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「FXスワップトレード」の新常識
一歩間違えるとハイリスク投資に様変わり!?
肝に銘じておくべき「スワップトレード」の注意ポイント
スワップ金利を長期にわたって享受できるスワップトレード。レバレッジを低くすれば、リスクも低くなり、長期の資産運用に最適だと思われるかもしれないが、やり方を間違える と突如としてハイリスクな投資になりかねない。おさえておくべき注意点を紹介しよう。
金利差だけにこだわって通貨を選んではいけない

スワップトレードでは、高金利通貨に投資をするのが基本だが、金利差にだけこだわると、大きなリスクを背負うことになる。
たとえば、南アフリカの通貨であるランドは、政策金利が6.5%であり、高いスワップ金利が得られる反面、為替レートの変動率が非常に大きい。そのため、一時的に「円高・南アランド安」が進行し、大きな為替差損が生じる可能性があり、リスクも高い。
為替相場の変動率が大きい通貨というのは、新興国に多く、その国の経済基盤、金融市場がそれほどしっかりしていないケースも多い。よって、そうしたファンダメンタルズが安定した国で、なおかつ、高金利である通貨を選ぶことが大事だ。現時点なら私はやはり、豪ドルがその筆頭通貨だと考えている。

通貨ペアを複数組み合わせて為替変動リスクを減らす

スワップトレードでリスクを減らす方法として、複数の通貨ペアを組み合わせる、というものがある。
豪ドル/円だけを保有していると、円高・豪ドル安になったときに、為替差損が発生してそれまでに得たスワップ金利が吹き飛んでしまう、ということもあるからだ。それを避けるためには、豪ドル/円以外の組み合わせ、たとえば、ポンド/スイスフラン、ユーロ/ドルといった、複数の通貨ペアに資産を分散させることが大切である。
ただし、だからといって、豪ドル/円とニュージーランド(NZ)ドル/円を組み合わせてもあまり意味がない。この2つの通貨ペアは似通った値動きをするので、分散効果も低いからだ。
できるだけ、為替の価格変動リスクを減らして、スワップを享受するためには、なるべく値動きが違う通貨ペアを選ぶことがポイントとなる。

金利差だけにこだわって通貨を選んではいけない

リスクを減らすためには、トレードを開始するタイミングであるエントリーにも注意が必要だ。長期投資だからといって、「いつ買ってもいい」というのは大きな間違いである。
スワップ金利は、毎日得られるため、なるべく早くエントリーしたくなるが、そのときの為替水準次第では、買ってすぐに為替差損が発生してしまい、スワップ金利どころでなくなる。
そんなリスクを回避するには、チャートを見ることが不可欠である。しかも、3か月、半年といった直近のチャートだけでなく、1年から5年といった中長期のチャートも見て、現在の為替水準が、安値水準なのか高値水準なのかをチェックすべきである。
そして、「いまエントリーしたら、どれくらいの損失額が出る可能性があるのか」を計算して、その損失幅が許容できるのかどうかを、冷静に判断しなければならない。それが許容できないのであれば、許容できる水準まで相場が動くのを待つのである。

「大切なのは投資スタンスをはっきりさせること」(大竹氏)
FXはハイリスクでありローリスクでもある

FX業界の今年最大の話題として、「レバレッジ規制」の導入が挙げられる。金融庁は、FX業者に対して、FXのレバレッジの上限を、2010年8月にまず50倍まで引き下げ、2011年夏をメドにさらに25倍に下げる規制の導入を決めている。従来は300倍、400倍といったレバレッジも存在していたため、大幅な引き下げとなる。

業界内には賛否両論あるが、リーマン・ショック時には、低レバレッジのスワップトレードでもロスカットが行なわれたこともあり、個人的にはリスクを減らす意味でも、規制強化には賛成である。

高いレバレッジをかけて1日に何度も取引を繰り返す投資家にとっては、今回の規制導入に伴い、トレードスタイルの見直しを迫られるだろう。しかし、ローリスクのスワップトレードをしている投資家にとっては、影響は少ない。スワップ狙いの投資家は、たとえリーマン・ショックのような出来事があっても、ロスカットされないようなポジションを持つことが求められているのだ。

そのためには、目標とする運用利回りを改めて考えるべきだろう。たとえば、現在の日本の低金利を考慮するなら、「年間6%の運用利回り」というのはかなりの高利回りになる。頭を切り替えて、目標利回りを現実的な水準に設定すべきなのである。

そして年6%利回りを目指すならば、FXではどんな運用をしたらよいのか?という視点が大事になる。たとえば、スワップ金利2%の通貨をレバレッジ3倍で保有すれば、2%×3倍=6%とスワップ金利だけで年利6%を得ることができる。また、金利3%×レバレッジ2倍でも年利6%は可能だ。目標利回りの設定次第で、こうした運用スタンスも見えてくるのだ。

とはいえもちろん、長期でローリスクなスワップトレードをやっていても失敗する投資家もいる。そのほとんどは、ルールを自分の都合のいいように変えてしまっている。

たとえば、スワップ狙いでエントリー後、たまたま急激な円安が起こり、大きな含み益(為替差益)が生じてしまうと、つい欲が出てしまう。すると、その時点で利益確定してしまうケースもあるだろう。

それで終わればよいのだが、一時的な成功に味をしめて、そこから少しだけ円高になった程度で、「円安はまだ続く」などとあまり根拠のない予想をして、再エントリーをしてしまったりするのだ。それが結果として、高値でのエントリーとなり、為替差損を生んでしまうのである。

これは、スワップ狙いのはずが、いつのまにか為替差益狙いになっているパターンで、非常に多い。

FXでは、為替差益を狙わなくても、スワップトレードだけで資産運用することも、十分可能である。そのためには、相場に振り回されず、投資スタンスを貫くことが最も重要なのである。

主要通貨圏の政策金利の推移(2009年1月?) スワップポイントで為替差損を相殺できる水準は?(豪ドル/円の場合)
 

「マネーポスト」2010年7月号に掲載