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そして、私が中国に注目する最大の理由が「新興国が先進国入りして安定成長へと移行する時、株価は劇的に上昇する」点にある。

例えば、日本のGDPは【1】50~60年代にかけて2ケタ成長を遂げて日経平均は20倍に膨らんだが、【2】5~6%成長に落ち着いた70~80年代にも同様に20倍の上昇となった。これを絶対値で見ると、【1】の期間が100円から2000円へと1900円の上昇だったのに対し、【2】では2000円から3万8000円へと、実に3万6000円もの値上がりを見せたのだ。

ドイツも89年の東西統一によって安定成長国入りすると、株価指数が6倍以上に跳ね上がった歴史を持つ。新興国への投資は「成長率の高さ」だけに注目すると見誤る。最も重要なのは、その先にある先進国入りするタイミングなのだ。

ならば、インドをはじめ他の新興国を狙ってもいいのではないかという意見もあるだろう。しかし、中国には他の新興国にはない魅力がある。

前述した通り、すでに中国は今回の金融危機からいち早く回復しつつある。もともと資本主義でない国が資本主義がつくり出した危機を世界に先駆けて乗り越えようとしているのだ。それこそが、資源国ではない日本がかつてオイルショックを乗り越えて先進国入りしたイメージと重なって見えるのだ。

こうして見ていくと、中国のバブル到来の必然性は高まっている、といっても過言ではない。早ければ5年以内に上海総合指数は6000ポイントを回復するだろうし、かつての日本やドイツなどの歩みを見れば、さらに上値を追う展開になっても何ら不思議はない。

株価の重石となっていた金融危機が去り、中国でバブルが到来する─。この大きなうねりをどう捉えるかで、今年はもちろん、数年先に得られるリターンは大きく変わってくる。

だからといって、何でも上がるわけではない。バブルを見越した投資には注意点がある。

まず、本気で儲けたいのなら、「集中投資」しかないと考えるべきだろう。バブルは崩壊と隣り合わせであり、実益を手にするためには常に売り時、つまり「逃げ時」を考えておく必要がある。いつどこでバブルが起こるかわからないからといって広く分散投資をしていると、逃げたい時に逃げにくい。自分でもよくわからない市場にまで分散投資するくらいなら、徹底的に勉強して自信のある投資先に資金を集中させた方が、実は傷が浅くて済む。

もちろん株価指数、つまりインデックスに投資しても大きなリターンは得られるだろうが、中国株のインデックスの場合、金融株が55%を占めている。金融株は世界的にほぼ同じような値動きをするので、あえて中国狙わずとも、日本や米国の金融株を買ってもよいわけだ。

そこで注目したいのが、やはり拡大が見込める内需関連銘柄だ。不動産建設に欠かせない鉄鋼やセメントといった「素材」、急ピッチで整備が進む「インフラ」、消費拡大に伴う「自動車」も有望だろう。あるいは「ネット関連」も日本の10倍の人口を有しながら3分の1程度しか普及していない状況を見ると、拡大の余地はあるといえる。

日本から中国株に投資する際は、上海・深しん.せんB株といった本土市場と、香港市場があるが、具体的な銘柄を選ぶ際には、情報が豊富で分析しやすい香港上場企業を狙いたい。特に、時価総額が上位の企業であれば、それだけ投資家の信頼も高いといえるので安心だろう。

そして、最も肝心なのが売買タイミングだ。今ならいつ買ってもよいが、売り時は慎重に見極めたい。特にバブル期は時価総額がGDPを大きく上回った後に崩壊する。【1】上海総合指数が6000ポイントまで回復、【2】時価総額がGDPを上回る、の2つが売り時の目安となる。加えていえば、バブルは金融株が主導するので金融株が横ばい、さらには下落に転じた時も警戒が必要といえる。「上がる市場に集中投資」をして「売り時は分散すること」が成功への近道である。

世界の株価の下落リスクが大きく後退するなか、これ以上大きなリスクはないと考えられるのが「新型インフルエンザ」である。 弱毒性といわれているが、だからこそパンデミック(世界的大流行)となり、十分な対策のとれない新興国へのダメージは計りしれない。 08年10月にアイスランドやハンガリーなどの国家的な危機が注目され、新興国のデフォルト・リスクは世界的な株価暴落の大きな要因となった。仮に中国をはじめとする新興国で大量感染が確認されようものなら、新興国のリスクが再び注目されることになり、非常にネガティブなインパクトを与えるだろう。米国のストレステストの結果発表によって、株価は「悪材料出尽くし」となり反発したが、今後の広がり方次第では、逆に「好材料出尽くし」となる可能性すらある。 実際、03年に中国で大流行した「SARS(重症急性呼吸器症候群)」の時は、金融危機の改善で日本株が大きく上昇したが、翌04年には中国株が暴落した。 人類にとって「わからない」ということほど脅威に映るものはないのである。 新型インフルがたとえ弱毒性であろうと、原因究明が進んでいないという不気味さはSARSに匹敵する。こうした世界的な感染は、株価の悪材料として取り沙汰されるニュースとはまったく異質なものとなり、世界中のヒトとモノの流れを止めてしまう。拡大に歯止めがかからなければ、影響は株式市場のみならず、世界全体に及ぶのは必至だろう。 その心配が杞憂に終わり、一日も早く安全宣言が出されることを期待するしかない。

「マネーポスト」2009年7月号に掲載