投資

欧州のリスク回避の金買い 中印の需要落ち込みをカバー

 米連邦準備制度理事会が約9年半ぶりの利上げに踏み切った昨年12月、16年中に4回の利上げが実施されるとの見方も強かったことから、金が大きく売られた。ヘッジファンドが売りを仕掛け、ニューヨーク商品取引所(COMEX)金先物市場では同月、1トロイオンス(約31.1035グラム)=1045.40ドルの安値を付ける局面もあった。

 しかし、1050ドルを割れると、中国を中心としたアジア勢の強烈な実需の買いが入り、金価格の下落に歯止めをかけた。

 欧米のヘッジファンドによって金が売られすぎて下落した局面では、アジアを中心とする新興国が旺盛に現物買いを入れてくるのが近年のパターンだった。

 この時も状況的には1000ドルを割れてもおかしくなかったが、新興国の買いが下値をサポートした。空売りをしていたファンドは、なかなか価格が下がらないため、金を買い戻し始めていった。

 その後、日銀のマイナス金利導入、米国の追加利上げの見送りなども受けて、金価格はじわりじわりと水準を切り上げながら上昇していった。5月2日には1306ドルと、昨年の高値1307ドル付近にまで達した。

 だが、今年に入ってから5月までの上昇は、複合的な要因はあるものの、過去の節目となった高値のように何か大きなイベント(出来事)があったわけではない。国際金融環境を映した、いわば「マクロ型」の上昇といえる。

 対して「イベント型」上昇はどうか。

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