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「世界一」の自動車業界も全体の売上比率は小さい 中国の有力企業を見ていくうえで、まずご覧いただきたいのが上掲の「中国国有企業『業界別売上高』ランキング」だ。これは中国で発行されている『中国大企業集団年度発展報告・2009』をもとに、上位企業の売上高(2008年ベース)が1兆元を超える主要業界を並べたものである。

ランキング上では「鉄鋼」が1位となっているが、4位「石油加工」と5位「石油・天然ガス」は一体化しており、事実上のトップはこれらを合算した「石油」業界である。企業数は合わせて12社と少ないが、ここには世界一の時価総額を誇る中国石油天然気(ペトロチャイナ)や中国石油化工(シノペック)など超大型企業が名を連ね、全体の売上高の14.4%を占める中国最大のセクターといえる。

一方、いまや世界一の販売台数を誇る自動車は6位の「輸送用機器」に含まれるが、業界の売上高は全体の5.5%と意外に少ない。中国の自動車産業は、まだまだ日本のような基幹産業とはなっていないことも見て取れるだろう。

ただし、このランキングだけで、中国の有力企業の全体像を把握できるわけではない。まず銀行や保険といった「金融」は一般事業会社とは異なるため、ここにはカウントされていない。また、大規模な国有企業グループを集計の対象としているため、たとえ有力であっても、いわゆる民営企業のデータも網羅されていない。民営企業の多いIT業界などは対象外なのである。

加えて、ここに居並ぶ大きな業界がすべて今後も有望というわけではない。

たとえば、ランキングで2位の「電力」は資源価格が高騰するなかで電力価格の引き上げが遅れるなど収益見通しがあまりよくないという事情がある。あるいは、3位の「卸売」というのは、市場化の遅れた業界である。業界ごと、集団系列ごとに卸売業者としての大型企業が生き残っており、売上高が膨らんでいる。しかも、これらのほとんどが日本から直接投資できる上場企業ではないのである。

そこで、今回はあくまで投資先として有望な業種に絞り、可能な限り、公式データを集め、業界地図の作成を試みた。

中国の石炭業界は
"斜陽産業"ではない
中国における有望な業界とは、一言でいえば、今後の自国の発展に欠かせない、つまり国策として国家が後押しする業界である。

やはり13億人もの人口を抱える中国は、国家体制を維持するために経済発展による社会の安定が不可欠だ。3月に開かれた全人代(全国人民代表大会)でも、改めて「内需中心の経済発展」が打ち出された。そして、そのためには1人当たりGDP(国内総生産)の伸び、すなわち「消費」の拡大が求められている。

そう考えれば、まず政策が後押しする内需拡大に伴って伸長が期待できる業種としては、「自動車」や「小売」「食品」が挙げられる。

また、「不動産」も内需の柱である。現在、中国では不動産バブルを懸念して政府が不動産投機抑制策を発動しており、不動産株も大きく売り込まれている。しかし、内需拡大という国策に沿っているのは間違いなく、旺盛な実需に衰えは見えない。これらの4業界は、今後、株価的にも大きく期待できるだろう。

加えて、銀行などの「金融」や「資源」も経済成長の核として外せない。資源というと、日本では石油のイメージが強いが、中国の場合、石炭も重要なエネルギー源とされている。石油価格の上昇によって、石炭が代替エネルギーとして注目を浴びており、決して日本のような〝斜陽産業〟という位置付けではないのだ。

また、「世界の工場」といわれる中国にとって、「電機・電子部品」は輸出産業の中核と位置づけられている。世界的な金融危機の影響から輸出産業もダメージを受けたが、今後の世界経済の回復に伴って、再び注目を集めることが期待される。

以上のような理由から、今後有望と思われる10業種をセレクトし、業界勢力地図を作成した。もちろん、前述したように公式なデータは限られるが、できる限りのデータを集め、業界ごとに売上高(金融は総資産)ベースで規模の大きな企業や、特色ある注目企業を取り上げた。

詳しくは次ページ以降をご覧いただきたいが、各業界内においても政策の後押しが期待できる企業が個別にある一方、再編・淘汰の波に呑み込まれかねない企業もある。

たとえば、中国には大小含めて100社以上の自動車メーカーがあるといわれるが、政府は国策として大企業への集中を促しており、特色を持たない中小メーカーは再編の対象となっている。

せっかく目をつけた企業がその姿を消してしまっては元も子もない。中国株投資で大きなリターンを得るためには、業種だけでなく、その銘柄が今後も大きな成長が見込めるのかどうかを見極めることが成功のカギとなるのである。