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【第3回】モテたくて始めたキャバクラのボーイから店長へ! | 突然マルサがやってきた!

「何それ、そんなに儲かるの? ヨシ、やってみよう!」

 僕は本当に、アホでした。資金が吹っ飛ぶリスクもあるのに、儲け話にすっかり目がくらんでそんなことまるで眼中にありませんでした。

 絶対儲かると信じて、100万円ほどゴムの先物を買ってしまったんです。

■親父の死亡保険金1000万円が半年でパー

 最初に買ったゴムがどうなったか、今となってはよく覚えていません。なぜならこの後、次々といろんな取引を勧められ、ワケがわからなくなってしまったからです。

「社長、大変です! 大豆が急騰してます! 早く買わないと!」

「前回は残念でしたね。今度はアルミで挽回しましょう!」

 大豆の山田とか、アルミの加藤とか、とにかくいろんなヤツが次々と電話をかけてきて、新しい取引を勧めるのです。僕自身、なんの知識もなかったので、すっかり食い物にされていました。

 商品先物取引は、簡単に言うと近い将来に値が上がるか下がるかを予想して取引し、予想が当たれば儲かるけど、ハズレたら損をするという取引です。

 証拠金として一定の額を納めればその10倍や20倍といった金額の取引ができるので、勝てば大儲けできるけど、負けるとダメージが大きく、納めた証拠金をすべて失ったり、それ以上の損失を負うこともあるのです。

 予想と逆の方向に大きく値が動くと、納めた証拠金の範囲内で担保できなくなるので、強制的に決済されて資金が吹っ飛びます。

 それがイヤなら「追証」という追加の証拠金を払って、値が戻るのを待つという手もありますが、納めた後でさらに損が膨らんで、追証共々吹っ飛んでしまう、ということもあり得ます。

 もちろん、必要な知識を持って、リスク管理をしながら慎重に取引すれば決して怖いものではないし、取引会社だって法で定められた適正なセールスとリスク説明をする会社がほとんどです。

 しかし当時の僕はそんなこと一切勉強せず、恐ろしいほど無謀な取引をしていました。そして半年後──。

 気がついたら親父の死亡保険金1000万円は全部なくなっていました。これが僕の、初めての投資でした。

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