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【注目トピックス 日本株】カドカワ Research Memo(6):書籍IP事業の収益性回復が原動力となり高い営業利益水準を確保(2)

2016年7月4日 16:51

■業績動向

(2)2017年3月期会社計画新規事業の開始や既存事業の業態変更のための積極投資期間

●会社計画の概要
カドカワ<9468>の2017年3月期の会社計画については、将来の継続的な成長のために積極的な投資を行う1年と位置付け、売上高200,000百万円(前期比0.5%減)、営業利益3,100百万円(同66.0%減)、経常利益3,300百万円(同67.6%減)、親会社株主に帰属する当期純利益1,750百万円(同74.4%減)と、売上高は横ばいながら、新規投資の実行により大幅減益を見込む内容となった。

微減収になるのは、出版事業を除いた残りの事業がいずれも若干の減収になると予想しているためだ。一方、営業利益が大幅減益となる要因は、ゲーム事業やモバイル事業など一部の既存事業での減益(2,640百万円の減益要因)を見込むことと、新規投資の増額によるマイナス影響(同3,380百万円)を見込むこと、の2つに大別される。

まず、一部の既存事業での減益については、前期に「DARK SOULS III」などのビッグタイトルがあったゲーム事業の反動減、会員数の減少トレンドが続くと予想されるモバイル事業と、前期イベント協賛が想定以上に好調だったライブ事業での減益を予想している。ゲーム事業については前期が通常期に比べ高い利益水準であり、モバイル、ライブ事業は、前期が想定以上に良い成績を収めたものの、今期についてはそれらをトレンドとして見込まず、保守的に見た結果によるもので、既存事業の事業環境が大幅に悪化することによる減益を予想しているのではないことに注意する必要がある。

一方、将来の継続的な成長のための積極投資については、年間で4,650百万円の新規投資(前期比で3,380百万円増)を計画している。具体的な投資の内訳として、1)「niconico」のリニューアル(高画質化対応やインフラ再構築)、2)スマートフォン向け新サービス、3)雑誌事業の収益モデル転換、4)インバウンド事業、5)ゲーム情報ポータル、6)ネット上の学習サービス、7)UGC型投稿サイトの充実、の7つを挙げている。これらのうち、Webサービス事業のniconicoリニューアルとスマートフォン向け新サービス、出版事業の雑誌事業の収益モデル転換の投資と、それに絡んだインバウンド事業への投資のウエイトが大きいと見られる。

●セグメント別の会社計画と取り組み
同社ではグループの事業の柱を明確に示すことを目的とし、2017年3月期より、報告セグメントを「Webサービス」(旧ポータル、ライブ、モバイル)、「出版」(書籍IP、情報メディア)、「映像・ゲーム」(映像IP、ゲーム)と、これらに属さないものを「その他」(その他、情報メディアの一部事業)とする変更を行う。2016年3月期の実績を新セグメントに当てはめて、以下セグメント別に具体的に見てみた。

a) Webサービス事業
売上高は前期比3.4%減の32,000百万円、営業利益は同41.8%減の2,700百万円と、減収、2ケタ営業減益を予想している。ユーザビリティの向上を図るため、競合他社に比べ遅れている回線サーバーの大幅増強といった「niconico」の機能強化に加えて、スマートフォン向けの新サービスの開発の投資を行う計画であることが減益要因として働くことによる。加えて、前期想定以上の成績を収めたライブ事業やモバイル事業を保守的に見ていることも減益要因。

b)出版事業
売上高は同1.7%増の107,000百万円、営業利益は同30.3%減の4,400百万円と、増収ながら2ケタ営業減益を予想している。具体的な取り組みとして、デジタル化など雑誌事業の抜本的な構造改革を推進する計画。加えて、出版のWeb対応の強化として、小説投稿サイト「カクヨム」(2016年2月オープン)やWebコミックサービス「ComicWalker」(2014年3月オープン)の作品創出力とネットプロモーションの強化を図る。さらに、海外拠点の拡大、拡充でクールジャパンコンテンツの積極的な海外展開に取り組む。具体的には、中国・広州、香港、台湾をインバウンド事業の拠点として発展させるほか、マレーシアでの拠点設立を手掛かりにコンテンツビジネスを東南アジアへ拡大させる。さらに、コミック成長市場の米国を中心とする英語圏では、翻訳出版にとどまらない、アニメ配信とのメディアミックス、グッズ展開を連動させることでコンテンツ価値の最大化を図る方針だ。

c)映像・ゲーム事業
売上高は同0.6%減の44,000百万円とほぼ横ばいの水準を見込むものの、営業利益は同30.8%減の2,500百万円と大幅な減益を見込んでいる。具体的な取り組みとしては、海外企業との提携による映像制作の推進及び積極的展開を図るほか、ゲーム事業では売れ筋タイトルの安定的な開発、販売による収益確保を目指すとしている。ただ、減益要因は、前期にあった「DARK SOULS III」や「艦これ改」といったビッグタイトルの発売がない端境期であるための、反動減によるところが大きいと考えられる。

d)その他
売上高は同6.3%減の20,000百万円、営業損失は1,300百万円と前期の1,011百万円の損失から若干拡大する計画となっている。これは、インバウンド事業への進出や、ネット学習サービスの企画制作・プロモーションを強化する、ゲームコミュニティのユーザー向け新規サービスの投入(ゲーム情報ポータルの構築)をするコストを見込むためだ。

弊社では、同社が見込んでいる既存事業の減益は保守的な見方によるところが大きいことなどを踏まえると、会社計画は上振れ余地があると考える。加えて、経営統合後1年余りで書籍IP事業の収益性の回復に成功したことを考慮すると、今回の積極的な投資の実行により、ポータル事業、情報メディア事業など既存事業の基盤強化や新規事業の立上げが進むことにより、中期的に同社の収益性が一段と高まることになると予想されるため、今後の投資の進捗について注目する。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 森本 展正 )

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