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【注目トピックス 日本株】リプロセル Research Memo(5):iPS細胞の臨床応用の進展により、創薬支援サービスが売上高のけん引役に

2017年6月19日 15:04

■今後の見通し

1.中期経営計画の概要
リプロセル<4978>は2017年5月に3ヶ年の中期経営計画を発表した。iPS細胞事業における「研究試薬」「創薬支援」「再生医療」の段階的な成長とグローバル展開を進めていくことで、2020年3月期に連結売上高で2,206百万円、営業損失で169百万円を目指していく。なお、再生医療分野において国内で開発を進める細胞医薬品「ステムカイマル」については、2018年臨床試験を開始し、2020年の承認申請を目指しており、当中期経営計画では開発費用及び導入先であるステミネント向けのマイルストーン費用のみを研究開発費の計画のなかに織込んでいる。

2. 事業戦略について
(1) iPS細胞事業
a)研究試薬
研究試薬については、iPS細胞研究に関わる培養液や凍結保存液等の様々な研究試薬を大学や公的研究機関、製薬企業等に製造・販売しているが、今後は臨床応用が可能なGMP準拠製品をターゲットに開発していく方針となっている。このため、研究試薬の売上高としては大きな伸びを見込んでおらず、微増収ペースが続く見通しとなっている。

b)創薬支援
創薬支援事業では、製薬・化学、バイオ系企業を主な顧客とし、ヒトiPS細胞やヒト体細胞の販売と受託サービスの両方を提供している。iPS細胞等の用途としては、多くの新薬候補物質の中から目的の機能を持った分子を探索する創薬スクリーニングや新薬の安全性を確かめるための試験等に使用されている。一方、サービスは企業内で創薬のために実施する様々な試験の一部を受託したり、特定のiPS細胞やiPS細胞を基にしたモデル細胞の作成を受託するビジネスとなる。

特に、iPS細胞を用いた創薬の臨床応用は米国で活発化しており、国内でも動きは出始めてきている。このため、今後3年間は創薬支援事業が売上高をけん引していくことになる。同社では、創薬支援事業の拡大を目的に、2017年4月に新施設「CPDD」を英子会社内に開設した。欧州でも臨床応用可能なiPS細胞のバンキングについての関心が高まってきたためだ。特に、同社が保有するRNAリプログラミング法を用いた安全性の高いiPS細胞作製技術が注目を浴びており、引き合いも増えてきていることから、iPS細胞樹立サービスを中心にサービスを展開していくことになる。その他にも、同社が保有するiPS細胞の分化誘導技術や、3次元培養技術、ヒト組織を用いた試験の受託等、細胞に関わる様々な受託サービスを展開していく予定となっている。なお、CPDDはライフサイエンス事業の推進に力を入れるスコットランド政府下の特殊法人であるスコットランド開発公社による補助金を活用し、設備や人員の整備を行う予定となっている。

c)再生医療
再生医療事業としては、「再生医療向け培地・試薬製品」「体性幹細胞を活用した細胞医薬品」「iPS細胞を活用した細胞医薬品」の3つのステップに分けて事業を進めていく計画となっている。

「再生医療向け培地・試薬製品」として、既存の研究試薬品を臨床応用にも適した使用(GMP準拠品)にアップグレードさせることで販売を拡大していく。既にGMP準拠品となっているiPS細胞を作製するためのリプログラミング試薬「StemRNA-NM Reprogramming Kit」やiPS細胞培養液「NutriStem」、凍結保存液の「ReproCryo RM」がGMP準拠製品として売上高も伸ばし始めている。

