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【注目トピックス 日本株】テクノスJPN Research Memo(5):知識集約型ビジネスの事業モデル構築に取り組む

2016年8月9日 15:35

■事業環境見通しとグループ成長に向けた戦略と取り組み

(1)事業環境見通し

1) ERP市場
中核事業であるERP市場は中期的に堅調な成長が続くと予想されている。2015年の成長は、消費税増税前の駆け込み需要の反動減からの回復に加えて、マイナンバー制度導入によるプラス効果が需要を押し上げたことが要因と考えられる。加えて、2014年ごろからユーザー企業のニーズが変化、ERPのクラウド利用、特にクラウド基盤サービス(IaaS/PaaS)の採用が増加する傾向にあり、パッケージベンダーがSaasによるアプリケーションの提供サービスを強化していることと相まって、ERPのクラウド利用が増加していることもプラス要因として働いており、中期的な需要押し上げ要因になると見込まれる。

2)ビッグデータ、IoT市場

a)ビッグデータ市場
テクノスジャパン<3666>が第2の収益柱として注力しているビッグデータ事業を取り巻く事業環境は極めて良好で、見通しも明るい。IT専門調査会社のインターナショナルデーターコーポレイションジャパン(株)(以下、IDCジャパン)によると、2015年の国内ビッグデータテクノロジー/サービス市場規模は947億円となり、前年比32.3%増の高い成長を記録。ビッグデータ・アナリティクス※1がIoTやコグニティブ・コンピューティング※2を用いたデジタル・トランスフォーメーション(DX)※3の基盤として認識され、新たな基盤としての活用が拡がっているため、その市場規模は2015年~2020年まで年間平均成長率25.0%で拡大し、2020年には2,889億円に達すると予測している。

※1より良い意思決定の実現に役立つ隠れたパターン、未知の相関関係、その他の有益な情報を解明するために、ビッグデータを詳しく調べるプロセスのこと。
※2 Cognitive Computing。ある事象についてコンピュータ自ら考え、学習し、自分なりの答えを導き出すシステムのことを指す。
※3クラウドやモバイル、IoT、データ分析や人工知能(AI)、そしてそれらを支えるセキュリティなど、相互につながった技術の集合体である新たなデジタル・テクノロジー(デジタル技術)がビジネスや社会の現場や中核的なプロセスの中に取り入れられ、非常に大きな革新を引き起こしていること。

b) IoT(モノのインターネット)市場
さらに、ビッグデータの活用そのものであるIoT市場もビッグデータ同様に高い成長が予想されている。IDCジャパンによると、2015年に6兆2,232億円(前年比15.2%増)と推測される国内IoT市場規模は、2014年~2020年まで年平均成長率16.9%で成長し、2020年には13兆7,595億円に達すると予測している。この高い成長を予測するのは、1)2020年の東京オリンピック開催に向けた景況感の上昇期待、2)企業の事業部門におけるIT予算の拡大とIoTへの期待の高まり、3)IoTを利用する上での技術障壁/コスト障壁の低下、4)IoTを取り巻く法規制や支援策の変化などを挙げている。

(2)グループ成長に向けた戦略と取り組み

1)グループ各社の自律と融合を狙ったM&A、資本政策によりグループ体制を整備
同社は、グループ会社の自律と融合を狙い、過去1年間にわたりTDSEの資本増強をはじめとする事業基盤を固めるためのM&A、資本政策を実行し、グループ成長を加速させる体制の整備・強化を行ってきた。

具体的には、ビッグデータ事業の中核的な存在であるTDSEは、2016年2月に同社による資本増強と同時に、ZMPからの増資による自動運転分野での協業強化を実施したのに続き、4月にはマーケティング、ビジネスコンサルを行う子会社Creema(株)を経営統合し、ビジネスエンジニアリング事業を強化したことをアピールするために社名をTDSEへ変更し、ビッグデータ事業を本格的に開始した。

さらに、同社は2016年4月に、セキュリティベンチャー企業のTCSIへ出資(株式譲渡による出資額1.2億円)しIoTセキュリティ領域での協業体制を構築した。また、2015年8月には(株)沖縄ソフトウェアセンター(OSC)※へ子会社沖縄テクノス(株)が増資を行い、グループとして第2位の大株主となり、同社グループのニアショアビジネスの拡大推進の体制を強化している。

