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【注目トピックス 日本株】トラストテック Research Memo(5):「地域」と「領域」の2つの軸で事業を拡大

2016年8月31日 16:20

■中期経営計画と成長戦略

(1)中期経営計画の経緯と概要

トラスト・テック<2154>は2015年8月に中期経営計画を策定・発表した。そこでは、“自立成長とM&Aを両輪とし、「年率20%以上の成長スピードを維持」、「連結営業利益率10%の達成」を目指す”ということが『方針とする経営指標』として掲げられた。

その後2016年8月には、2015年8月発表の内容を維持しつつ、その実現に向けた成長戦略をアップデートした中期経営計画を発表した。具体的には、「地域」と「領域」の2つの軸において、同社の「独自のポジション」を確立することで、成長・拡大を実現し、「年率20%以上の成長スピードを維持」、「連結営業利益率10%の達成」の2つを実現しようというものだ。

中期経営計画における業績計画について、具体的な業績数値は2017年6月期の業績予想にとどまっているが、『方針とする経営指標』に沿って考えた場合、2018年6月期の売上高は500億円超、2019年6月期の売上高は600億円超という水準が浮かび上がってくることになる。営業利益率については2019年6月期において10%という目標値達成を目指してくるものとなっている。

(2)中期成長戦略の詳細

同社の中期成長戦略の骨格は「地域」と「領域」の2つの軸で事業を拡大し、その結果として同社の成長を実現するというものだ。そして、成長実現をより確実なものとするために、2つの軸のそれぞれにおいて、目指すべき同社独自のポジションを掲げている。

a)「地域」
地域とは、文字どおり同社が事業を展開する地理的な場所のことだ。同社は国内市場については成長スピードの維持が困難になるとの認識を有している。また、国内市場においては今後、競合が激化するとの認識も有している。他方、世界市場については、全世界の人材派遣市場が約42.4兆円規模に達し、日本の人材派遣市場(約6兆円)の7倍の規模があることに注目している。この世界市場規模と、同社の顧客企業が設計・開発・製造の現場を海外展開している現況を踏まえれば、同社が世界展開に成長余地を見出そうというのは、ごく自然なことと言える。また、同社が国内市場で培った事業・経営ノウハウは、世界市場、特に先進国・成熟市場においては有効活用が可能だと期待される。

以上のような現状認識に立ち、同社は、地域軸について「技術・製造派遣において世界複数国の事業基盤を持つ」ことを独自ポジションとして目指すことを掲げている。

b)「領域」
領域とは、同社が展開する事業ドメインのことだ。同社は技術派遣・製造派遣という領域で事業を展開しているが、このうち、製造派遣・請負は、顧客はメーカーであり、生産品目が何であれ“製造”に関する派遣・請負を行っている。一方、技術派遣は現状、同社本体を通じて主として機械・電気系領域の顧客に対してサービスを提供している。さらに、子会社のフリーダムにおいてIT・ソフト領域をカバーしている。今後はIT・ソフト領域を一段と強化するとともに、大きな市場が期待されている「IoT」や「AI」の領域にも進出することを目指すというのが、領域軸の目標であり、目指す独自ポジションの内容となっている。

c)まとめ
今中期経営計画における同社の成長戦略をまとめると、領域軸では、現状は国内市場で、製造派遣・請負と、機械・電気領域及びIT・ソフト開発領域における技術派遣・請負を展開している。

地域軸については、国内市場は前述のとおりだが、海外市場ではこれまで香港子会社が人材紹介事業を展開するにとどまっていた。香港は人材派遣市場の観点では未成熟国であり、事業拡大における制約は不可避の状況だった。したがって本格的な海外展開を行う上では、派遣市場が成熟した国・地域での展開が不可欠であるとの認識を有していた。そこにMTrecのM&A案件が持ち込まれ、内容や買収スキームを精査した結果として、買収を決断し、本格的海外展開に一歩を踏み出したというのが2016年8月現在の同社の状況だ。

同社は「今期からの実施・検討施策」の中で、国内では技術系領域(機械・電気・IT・ソフト)におけるM&Aの実施と、欧米等の成熟した派遣市場での新たなM&Aの検討を掲げている。また、未成熟なアジア市場では、現地法人設立や中国での現地企業との協業などを検討課題としている。

弊社では、地域と領域の2つの軸による成長戦略は、同社が経営上の意思決定を行う上で、明確な指針となり得るものと評価している。また、過去のM&Aや各種施策の評価を行う上でも2つの軸を切り口とすることで、正確な評価が可能になり、過去の成功・失敗の体験を積み重ねて将来の成功に結びつけていくことが可能になると考えている。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 浅川 裕之)

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