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【注目トピックス 日本株】アンジェス Research Memo(3):主要パイプラインは、遺伝子治療薬、核酸医薬、DNAワクチンなど

2017年1月10日 13:32

■主要パイプラインの開発状況

アンジェス MG<4563>の主要開発パイプラインは、自社開発品であるHGF遺伝子治療薬、NF-κBデコイオリゴ、高血圧DNAワクチンなどがある。2016年の開発計画として、期初段階では国内で3つのパイプライン(重症虚血肢向けHGF遺伝子治療薬、アトピー性皮膚炎向けNF-κBデコイオリゴ、薬剤塗布型バルーンカテーテル)について製造販売承認申請の可能性を見込んでいたが、重症虚血肢向けHGF遺伝子治療薬に関しては症例登録の進捗が遅れ、現在も臨床試験が続いている。また、残り2つのパイプラインについては臨床試験の結果、統計的有意差が得られなかったことで承認申請を断念し、開発方針を改めて検討することになるなど、順調に進んだとは言えない1年となったが、CIN治療ワクチンで森下仁丹と再許諾契約を12月に締結したほか、高血圧DNAワクチンについても、同分野の先進企業である米Vicalへ出資を行い、12月に戦略的事業提携契約を締結、開発体制を構築するなど、進捗したパイプラインもここにきて出てきている。各パイプラインの概要と今後の開発方針は以下のとおり。

(1) HGF遺伝子治療薬

a)重症虚血肢
HGF遺伝子の血管新生作用の効果を活用して、重症虚血肢とリンパ浮腫向けの開発を進めている。なかでも最も注目されているのが、重症虚血肢向けのプロジェクトとなる。重症虚血肢の患者数は米国だけで推定50万人とみられ、このうち血管内治療や外科的バイパス手術など既存の治療法の適応とならない、またはリスクの高い患者に対して有効な治療法が開発された場合に創出される市場規模は約50億ドルと推計されているためだ。

重症虚血肢とは重症の末梢性血管疾患を指し、血管が閉塞することによって血流が止まり、下肢切断を余儀なくされることもある重篤な状態を指す。HGF遺伝子治療薬を血管が詰まっている部位周辺に注射投与することによって新たな血管を作り出し、血管新生による血流回復によって症状の改善を図る効果が期待されている。

国内では大阪大学医学部附属病院が主導となり、先進医療B制度を活用した医師主導型臨床研究を実施しており(2014年10月に1例目を開始し、2016年9月に4例目の投与が開始されている)、6例のデータを持って条件及び期限付承認制度を活用した承認申請を行う予定となっている。治験デザインとしては1ヶ月ごとに2回投与し、2ヶ月の観察期間を設けており、主要評価項目としては「痛み、潰瘍の改善」を挙げている。現在、残り2症例の実施に向けて6ヶ所の医療施設で被験者のスクリーニングを進めている段階にある。最短で2017年第2四半期(2017年4月−6月)に申請できる可能性はあるが、臨床研究のスクリーニング条件に合致する被験者が見つかりにくいことから、残り2例の投与開始までに時間を要する可能性はある。ただ、今までのペースでいけば、遅くとも2017年内には6例のデータが集まり、その結果が判明するものと予想される。

一方、海外では2014年10月から実施してきた第3相のグローバル臨床試験を2016年6月に中止し、開発戦略の変更を発表している。開発にかかる期間と費用を削減し、できるだけ早くHGF遺伝子治療薬の実用化を進めることが目的となっている。グローバル臨床試験では約500例の重症虚血肢患者を対象にプラセボとの比較試験を行い、主要評価項目を「下肢の切断・死亡に至るまでの期間」とし、観察期間を1年半としていた。ただ、重症患者においてプラセボとの比較試験を行うことや、観察期間が長期にわたることから被験者が計画どおり集まらず(臨床試験開始から1年半余りの間で約50症例)、500症例を完了するまでには相当の時間を要するものと判断し、開発戦略を変更することを決断した。

今後の開発戦略については、2016年8月より米スタンフォード大学と共同で検討を進めており、2017年春には概要が示される見通しだ。新しい治験デザインでは、主要評価項目を国内と同じく「痛み、潰瘍の改善」とし、プラセボとの比較試験は行わず、観察期間の短縮や症例数も小規模で行う方向で検討している。従来のグローバル治験では総額で90〜100億円規模の治験費用を想定していたが、新たな治験デザインでは大幅に費用が圧縮できることになる。治験の開始時期は早ければ2017年内を目標としている。

b)原発性リンパ浮腫
原発性リンパ浮腫向けでは、HGF遺伝子治療薬の投与により「リンパ管の新生」作用が動物実験において確認されており、2013年10月よりPOC※の確認を目的に第1/2相の臨床試験を開始、2016年4月に最後の症例登録が完了している。症例数は約20症例で、観察期間は投与開始から1年間となり、浮腫の体積変化やQOL(生活の質)等を経時的に評価する。2017年4月に臨床試験が終了し、データ解析を行ってPOCが確認されれば、次の開発ステージ(更なる臨床試験の実施やライセンス契約等)に移行することになる。なお、リンパ浮腫での遺伝子治療薬としては世界初の臨床試験となり、開発意義の高さから費用の一部はNEDO(新エネルギー・産業技術総合開発機構)の補助金が充てられている。

※POC(Proof of Concept):基礎的な発見が実際の臨床試験でも起こることを検証し、治療コンセプトの正しさを確認すること。

リンパ浮腫とは、リンパ管の障害によりリンパ流が停滞することで手足等が高度に腫れる疾患のことで、日本における推定潜在患者数は原発性リンパ浮腫で約3,000人、二次性リンパ浮腫で10万人以上とみられる。二次性リンパ浮腫に関しては、子宮がんや乳がん術後の発生率が高く、最近では加齢によるリンパ浮腫も増加傾向にある。治療法は理学療法(弾性着衣、リンパマッサージ等)、薬物治療、手術などがあるが根治療法はいまだなく、HGF遺伝子治療薬がその候補として期待されている。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)

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