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【注目トピックス 日本株】エヌ・シー・エヌ Research Memo(6):大規模木造建築(非住宅)は前期比61.7%増と大きく成長(2)

*13:06JST エヌ・シー・エヌ Research Memo(6):大規模木造建築(非住宅)は前期比61.7%増と大きく成長(2)
■エヌ・シー・エヌ<7057>の業績動向

環境設計分野の売上高は247百万円(前期比16.0%増)だった。2021年4月より説明が義務化となった住宅の省エネ性能に対して、補助金の受給に関するコンサルティング業務と合わせてサービス提供することで、木造住宅、集合住宅及び非住宅木造物件向けの一次エネルギー計算書の出荷数は2,887件(同15.6%増)となった。同社によれば、住宅の省エネ計算の対象物件として、従来の戸建住宅、集合住宅、施設建築に加えてリノベーション物件も増加しており、今後は空き家対策としての既存住宅のリノベーションに関わる需要増加も期待できる。

また、2024年3月期より非住宅向けZEB認定のサポート業務を開始しており、2件の認定サポートを実施し補助金申請を行った。

DX・その他の分野の売上高は103百万円(前期比26.1%減)だった。木造建築向けITソリューションを開発・展開する子会社MAKE HOUSEでは、2021年10月に開設した「MAKE HOUSE BIM BASE(メイクハウス ビムベース)」を拠点に事業拡大に向けた人材育成を行い、BIM技術を活用した高画質建築空間シミュレーションサービス「MAKE ViZ」の営業活動を進めたが、2023年3月期に計上した大型スポット案件が2024年3月期はなかったため減収となった。

また、既述のとおり、2023年7月に保有するSE住宅ローンサービスの株式のうち60%をパブリックホールディングスに譲渡した。パブリックホールディングスはグループ会社がSE住宅ローンと同じクレディセゾンの代理店としての「フラット35」を扱うほか、銀行代理業、火災保険等の保険サービス等の住宅金融代理業を展開している。「フラット35」の融資実行額は3,000億円以上に達し、2022年実績で約1,000件の住宅ローン融資の申し込み、約700件の取次実績がある。同社は、パブリックホールディングスとの連携により、登録施工店向けの金融サポート体制を強化し事業拡大を目指す。

木材が不足するウッドショックやロシアのウクライナ侵攻を受け、供給不安から積極的に木材を調達しようという商社などの動きが見られたが、新設住宅の着工が減ってきたなか、需給が緩和している。米国では長期金利上昇の影響により住宅投資が減少し木材の需要が落ち込んでおり、シカゴ(CME)木材先物は2021年5月の1,670米ドル辺りから、足元では500米ドル辺りに推移しており、結果的には新型コロナウイルス感染症拡大(以下、コロナ禍)前の水準で推移している。ウッドショック時に大量に在庫を増やした商社やメーカーなどは相当利益をあげたと見られるが、住宅需要が弱くなり始め、在庫がだぶつき出しているなか、影響は避けられないと弊社では考えている。

同社は構造用集成材をすべて国内メーカーから調達しているが、同社社長の田鎖氏は、商社の木材部で米国・カナダ・ニュージーランドから材木を輸入していた経験を有しているため、木材の流通についての知見も豊富であり、ウッドショックへの対処という点で大きな強みがある。実際、ウッドショック下で過度な在庫を積み増さず、適正な分だけを調達してきた経緯がある。木材・木製品・林産物、合板、集成材などの輸入物価指数は依然として高い水準で推移しているものの、ピークアウト感が見られてきたなか、同社の強みが生かされている。

なお、2021年4月施行の改正建築物省エネ法で、新築の非住宅建築物(延床面積300m2以上)の省エネ基準への適合が義務化された。省エネ基準への適合が義務化されると、外壁の断熱材、高断熱性の窓設置、高効率の空調や発光ダイオード(LED)照明の導入などが求められる。また、中規模非住宅も「省エネ適判」が必須となり、省エネ計算は新築計画に欠かせない業務として加わった。

同社は10年以上前から省エネルギー計算を実施し、多くの計算書の実績を誇っている。豊富な経験値を基に、省エネ性能説明義務化への対応で優位性を発揮すると見られ、同セグメントの売上成長は今後も伸びていくと弊社では考えている。

3. 財務状態
(1) 財政状態
資産合計は5,722百万円となり、前期末比1,126百万円減少した。これは主に現金及び預金が655百万円、売掛金が140百万円、有償支給未収入金が272百万円それぞれ減少したことによる。負債合計は3,578百万円となり、同1,007百万円減少した。これは主に買掛金が730百万円、未払金が160百万円、長期借入金が87百万円それぞれ減少したことによる。純資産合計は2,144百万円となり、同118百万円減少した。これは主に配当金の支払による利益剰余金の減少118百万円による。

(2) キャッシュ・フローの状況
2024年3月期末の現金及び現金同等物は2,195百万円となり、前期末比655百万円減少した。

営業活動によるキャッシュ・フローは144百万円の支出(前期は61百万円の収入)となった。主な要因は売上債権の減少358百万円、仕入債務の減少754百万円である。建設業では元来、売上債権回転期間に比べ仕入債務回転期間が長いため、売上高の減少局面では仕入債務が売上債権を上回って減少することに起因する。

投資活動によるキャッシュ・フローは277百万円の支出(前期は188百万円の支出)となった。主な要因は有形固定資産の取得による支出51百万円、無形固定資産の取得による支出128百万円、関係会社株式の取得による支出130百万円である。

財務活動によるキャッシュ・フローは233百万円の支出(前期は558百万円の支出)となった。主な要因は配当金の支払118百万円、短期借入金及び長期借入金の返済による支出77百万円、リース債務の支払30百万円である。

2024年3月期は、売上減少の影響もあり営業活動によるキャッシュ・フローはマイナスとなったものの、これまでに蓄積した厚い内部留保を活用し、関係会社における成長領域での連携強化やサポート体制の構築に向け、投資活動を積極的に実行した。

(執筆:フィスコアナリスト 村瀬智一)

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