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コロナで皮肉にも気づかされた東京の“異常性”

コロナ禍以前が「ノーマル」だったわけではない(Getty Images)

コロナ禍以前が「ノーマル」だったわけではない(Getty Images)

 6月11日、深夜11時ちょうど。真っ赤だったレインボーブリッジと東京都庁本庁舎のライトアップが7色に変わった。新型コロナウイルス感染拡大に対して都が注意を促す「東京アラート」が解除された瞬間だ。

 都の休業要請の緩和は12日から最終段階の「ステップ3」へと移行され、パチンコ店や遊園地、ゲームセンターなどの遊技施設のほか、接待を伴わないバーやスナック、カラオケ店など遊興施設が再開可能になった。また、19日からは営業時間の制限もなくなった。

 だが、緊急事態宣言解除後に新規感染者が激増した“夜の街”まで規制が解除されることには異論も多い。というのも、5月末~6月の都内の感染者は、その半数近くが夜の街から出ているからだ。

 事実、6月14日の東京都の感染者は47人を記録。40人を超える感染者が出たのは5月5日以降初めて。そのうち18人は、新宿区のとあるホストクラブに勤務する従業員だった。翌15日も48人と、感染者数は増加した。

 そうなると、専門家たちが異口同音に「必ずやってくる」という第2波、第3波を念頭にしたとき、「本当にアラートを解除しても大丈夫なのだろうか」という懸念が生じる。京都大学こころの未来研究センター教授(公共政策・科学哲学)の広井良典さんはこんな話をする。

「コロナ後の社会について『ニューノーマル(新常態)』という表現が使われることがありますが、コロナ禍以前が『ノーマル』だったかというと疑問です。たとえば首都圏の朝の通勤ラッシュを思い浮かべたとき、それは明らかに『アブノーマル(異常)』でしょう」(広井さん・以下同)

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