大前研一 「ビジネス新大陸」の歩き方

アフター・コロナでは「最悪想定プラン」に対応した企業が生き残る

「プランB」をいかに綿密・周到に用意できるか(イラスト/井川泰年)

「プランB」をいかに綿密・周到に用意できるか(イラスト/井川泰年)

 新型コロナウイルスの感染拡大が一段落した後の経済状況はどうなるのか──。経営コンサルタントの大前研一氏が、アフター・コロナの経済で企業が生き残るための施策を考察する。

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 日本の新型コロナウイルス禍は、とりあえず収まりつつあるようにも見える。だが、むしろ問題は日本国内よりも、これから新興国や途上国などで感染爆発して終息の見通しがつかなくなり、世界経済が破局に向かいかねないことだ。

 それゆえ私は、「アフター・コロナ(コロナ後)」について、日本企業がいわゆる「プランB」(「プランA=当初の計画」がうまくいかなった場合の次善策)をいかに綿密・周到に用意できるかが重要だと考えている。

「プランA」は、緊急事態宣言が解除された後は徐々に経済が回復していくというシナリオに基づいた計画で、これは事業規模や生産体制、雇用などを「ビフォー・コロナ」に戻す準備を進めておけばよい。

 ただし、まだ先行きは不透明なので、「プランA’(Aダッシュ)」も必要となる。これは、さらに1年くらい海外で感染者の増加がずるずると続き、世界経済が長期停滞すると想定した計画である。この場合、東京五輪・パラリンピックは中止せざるを得なくなるだろうし、2025年の大阪・関西万博も影響は免れない。だが、これはまだしも幸せな予想と言える。

 最悪のケースを想定した対応策が「プランB」である。参考になるのは、100年前のパンデミック(感染症の世界的大流行)「スペイン風邪」だ。1918年から3年間にわたり猛威を振るい、世界全体での感染者数は約5億人、死者数は数千万人とされる。日本国内でも流行の波が3回あり、約2380万人が感染して約39万人が死亡した。今回の新型コロナがそこまで感染爆発することはなさそうだが、3年くらい完全に終息しない事態もあり得ると思う。

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