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【注目トピックス 日本株】ベルシス24 Research Memo(4):2024年2月期は国策関連業務の影響で減収減益も、基礎業務は増加(1)

*13:34JST ベルシス24 Research Memo(4):2024年2月期は国策関連業務の影響で減収減益も、基礎業務は増加(1)
■ベルシステム24ホールディングス<6183>の業績動向

1. 2024年2月期の業績概要
2024年2月期における日本経済は、雇用・所得環境の改善や各種施策の効果もあり、個人消費や設備投資の持ち直しが続いていることから緩やかな景気回復の動きが見られた。一方で、中東地域をめぐる情勢の深刻化・長期化が原油価格の更なる上昇につながり、我が国の物価・経済に影響を及ぼし得るため注意が必要な状況が続いている。また、コロナ禍から平時へと移行し、各企業の業況が回復しているのに伴い業種や規模にかかわらず人手不足への対応が課題となっている。このような環境の下、同社グループの主力事業であるCRM事業は成熟期を迎えており、周辺領域への事業拡大が課題となっている。他社との差別化を図るために、顧客接点多様化に伴う対応領域の拡大とVOC(Voice Of Customer:対応中に得られる顧客からの声)などを駆使したデータ活用により、業務品質や付加価値の向上に努めるとともに、新たな事業領域の開拓が求められている。

こうした経営環境を踏まえて、同社グループでは中期経営計画で掲げた「人材(総力4万人の最大活躍)」「型化 (データ活用の高度化)」「共創(NEW BPOの領域開拓)」の3つの重点施策を推進することで、持続的な成長の実現を目指した。しかしながら、2024年2月期の連結業績は、売上収益148,717百万円(前期比4.7%減)、営業利益11,479百万円(同23.0%減)、税引前利益11,225百万円(同20.7%減)、親会社の所有者に帰属する当期利益7,545百万円(同19.1%減)と、減収減益決算となった。期初予想比では、売上収益は5.3%減、営業利益は16.8%減、税引前利益は16.2%減、親会社の所有者に帰属する当期利益も14.2%減となった。基礎業務は増加したものの、収益性が高いコロナ等国策関連業務の想定以上の減少により、各段階の利益は期初予想を大きく下回る結果となった。

売上収益1,487.2億円(前期比73.3億円減)の内訳を見ると、基礎業務では新規・既存業務の着実な拡大や、新規連結子会社のBELLSYSTEM24 VIETNAM(持分法から区分変更)及びシンカーの売上収益寄与も加わり、1,391.9億円(同61.4億円増)と着実に増加した。しかし、高収益のコロナ等国策関連業務が、ワクチン関連業務の減少に伴い89.2億円(同131.9億円減)と大幅に減少した。

売上総利益は271.4億円(同48.2億円減)と大きく減少したが、これは高収益のコロナ等国策関連業務の大幅縮小によるものである。一方で、基礎業務においては、下期以降の人員の適正配置や契約満了に伴う退職等によるコスト管理、家賃・光熱費の上昇等に伴う価格転嫁の推進により収益性が徐々に回復した。販管費は166億円(同6.3億円減)と、新規連結子会社の増加はあったものの、前期の好業績を反映した人件費(賞与)の反動減や広告宣伝費等の減少から増益要因となった。また、ベトナム子会社の持分法から連結子会社への区分変更に伴い、段階取得に係る差益8.4億円を計上した。以上から、売上総利益の減少を主因に営業利益(同34.4億円減)も減少した。

親会社の所有者に帰属する当期利益75.5億円(同17.8億円減)については、法人所得税費用の同12.1億円減少や、持分法による投資損益における同4.4億円増加等の増益要因があったが、営業利益減少の影響が大きく、減益にとどまった。

コロナ等国策関連業務の減少に伴い、営業利益率は7.7%(前期比1.9pt減)となったものの、2023年3月期東証プライム市場サービス業平均の営業利益率5.4%を上回る。また、ROE(親会社所有者帰属持分当期利益率)は11.5%(同3.6pt減)、ROA(資産合計税引前利益率)も6.4%(同1.6pt減)と低下したが、2023年3月期東証プライム市場におけるサービス業平均のROE 7.3%、ROA0.6%を大きく上回り、引き続き高水準を維持している。同社が属するサービス業には様々なビジネスモデルの会社を含むため、同社と業界平均の単純比較は難しい面があるものの、同社の収益性は極めて高いと評価できる。

2. セグメント別動向
2024年2月期のCRM事業の売上収益は148,107百万円(前期比4.5%減)、税引前利益は11,225百万円(同20.7%減)で、税引前利益率は7.4%(同1.6pt減)となった。また、CRM事業の全社業績に占める比率は、売上収益の99.6%(同0.2pt増)、税引前利益の97.9%(同0.3pt減)となった。収益性の高いコロナ等国策関連業務の売上収益が89.2億円と同59.7%減少したことが、CRM事業の減収減益に大きく響いた。一方、主力の基礎業務の売上収益は1,391.9億円(同4.6%増)と堅調であった。基礎業務における注目分野としては、人材・教育関連業務では、雇用の流動化が続くなかで中途斡旋関連の業務を中心に2Qでは減少したものの、総じて堅調に推移した。また、非対面関連業務では、デリバリー関連業務が行動制限の緩和による影響で減少したものの、保険関連業務及びEコマース関連業務は安定的に推移した。さらに、キャッシュレス決済関連業務では、クレジットカード関連業務の増加に加え、電子マネー・QRコード決済関連業務も堅調な推移を示した。基礎業務の堅調な推移は、コロナ禍収束によって企業の事業活動が正常化に向かうなかで、アウトソーシング需要が高まってきたことを示している。

なお、その他の事業の全社業績に占める比率は小さいが、コンテンツ販売収入が減少したため、売上収益は610百万円(前期比32.0%減)、税引前利益も240百万円(同6.7%減)となった。

売上収益における「伊藤忠シナジー」については、同社の筆頭株主である伊藤忠商事のネットワークを活用して、伊藤忠グループ関連の案件をはじめとする新規案件獲得を継続することで拡大している。同社が定義する「伊藤忠シナジー」には伊藤忠商事の子会社や関連会社だけでなく、その取引先も含むため、対象とする開拓先は広大である。これら伊藤忠グループ案件による売上収益は、2020年2月期の131.7億円から、2023年2月期には169.9億円へと増加し続けてきた。2024年2月期は160.3億円(前期比9.6億円減)にとどまったが、これはキャンペーンなどの大口案件がなかった影響であり、長期的には新技術活用における連携(出資、提携など)や海外事業展開における連携などによって、「伊藤忠シナジー」は拡大する見通しである。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 国重 希)

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