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【注目トピックス 日本株】城南進研 Research Memo(5):主要な事業部門の動向

2016年8月12日 16:28

■主要な事業部門の動向

(1)予備校部門

城南進学研究社<4720>の2016年3月期の予備校部門の売上高は前期比2.6%減の2,760百万円となった。少子化という大きな流れに加えて、映像授業や個別指導などへと大学受験市場が多様化してきたことや、AO・推薦入試の拡大が加わり、伝統的な予備校の生徒数は縮小傾向が顕著となっている。

そうしたなか同社は、演習授業「THE TANREN」が引き続いて人気を集めているほか、春・夏の「合宿」等で売上単価の上昇基調を維持している。また、現役合格保証制度はさらに定着が進み、前期並みの約65%の高3生が選択した。これも売上単価の底上げに貢献した。これらの結果、2016年3月期は減収ではあったものの、減収幅を微減に抑え込むことができた。

弊社では、2017年3月期についても2016年3月期同様の傾向が続くとみている。すなわち、生徒数の減少影響を単価上昇で吸収するという構図だ。同社の2016年3月期の平均単価は544,856円だったが、合格実績にも支えられ、THE TANRENや合宿などの商品は好調な販売が続いているため、2017年3月期も一段の単価上昇は十分期待できると弊社ではみている。

(2)個別指導部門

個別指導部門は直営教室の運営収益とFC教室からのロイヤリティ収入からなる。2016年3月期の売上高は前期比7.7%増の2,363百万円だった。

直営部門の売上高は前期比7.2%増の2,018百万円となった。個別指導需要は年々高まってきており、生徒数・売上高ともに前期を上回った。期中の新規開校数は4教室で、期末教室数は66教室となった。直営教室は予備校に併設された教室もあって、高校生の比率がFCに比べて高い。その中で、小学生向け「ジュニアコース」、中学生向け「演習コース」を導入し、低年層の開拓にも注力した。

個別指導部門のFC収入は前期比11.1%増の345百万円となった。期末FC教室数は期中に16増加し216教室となった。同社は、FC教室の新規開校に当たってオーナーの資金力や立地に関する選択基準を厳格化し、FCの経営体質強化を進めている。弊社が1教室平均生徒数(入学者数を教室数の期首期末平均で除して算出)を分析したところ、2014年3月期は40人、2015年3月期は45人、2016年3月期は47人と、順調な拡大が続いている。生徒数の増加は教室経営のKPI(重要経営指標)の1つであり、それを見る限り体質強化は順調に進捗しているもようだ。

(3)映像授業『マナビス』部門

個別指導と並んで受験生間で人気が継続しているのが映像授業だ。同社は大手予備校・河合塾のFCオーナーとして「河合塾マナビス」を展開している。2016年3月期の映像授業部門の売上高は、前期比32.1%増の814百万円となった。入学者数は同31.0%増の2,072人であり、計算上の売上単価は392,943円に上昇した。

2016年3月期においては2016年2月に新越谷校を開校した。2017年3月期入ってからも、2016年6月に武蔵境校を開校しており、2016年6月末現在では13校を展開している。これはマナビス全体の約5%に相当するとみられる。そうしたなかで、同社の新浦安校は全マナビス(FC校のみ)中生徒数が第1位となっているほか、川越校は同様に、売上高第1位となっている。こうした好調を受けて、2017年3月期中においては武蔵境校に続きもう1校程度の新規開校を計画している。

(4)子会社ジー・イー・エヌ

ジー・イー・エヌは直営、FC合わせて20校の「ズー・フォニックス・アカデミー」を全国展開している。同社は2013年10月に子会社化(保有比率75%)し、同時にジー・イー・エヌのFCオーナーとしてズー・フォニックス・アカデミーを2校運営している。

2016年3月期はズー・フォニックス・アカデミー事業の売上高は前期比19.0%増の288百万円となった。生徒数(期中平均)も11.0%増の1,957人と順調に増加した。2016年3月期は期中の新規開校はなかった。利益面では表参道校の校舎移転費用により、一時的に落ち込んだ模様だ。

同社はジー・イー・エヌの子会社化に伴うのれんについて、2016年3月期決算で減損処理を行い、177百万円を特別損失として計上した。これはジー・イー・エヌの単年度業績が厳しいということではなく、教育の質の確保を店舗拡大より重視しているため、今後の事業拡大のペースを買収当時に比べてスローダウンする形で見直したことが原因だ。買収当時に比べ英語教育事業への参入者が増加した結果、同社が求めるクオリティを有したネイティブスピーカーの人材の確保を優先することによって、事業拡大計画を見直し、のれんの減損処理を行ったということだ。

弊社では、質を重視した同社の判断は正しいと評価している。ブランド力というのは一度毀損すると回復するのが難しいと考えるからだ。堅実な運営を続けることは、顧客満足度のみならず従業員満足度をも向上させ、それが人材確保にもいずれプラスに働いてくると弊社では考えている。同社のこうしたスタンスは、ズー・フォニックス・アカデミー事業に限らず、同社全体を貫く経営哲学であり、同社の強みの1つとなっていると弊社では考えている。

(5)子会社久ケ原スポーツクラブ

同社は2015年11月に大田区でスイミングスクール等を運営する久ケ原スポーツクラブを完全子会社化した。同社は報告セグメントとして「スポーツ事業」セグメントを新設し、2016年3月期は4ヶ月間の連結業業績として売上高97百万円、営業利益11百万円を計上した。

久ケ原スポーツクラブの成長戦略やシナジー効果については今後、詳細な検討が進むと思われる。2016年3月期においては、積極的な集客よりも退会率の低減に努めた。スイミングスクールに通う小学生の典型的パターンとして、小学校入学前後に入会して小学校3,4年で退会してしまうというのがある。4泳法のマスターと勉強重視の時期に差し掛かるという2つの要因が重なるためだ。マネージメントの強化により、退会率が明確に改善した。同社はこのモデルをさらにブラッシュアップして、退会率の改善にとどまらず、他の学習商品へのシナジー拡大を狙う予定だ。

前述の久ケ原スポーツクラブの事例は事業拡大の可能性を示唆している。例えばeラーニング教材の法人販売だ。小学生の途中退会は業界共通の悩みであり、その解決策としてeラーニング教材が有効であることが実証されれば売り上げ拡大に貢献することが期待される。また、高度な指導者を招いて選手育成コースも設置した。人数的なキャパシティの問題があるためスイミングクラブだけの成長には限度があるとみられるが、教育事業の売上拡大という形でのシナジーについては様々な可能性が秘められていると弊社ではみている。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 浅川 裕之)

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