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まず最初に申し上げておくが、「100年に一度」といわれる世界的な金融危機は、すでに過ぎ去った。そればかりか、震源地となった米金融機関の業績改善によって株価は暴騰する可能性が高まっている。

実は、その兆しは2009年3月10日に表われていた。

同日、経営再建中のシティグループのパンディットCEO(最高経営責任者)が「2009年1~2月期は黒字を確保した」というニュースが伝わった。新聞では小さな扱いだったが、以前から「金融機関の業績改善タイミングこそが株式投資の絶好機」と考えていた私には1面トップニュースのように映った。

業績改善が大幅な株高を引き起こすことを私たち日本人はよく知っている。2003年5月、りそなグループが国有化されたことで、その年の株価は金融株を中心に暴騰を演じた。規模やスピードこそ違うが、「あの時と同じように、 公的管理下に置かれたシティの業績改善によって株価は暴騰する」と考えたのだ。

実際、米国株と日本株は連動性が高いため、日経平均株価はその日を境に1か月間で約2000円もの上昇を見せた。

これを株価上昇の「第1波動」とするなら、「第2波動」は5月の連休明けに訪れた。

5月7日、米金融当局が大手金融機関の健全性を審査する資産査定(ストレステスト)の結果を発表し、バンク・オブ・アメリカをはじめ大手10社に計746億ドル(約7兆4000億円)の資本不足があると指摘した。本来、金融機関の傷み具合が明らかになれば、株価に対してマイナスインパクトとなるはずだ。ところが、実際には「悪材料出尽くし」と見られ、米国の金融株は軒並み上昇し、日経平均も高値を更新するなど、〝株高の号砲〟となったのである。

問題は、そこから先だ。目先には新型インフルエンザなどの悪材料があり、「まだ危機は終わっていない」という意見も根強い。現在の株価上昇は一過性で今後の下落を予想する声も少なくないだろう。私自身、日経平均株価も上値を追っていく展開を予測しているが、そこから先は、例えばトヨタ自動車が2期連続の大幅赤字見通しを発表したように、日本株の買い材料が底をつき、2009年内は1万1000~1万4000円のボックス圏で推移するのではないか、と見ている。

とはいえ、金融危機が去りつつある現在、日米欧各国は史上空前の利下げと量的緩和策を打ち出し、これまでにない規模の資金を供給している。ジャブジャブにあふれたマネーが集中投下されれば、いつかどこかでバブルが到来するのは間違いない。

世界に目を広げれば、それらのマネーが大量に流れ込むことで中長期的な上昇局面が期待できる市場はある。

結論からいえば、その行く先として私が有望視しているのが「中国」である。

中国・上海証券取引所の上場銘柄の値動きを示すインデックス・上海総合指数の推移。2006年初頭は1200ポイント弱だったが、翌07年10月には6000ポイントに達し、わずか1年半あまりで指数ベースで6倍近くに急騰した。木下氏は、同年6月、5000ポイント前後の段階で、「中国株のバブル崩壊」と指摘し、実際、そこでピークをつけた株価は08年10月には1600ポイントまで下落(ピーク時の3分の1以下)した。しかし現在、中国株は他の市場に先駆けて回復基調を見せており、「数年内に再び6000ポイントを回復する」(木下氏)と予想している。
I MF(国際通貨基金)の世界経済見通しによると、世界的に経済成長が落ち込む中、依然として中国の高い成長率が際立つ。世界的に成長率がボトムをつけると見られる2009年見通しでも6.5%成長を維持している。「私は、GDPと株式時価総額は相関すると考えている。『将来のGDP』と『現在の時価総額』の差が大きい国ほど、投資妙味がある。10数年後まで考えれば、中国株の時価総額が数倍になってもおかしくない」(木下氏)

かつて私は中国株バブルの発生と崩壊を言い当てたことがある。

代表的な株価指数である上海総合指数がまだ1000ポイント台だった05年9月には、ゴールドマン・サックスなどが中国最大の中国工商銀行に出資をし、不良債権ビジネスに乗り出す動きを見て、80年代の米国や2000年代の日本の金融危機同様に株価反発を予想した。その後、上海総合指数は約6倍となる6000ポイントまで上昇したのは記憶に新しい。

一方で、07年9月には、中国株のバブル崩壊の予兆を指摘した。当時、中国の株式時価総額は日本を上回る600兆円に膨らんでいた。これは中国のGDP(国内総生産)の約300兆円をもはるかに上回っていた。実体経済の規模を示すGDPよりも時価総額が大きくなれば、それは明らかにバブルといえる。日本でも1988~89年にかけて時価総額がGDPを大幅に上回った結果、バブルが崩壊した。同様に、中国株も危ないと警告を発したのだ。

実際、その後の中国株は大幅に下落。2008年11月には上海総合指数も1600ポイントまで沈み、ようやく3000ポイント近くまで回復してきたが、株価上昇はそれでは終わらないというのが私の見方である。

早ければ2009年中にも、再び中国でバブルが発生する可能性が高まっているのだ。なぜ、いま再び中国発のバブルが予想できるのか。理由はいくつも挙げられる。

例えば、中央銀行である中国人民銀行は「GDPの伸び率は08年10~12月期が最低で、09年1~3月期から回復が始まっている」と、すでに中国経済は底入れしたと宣言した。

あるいは、金融危機によって世界的な銀行の貸し渋りが懸念されるなか、中国の大手商業銀行6行の2009年3月末の貸出残高は2008年末より15%以上増えたことも明らかになっている。

つまり、中国は金融危機を世界でいち早く乗り越えようとしているのだ。

根拠は、それだけではない。

中国ではインフレが続いていたため、政府はその抑制に向けて利上げせざるを得なかった。だが、今回の不況を受ける格好で、〝棚ボタ〟同然に利下げに踏み切ることが可能になった。金利が下がればマネーが市中に出回る。それがバブル発生の素地となることはいうまでもない。

原油高が続いていた2008年6月には、中国では初となる電気料金の値上げも断行された。それまで原油の高騰分は政府がカバーしていたが、この引き上げによって政府の負担は軽減。しかも、世界の原油輸入量の半分近くを占める中国が値上げを口にすることは「もう高い原油は買わない」と宣言するに等しい。れによって中国は世界の原油価格をコントロールできる立場となり、結果的には原油高に歯止めをかけたのである。

いまや中国は630兆円を超える人民元と200兆円近い外貨準備高という世界一のキャッシュを抱える国家となった。その豊富なキャッシュをバックに4兆元(約57兆円)にも上る、世界最大規模の景気対策まで打ち出している。

しかも、その中身を見ていくと、「安価な住宅の建設」や「農村基盤の整備」「鉄道などのインフラ整備」といった内需刺激策が目白押しとなっている。

実際、世界的な消費減速が叫ばれるなか、内需の拡大傾向は著しい。日米の自動車販売が不振を極める一方、中国の3月の販売台数は111万台と過去最高を記録。4月はさらにこれを上回り、いまや米国を抜いて世界最大の自動車市場と化しているのだ。