田代尚機のチャイナ・リサーチ

人民元のSDR構成通貨入りで「人民元高・ドル安」へ

 人民元市場は、国内市場とオフショア市場とに分かれ、オフショア市場を通じた開放といった変則的な市場形態となっている。さらに、オフショア市場の歴史は7年程度と浅く、市場の厚みが薄い。

 使い勝手の悪さから、中国貿易について、現状では人民元による決済比率は低い。たとえば、8月の人民元による貿易決済は3393億元で、貿易総額の15.5%に過ぎない。しかし、そのことは、逆に今後、人民元需要に大きな“伸びしろ”があることも示している。

 貿易において人民元決済が増えるということは、米ドルによる決済が減ることを意味する。人民元の国際化が進み人民元オフショア市場が拡大するということは、米ドル圏内にある金融市場が縮小することを意味する。

 大きな流れとして、人民元需要は増加し、米ドル需要は減少し、その結果、人民元は上昇基調へ、その分、米ドルは下落基調となりそうだ。

文■田代尚機(たしろ・なおき):1958年生まれ。大和総研で北京駐在アナリストとして活躍後、内藤証券中国部長に。現在は中国株ビジネスのコンサルティングなどを行うTS・チャイナ・リサーチ代表。ブログ「中国株なら俺に聞け!!」、メルマガ「週刊中国株投資戦略レポート」も展開中。

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