を批判していることでも知られますが、その影響は?

元谷:まったく気にしていません。日本全体で見れば確かに中国からの観光客が一番多い。しかし、私は欧米志向です。

 当社で客単価が最も高いのはアメリカからのお客様で、次いでヨーロッパ。中国・韓国のお客様とは違い、平均宿泊日数が長く、3日から5日くらい滞在してくれます。

 そもそも、中国本土からは、パソコンやスマホでアパホテルに予約を入れようとしてもできないし、検索でヒットさえしません。「南京大虐殺を否定する書物をアパホテルの客室に置いているのはけしからん」と中国から批判を浴びても、私が撤去を拒んだからです。

 それでも当社にとっては痛くも痒くもない。単価の安い中国からの団体客がゼロでも、中国の富裕層は日本に来てからアパホテルを指名してくれるからです。

 もうひとつ、当ホテルには日本のビジネスマンを中心に1800万人もの累積会員がいます。ポイントによるキャッシュバックシステムが強く支持されている。観光客やインバウンド頼みではありません。

【PROFILE】もとや・としお/1943年、石川県生まれ。1971年、信金開発(現アパグループ)を創業。1984年にホテル事業を開始し、日本最大のホテルネットワークに成長させた。

●聞き手/河野圭祐

※週刊ポスト2020年4月17日号

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