マネーポストWEB「マネーポスト」公式サイト

FiscoNews

【注目トピックス 経済総合】フィスコ世界経済シナリオ:SDR・AIIB、中国の野望は成就するのか?

2016年9月5日 17:51

2016年10月1日、SDR構成通貨に人民元が導入される。SDR構成通貨入りのメリットとしては、人民元の国際化の象徴となる、各国が外貨準備として人民元建て資産を増やす契機となる、中国が提唱・主導する形で2015年12月25日に発足したAIIBの人民元建て投融資のバックアップとなるなどが考えられる。

2015年4月末現在、各国が外貨準備で保有する元は約6700億元(約12兆7千億円)であり、世界の外貨準備の1%前後であったが、SDR入りすることにより、外貨準備全体の5%程度まで元の比率が上昇するとの見方が多く、5000億ドル相当の人民元需要が創出されるとみられている。また、AIIBの投融資の際の通貨選択は、借入主体の需要に基づくと規定されており、現状ではドル建て投融資が中心となる公算。ただ、人民元のSDR構成通貨入りで、国際通貨としての信認が得られれば、人民元建て投融資の大義名分が獲得できる。こうした投融資を人民元建てで行えれば、中国企業の海外進出のサポートになる。

とりわけ、中国の最大の狙いは、元の地位を上げることで、AIIBによる人民元建て投融資を増やすことであると考えられる。中国にとって、アジア諸国への投資は国益につながり、地域での影響力を拡大することができるほか、インフラ建設の受注を中国企業が獲得することも狙いの一つとなろう。アジア低所得国のインフラ整備で国内インフラ投資の需要減少を補い、中国の過剰生産能力を吸収することも視野に入れていると見られる。現状の対象となり得るプロジェクトは900件、総額8000億元が存在するとの指摘もある。中国における開発プロジェクトは今後減少が予想されるなか、海外へ社会資本整備を輸出して、それに伴って、労働者の海外派遣で雇用維持も念頭に置く政策が進められる可能性があろう。

SDRやAIIBに関して、中国の想定どおりに進まない可能性も多く指摘されている。まず、投資家が人民元を保有しないのは、「SDR未採用」だからではなく、流動性が低いことや制度変更リスクが高いことなどが主因とみられている。外貨準備の出動が最も必要なとき換金できないリスクがあることは、例えSDR構成通貨となっても、外貨準備の運用には適さないといえよう。また、受け皿となる点心債市場の規模も小さすぎるとみられる。

AIIBに関しても、借入国が中国元で返済するためには、中国に元建てで輸出を行い、中国元を稼ぐ必要があるが、大半は中国との貿易収支が赤字と見られ、中国元の確保が困難になる。また、中国を除く国との貿易で中国元決済を行っている国も多くない。このことからも、借入国が中国元建ての借入を選択しにくい可能性があり、中国の思い描くインフラ輸出が拡大するかは不透明。加えて、既存の国際開発金融機関では、特定のドナー国(援助を行う国)の企業ばかりがプロジェクトを受注するような「ひも付き」入札は排除されている。これまで中国の域外直接投資は、現地の雇用が増加せず、利益は現地に設立された中国企業に持っていかれるとの批判もあった。過去に、中国の国益重視のグローバル展開は、ミャンマーやスリランカで失敗した経緯もある。

中国の不良債権問題などがあらためてクローズアップされてきているほか、過剰債務問題に対する各国の批判なども高まりつつあるが、こうした不安感や懸念が表面化する前に、SDR・AIIBによる中国の復活が顕在化するには時間が少ない可能性が高いだろう。

<WA>

fisco

eth-induction-th

トルコリラが金利8%に。魅惑のFXスワップ投資とは
トルコが2年半ぶりに利上げ。FXスワップ投資を始めるなら今が好機か?スワップ投資のメリットと注意点、スワップ投資に最適なFX会社について、マネーポストWEB編集部が検証する。<続きを読む>
  • 2016年に100万円以上の実績も FXは自動で取引してくれる「フルオート」が理想か
  • 話題のロボアドバイザー 投資未経験者や初心者になぜオススメか?
  • 2017年新春号(2016年12月1日発売号)

    大特集は〈2017年の大本命株ベスト35〉。ここからが本番のトランプ相場。「株高新時代」で大化け期待の個別株を藤井英敏氏、戸松信博氏らがランキング形式で紹介。さらに橘玲氏、森永卓郎氏らレギュラー連載陣が独自の視点からトランプ大統領誕生の影響を読み解く。定価620円。お早めにお求めください。

    当サイトに記載されている内容はあくまでも投資の参考にしていただくためのものであり、実際の投資にあたっては読者ご自身の判断と責任において行って下さいますよう、お願い致します。 当サイトの掲載情報は細心の注意を払っておりますが、記載される全ての情報の正確性を保証するものではありません。万が一、トラブル等の損失が被っても損害等の保証は一切行っておりませんので、予めご了承下さい。

    水上紀行ニュースフラッシュ

    2017年新春号(2016年12月1日発売号)

    大特集は〈2017年の大本命株ベスト35〉。ここからが本番のトランプ相場。「株高新時代」で大化け期待の個別株を藤井英敏氏、戸松信博氏らがランキング形式で紹介。さらに橘玲氏、森永卓郎氏らレギュラー連載陣が独自の視点からトランプ大統領誕生の影響を読み解く。定価620円。お早めにお求めください。

    当サイトに記載されている内容はあくまでも投資の参考にしていただくためのものであり、実際の投資にあたっては読者ご自身の判断と責任において行って下さいますよう、お願い致します。 当サイトの掲載情報は細心の注意を払っておりますが、記載される全ての情報の正確性を保証するものではありません。万が一、トラブル等の損失が被っても損害等の保証は一切行っておりませんので、予めご了承下さい。

    小学館雑誌定期購読小学館のプライバシーステートメント問い合わせ広告掲載について

    © Shogakukan Inc. 2017 . All rights reserved. No reproduction or republication without written permission. 掲載の記事・写真・イラスト等のすべてのコンテンツの無断複写・転載を禁じます。