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【注目トピックス 日本株】丸運 Research Memo(8):次期成長分野に注力し、2031年3月期に経常利益20億円以上を目指す(2)

*13:48JST 丸運 Research Memo(8):次期成長分野に注力し、2031年3月期に経常利益20億円以上を目指す(2)
■今後の課題・展望

4. ドライバー不足、2024年問題に向けて
ドライバー不足については、ヤマトホールディングス等のBtoC中心の業者以上に、丸運<9067>のようなBtoB業者はより深刻な問題となっている。なぜなら、宅配便の配達は普通免許で対応可能だが、同社が得意とする重量物運送や石油輸送には大型免許が必須となることから、対象ドライバーの数が限定されるからだ。

大型免許は取得に時間を要するため、ドライバーが一朝一夕に増えず、さらに石油ローリー等のトレーラーの運転に必要なけん引免許は実運転経験が必要なため取得がさらに難しい。これに“働き方改革”により1人当たりの時間を縮小せざるを得ない労働時間の問題も加わる。同時に法整備が進められている外国人労働者については、右ハンドル、左ハンドル等道路交通の制度上の問題もあるほか、石油関連輸送に関しては取扱資格等もネックになるようで、短期的に即戦力となるプロのドライバーを養成することは容易ではない。

そこで同社は、顧客と情報を共有しながら、輸送効率の最適化を図るという。一例を挙げると、ドライバーの配送回数や配送業務を均等に割り当てる配送の平準化や積卸順番を待つ時間(待機時間)を削減する配送の効率化等の改善を図っていく。

いずれにしても、ドライバー不足の解消は成長を目指すうえで対処が必要だ。従前からの勤労人口の減少に加えて、“働き方改革”による影響もある。自動車運転業務の年間時間外労働時間の上限が960時間に制限されることによって発生する問題、いわゆる「2024年問題」への対応が喫緊の課題になりそうだ。

そこで、同社は後述する第4次中期経営計画の中で、1) 時間外労働の上限規制への対応、2) 輸送戦力確保への対応、3) コストアップへの対応、という3つの基本方針を示し、2024年問題への適切な対応に取り組んでいる。

トラックドライバーの労働環境は、長時間労働の慢性化という課題を抱え、それを改善しようというものだが、長時間労働を緩和するためには、現在の業務量に対してもそのままドライバーを増やさねばならず、ドライバー不足が加速することになる。同社では、料金改定は、燃料費の側面だけではなく、ドライバーの待遇改善も目的にしており、顧客との丁寧な交渉を行っている。この姿勢を継続してドライバー確保に取り組む一方、配車の効率化等も進めて対応する考えだ。

5. M&Aに関しての考え方
M&Aについては、長期的な成長戦略に不可欠であると同社では考えている。昨年度発表した長期ビジョンでは、次期成長分野であるリサイクル物流、機工、食品流通事業、営業強化分野である海外における営業力強化等においてM&Aや資本参加の手法を能動的に実行していくとしており、M&Aには積極的な資金投下を考えている。

6. 第4次中期経営計画の策定
2023年5月に、同社は「第4次中期経営計画」を策定した。2023年3月期を最終年度とした第3次中期経営計画では、コロナ禍への対応と拠点の統廃合等の事業基盤の強化に終始し成長に向けた戦略的な活動が不十分だった経緯がある。

そこで、第4次中期経営計画は、その位置付けとして、長期ビジョンの実現に向けた基礎固めと種まきを着実に実行すると同時に、2024年問題等物流企業の課題への適切な対応を図ることを前面に打ち出した。

同計画における主要アクションプランは以下のとおり。

<貨物輸送事業>
(1) 適正運賃・料金の収受
(2) 素材関連分野の強化及び新規顧客開拓による事業拡大
<エネルギー輸送事業>
(1) 石油輸送部門の徹底効率化
(2) 潤滑油・化成品の輸送・保管の強化
<海外物流事業>
(1) 素材一貫物流の拡大
(2) ベトナム事業・食品輸出事業の拡大
<テクノサポート事業>
・ 受託業務の維持継続

第4次中期経営計画の収支計画として、最終年度の2026年3月期に連結営業収益49,100百万円(2024年3月期44,992百万円)、連結経常利益1,340百万円(同704百万円)を掲げている。

また、第4次中期経営計画の投資計画として、戦略投資に53億円、車両等の維持更新は、3次中計と同レベルの39億円を計画している。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 水野文也)

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