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【注目トピックス 日本株】【FISCOソーシャルレポーター】個人投資家ちゃる:高利益率に潜む競走劣位

2017年1月17日 13:59



以下は、フィスコソーシャルレポーターの個人投資家ちゃる氏(ブログ「ちゃーりーとちょこっとレーティング工場」を運営)が執筆したコメントです。フィスコでは、情報を積極的に発信する個人の方と連携し、より多様な情報を投資家の皆様に向けて発信することに努めております。

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※2017年1月14日12時に執筆




”利益率”と名の付く指標は色々ありますが、いずれも投資では重要な指標の一つです。投資家の”利益”と密接に絡む指標だからです。


利益率の高さは企業の優良さの証だと捉えられることが多いです。

利益は売上とコストの差分ですので、高い利益率は顧客から多くのマージンを取れていることを表します。ゆえに、高利益率はそのまま競争優位に結び付けられがちです。


しかし、本当にそう言えるのでしょうか。高利益率は競走優位を示していないかもしれません。ともすると、競走劣位の裏返しかもしれません。



1. 利益率の捉え方


利益というマージンはどのように生まれるのでしょうか。マージンの元となる売上単価の設定方法を見ることで紐解いてみます。


売上単価の決め方は大きく分けて二つあります。コストプラスとマーケットマイナスです。利益の出方もこれに応じて変わります。


コストプラスでは、製品・サービスに要したコストにマージンを乗っけることで価格を設定します。

ある一定の率をコストに掛け合わせて単価を算出する形です。なので、この”率”がそのまま利益率につながります。価格決めの裁量を企業が持ち、率によってマージンを設定する感覚です。


一方、マーケットマイナスは、顧客が最大限払ってくれるだろう価格を基準に売上単価を決める方式です。

企業はマーケットの価格を受容します。市場価格をもとに単価を決めるので、利益率はコストの大小に左右されることになります。売上から差し引くコストをコントロールすることでマージンを捻出する格好です。


つまり、コストプラスは主体的にマージンを上乗せするイメージ、マーケットマイナスはコストを管理することでマージンを捻出するイメージですね。



2. 成長産業における競争優位と利益率のトレードオフ


●成長産業での高利益率とはいかに


では、成長産業において高い利益率に結び付きやすいのはどちらの方法でしょうか。

私は、マーケットマイナスのほうが比較的に高い利益率を出しやすいと思っています。


というのも、成長産業では事業拡大のコストが相応にかかるからです。大きなコストがかかるということは、コスト低減でマージンを生み出す余地がそれだけあるということでもあります。なので、マーケットマイナス的に価格を受容してコストを管理するほうが利益を出しやすくなると考えています。


逆に、成長産業でコストプラスかつ高利益率を実現することは比較的に難しいです。成長産業は変化が早く、買い手のブランド選好も不安定なので、コストプラスで少しでも無理なマージンを乗せると買い手はすぐに離れてしまいます。ゆえに、成長産業でコストプラスを取る場合、欲するマージンをコストに上乗せするという攻撃的な性質は薄れます。コストというベンチマークは、最低限の採算を確保するためのものとして残ります。結果、足元の高利益率には結び付きにくくなると思っています。


●戦略的意思決定を犠牲にしたコスト低減


このように、成長産業において利益率の高い会社は、マーケットマイナスを取っていることが少なくないと考えています。


ところが、成長産業の企業が行うべきことは、投資抑制やオペレーション効率化でコストを減らすことではありません。他社もやろうと思えばできるわけですから。


成長義業にとって重要なことは、戦略的な意思決定を行って長期的な競争優位を生み出す努力をすることです。顧客にどんな価値を提供するか、どんなバリューチェーンを構築するか、リソースをいかに活用するか、などなど。これらは一朝一夕では成り立ちません。
もし仮に、リソースを長期的な戦略策定と実行にきちんと振り向けているならば、利益率で抜けた値は出にくいと考えています。コスト低減を行うための余裕が小さいため、コスト低減に邁進する会社からはどうしても後れを取ってしまいます。

成長産業の高利益率は、ともすると、企業が負け戦をしていることを暗示する場合すらあるかもしれません。他社が長期的な競走優位を模索する中、諦念からコスト低減に粛々と取り組んでいて、束の間のおこぼれにあずかっているにすぎないという…。



3. 投資家は高利益率をどう考えるべきか


投資家として私が気を付けたいのは、コスト低減、特にオペレーション効率化で生み出されているマージンを競走優位だと勘違いしないようにすることです。投資抑制は外からも見えやすいですが、オペレーションの巧拙はなかなか見えません。そのため、オペレーション効率化で高い利益率が生じていると、それに気づかずに実際は存在しない優位性をでっち上げたりしてしまいます。


企業の利益の源泉は何か。難しいことではありますが、高利益率が単にオペレーションで生み出されていないか、しっかり考えていきたいです。

そのためにできること、というと良い方法はなかなか思い浮かばないのですが。愚直に四半期損益を追って損益分岐点を推定してみるとか、もろもろの人頭効率、設備効率を比較してみるとかでしょうか。

ひとまず私は、「競走優位がそこにある」と安易に思わないように気を付けていきたいです。



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執筆者名:ちゃる
ブログ名:ちゃーりーとちょこっとレーティング工場

<KS>

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