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【注目トピックス 経済総合】【休日に読む】一尾仁司の虎視眈々(1):◆米国の誤算◆

2016年10月23日 9:40



〇円ロングの手仕舞い続くか、投機筋の狙いに修正余地〇

先週末、米国のジレンマを示すニュースが二つあった。一つは「半期為替報告書」。スイスを加え、日本、中国、韓国、台湾、ドイツを「監視リスト」に指定した。要件は、1)対米貿易黒字が年200億ドル超、2)経常黒字がGDP比3%超、3)一方的な為替介入による外貨買いがGDPの2%超、のうち2項目が該当すること。3条件が揃えば経済制裁の検討に入る。ドイツが為替介入と言うのはおかしな話だが、いずれも対米黒字国で、米国が貿易赤字拡大に神経質になっていることの表れ。報道では、円売り介入牽制と報じられたが、これを見越して、日銀は短期金利の機動的引き下げの体制を仕組み、円高抑止のスタンスを取っている。

一方、16会計年度(10~9月)の財政収支が5874億ドル(約61兆円)の赤字と発表された。赤字額は前年度比34%増、5年ぶりの悪化。オバマケアで拡充した低所得者層向け医療保険など社会保障費が圧迫した。リーマン・ショック後の09年度1.4兆ドルから大幅に減ってはいるが、トランプ旋風の影響もあって大量移民の時代は終わりつつあり、ジワリ高齢化社会の負担が忍び寄っていると受け止められる。移民を受け入れない日本ほどではないが、先進国には社会保障費増の圧迫が表面化して来よう。

双子の赤字は、金利上昇、ドル高は困るとなるが、海外からの資金流入は維持しなけらばならない(金利は高め、緩やかなドル先高観の維持)構図だ。13年にバーナンキ前FRB議長がテーパリングを開始した時は、シェール革命による貿易赤字体質の改善、1200万人の不法移民認知による内需拡大、企業業績拡大による税収増(本国への投資還流期待)などがあったが、原油価格は半値になり、ドル高のみ進行して企業業績などを圧迫、国防費削減による財政赤字抑制が世界不安を招く、罵り合いの大統領選等々、誤算が相次ぐ状態にある。

11日現在の投機筋のドル買い越しは8か月ぶりの高水準(IMM通貨先物建玉、主要6通貨に対する買い越し額は前週の105.2億ドルから147.2億ドルに増加)。確率69%に上昇している12月利上げ観測が支え。短期的な動きとは言え、中長期のジレンマとの間でギャップ感がある。この中で変化が出た。メキシコ・ペソの売り越しが−3万4100枚、カナダ・ドルの売り越しが−2373枚と各々減少した。メキシコ国境の壁、NAFTA排斥を主張するトランプ・シナリオが後退したと見られる。それに連動して、ヘッジ的に買われてきた円ロングが2万2786枚減少した(なお4万5909枚の円の買い越し)。先週の円ジリ安基調を支えたと考えられる。

ユーロと英ポンドの売り越しはあまり変わっていないので、一段の円安が進行するかどうかは、その動向がカギを握ろう。とりわけ、英ポンドが注目される。10月前半の2週間で約6%下落したが、インフレ懸念が高まり、10年物国債利回りは1.149%と国民投票の6月23日以来の水準に上昇した。また、ソフトバンクとサウジが創る10兆円ファンドはソフトバンクの英子会社が運用すると伝えられた。金融拠点=情報拠点であり、EU側がパスポート喪失を警告しても、ロンドン・シティーの地位を大きく脅かすことは難しいと見られる。喧伝されるほどブレグジットがハードにならないとすると、ポンド売りには巻き戻しの余地が生ずる。

日本株は決算相場に移行しているが、為替水準で評価は変わる。円安基調持続を前提に16000~17500円ゾーンの上限トライとの見方を継続する。


以上


出所:一尾仁司のデイリーストラテジーマガジン「虎視眈々」(16/10/17号)

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