※内閣府国家IT戦略構想の一環として設立された沖縄IT津梁パークの先導的取り組みとして同社を含む沖縄県内外の企業45社の協力により2008年10月に設立されたIT企業。OSCは沖縄をソフトウェア開発におけるニアショア拠点とすべく、沖縄県内の IT開発力の集積を進め、共同開発拠点形成を推進している。

2) ERP事業の取り組み
中核事業であるERP事業では、同社の売上高の8割を占める主要ベンダーであるSAPとビッグデータ基盤HANAビジネスの強化による新技術獲得と、IoTを通じた業務の効率化を図るべく生産管理、工程管理を含めたERP周辺領域の強化やクラウドベンダーと協業によるSaas型ソリューション構築といった新領域への進出による事業強化を推進している。

注目されるのが新技術獲得に対する取り組みだ。SAPが提供する次世代型ERP「SAP®S/4HANA Enterprise Management」は、従来のERPではできなかった「予測分析」、「テキストマイニング」、「空間処理(顧客に最も近い営業員検索など)」を1つのプラットフォームで行うことが可能で、会計、人事、調達、サプライチェーン、製造、マーケティング、販売など合計10種類の業種処理をカバーする。このため、S/4HANAビジネスは同社のビジネスコンサル力と技術力を十分に発揮できる商材と考えられる。同社では、HANA技術に関しては、数年前より先見性を持って取り組み、社員教育を進めているが、今後については、オムニチャネルコマース製品の「SAP®Hybris®」、機械学習エンジン搭載のアナリティクス製品の「SAP®Predictive Analytics」等、データ経営を推進するための総合ITソリューションが取り扱えるように技術力の強化を進めると同時に、同社の業界別テンプレート「Factシリーズ」のS/4HANA化を化学、飲食・小売・流通業界から順次行う計画。

アウトドアメーカーのスノーピーク<7816>はデジタル変革の基盤としてSAPソリューションの採用を決定。同社は、2017年1月の本稼働を目指して、「SAP® S/4HANA」、「SAP®Hybris®」、「SAP®Predictive Analytics」の導入案件を今年5月に受注した。同社が受注した背景は、同社の高いITコンサル力とTDSEのデータ解析力が評価されたことによるものと考えられ、ビッグデータ基盤HANAビジネスの強化に大きく貢献すると見られる。中期的には、S/4の普及に応じてSAPユーザーのプラットフォームがリプレースされる可能性があり、S/4HANAとその周辺ソリューションの技術、ノウハウの蓄積は他社の導入した案件のリプレース案件という受注増加につながるものと予想される。

3)ビッグデータ事業の取り組み
ビッグデータ事業に関しては、TDSEがデータ解析から企業のビジネスエンジニアリングまで一気通貫で手掛ける体制を整え、ユーザーと共に新サービスを開発する事業参加型ビジネスを推進していることに加えて、IoTを通じたAI製品やアプリケーションの開発を行う知的集約型ビジネス(インテリジェントサービス)の事業モデルの構築も推進する。さらに、グループのビッグデータ戦略として、グループ会社だけでなく、ZMP、SAPジャパン、日本マイクロソフト、セールスフォース・ドットコムなどのビッグデータ協賛企業のほか、政府系研究機関や早稲田大学、筑波大学などの大学とWIN-WINの関係性を保持し、データドリブン経営の実現を目指している。

具体的なIoTサービス展開としては、自動車、金融、インダストリー、健康医療、デジタルマーケティング等の幅広い業界においてIoTを起点としたビジネスを展開する戦略。同社グループが保有する代表的なAI製品としてNetBaseと自社独自製品Scoroboの2製品のラインナップを有するが、新たにAI製品のIoTを軸としたサービスモデルの構築を検討する。加えて、日本マイクロソフト、セールスフォース・ドットコムといったクラウドベンダーとAI・IoTサービスモデル構築に向けたプラットフォーム構築に関して業務提携を進めており、今後は相互の強みを活かした事業参加型ビジネスによる知的集約型AIサービス構築に取り組む予定。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 森本 展正 )

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