家計

住宅ローンは「生涯払う」時代に 85歳ローン、50年ローンも登場

住宅ローンとの付き合い方が変わりつつある(イメージ)

住宅ローンとの付き合い方が変わりつつある(イメージ)

 現役で稼いでいるうちに住宅ローンを完済して、退職後は年金生活で悠々自適の老後──そんなライフプランはすでに「夢物語」となりつつある。なけなしの年金からローンを払い続けるリタイア生活こそ、現代のスタンダードだ。しかしコロナ禍で給料やボーナスが目減りし、定年後の再雇用も難しくなるなか、年金によるローン返済計画にも不安がつきまとう。人生最大の買い物といわれる「我が家」をめぐるお金の問題は、老後生活のあらゆる面に影響する。

定年時の残債は「1300万円」

「年金をもらいながら働く」高齢者の住宅ローン破産が増えている。北関東に住む元メーカー社員のAさん(66)は40歳のときに新築一戸建てを購入、住宅金融公庫(現・住宅金融支援機構)から3000万円を借りて30年ローンを組んだ。毎月の返済額は14万円だ。

 返済が終わるのは70歳になるが、購入当時は、「定年時に退職金で残債を繰り上げ返済しよう」と考えていた。しかし、退職金が思っていたより少なく、一部しか返済できなかった。

 現在は嘱託社員としての雇用延長期間も終わり、月18万円の年金が収入の柱だが、ローンを払うと生活できないため、食品工場でアルバイトをしながら返済してきた。それも新型コロナで工場が閉鎖されて失業、次のアルバイト先も見つからない。

「貯金も少なく、月14万円近いローンを払い続けるのは無理。返済はあと4年で終わるのに、家を手放すしかないのか」。そう途方に暮れている。

 NPO法人『住宅ローン問題支援ネット』にはAさんのようなケースの相談が増えている。代表理事でファイナンシャルプランナーの高橋愛子氏が語る。

「緊急事態宣言以降に相談が一気に増えました。現在は金融庁の指導で金融機関が住宅ローンの一時返済猶予(最長1年の元金据え置き)などの対応を取っているのでそれほど破綻が表面化していないが、新たな仕事が見つからなければ返済は難しい。Aさんのような破綻予備軍は多い。年明け頃から、限界を迎えて自宅売却など住宅ローン破産に追い込まれる事例がもっと増えてくるでしょう」

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