「体性幹細胞を活用した細胞医薬品」の最初の取組みとして、台湾のバイオベンチャーであるステミネント社が開発した「ステムカイマル」に関する技術導入契約を2016年に締結し、日本で希少疾病である脊髄小脳変性症※に対する治療薬として開発を進めていく予定にしている。今後のスケジュールとしては、2017年に条件・期限付き早期承認制度を活用した治験を開始し、2020年頃に条件付きでの製造販売承認申請を行い、2023年の本承認を目標としている。開発費用はマイルストーン支払費用(4億円)と治験費用を見込んでおり、順調に進めば2021年3月期以降の収益貢献が期待される。台湾では既に第1/2a臨床試験が終了し、投与に伴う有害事象が無いことが確認されており、今後、第2b/3相臨床試験を行う予定となっている。また、米国においても現在第2相臨床試験が行われており、2018年早々にも終了する見込みとなっている。

今回、同社が「ステムマイカル」を最初の事例として決めた理由は、希少疾病のため比較的開発費用が少額で済むことに加えて、台湾や米国で先行して臨床試験が進められていることで、仮に台湾や米国で問題が発生すればその時点で開発を見直すことができること等により、開発リスクが低いと判断したためだ。開発に成功すれば、台湾から輸入して自社で販売する方針としている。希少疾病のため患者数は少なく、医療施設も限られることから、独自で販売していくことは可能と考えている。薬価がどの程度の水準になるか不明だが、国内の患者数が3万人と考えれば、上市初年度から利益に貢献する可能性がある。

※運動失調(歩行時のふらつきや、手の震え、ろれつが回らない等)を主な症状とする神経疾患の総称。小脳及び脳幹から脊髄にかけての神経細胞が徐々に破壊、消失していく病気で、主に中年以降に発症するケースが多いが、若年期に発症することもある。非常にゆっくりと症状が進行していくのが特徴。国内では約3万人の患者がいる。現在、根治療薬はなく、症状を和らげる対処療法しかない。


「iPS細胞を活用した細胞医薬品」の開発については、同社が保有する世界最先端のiPS細胞技術と、ヒト体性幹細胞を用いた細胞医薬品の臨床開発経験を活かして、開発を進めていく計画となっている。特に同社の米子会社が開発したRNAリプログラミング技術に関しては、遺伝子変異リスクを最小化し、ウイルスの残存リスクもないため、がん化リスクが低く高品質なiPS細胞作製技術として注目されており、今後の展開が注目される。

(2)臨床検査事業
臨床検査事業では、腎臓移植や送血幹細胞移植の際に行う抗HLA抗体検査を主力として、国内100施設以上の病院から検査を受注している。これらの検査サービスに加えて、今後は新たな検査サービスの受託も行い、事業を拡大していく計画となっている。前述した通り、ヘリオスから脳梗塞急性期を対象疾患とした体制幹細胞医薬品の臨床試験にかかる検査業務の一部を受託したほか、新たな検査項目として、腎臓移植後の拒絶反応を尿から判定可能な検査「尿中エクソソーム腎移植モニタリング検査」を2017年5月より開始した。

日立化成<4217>が開発した研究用試薬「ExoCompleteキット(尿中エクソソームからのmRNA抽出キット))を用いて検査を行う。これにより、腎臓移植後の拒絶反応を迅速に検出することが可能となる。従来は、拒絶反応が疑われる場合に、患者の腎臓から直接組織を採取し検査を行っていた。検査結果が出るまでに2週間前後の時間を要するため、その間に拒絶反応を引き起こし、腎機能を喪失するリスクもあった。今回導入する「ExoCompleteキット」では尿中の特定の遺伝子量を測定することで、拒絶反応の兆候を把握することが可能となっており、尿採取から約5日後には検査結果が判明する。同社では、将来的にエクソソームに存在する特定の遺伝子を調べることで、がん等の疾患分野の検査にも応用可能と考えている。

(3)海外展開について
海外展開については米国と欧州でM&Aを実施し、グループ体制を構築してきたが、今後はアジアへの展開も視野にいれている。現状は、現地の販売代理店経由で研究試薬を販売するにとどまっているが、将来的には中国やインド市場等潜在市場が大きい地域においては、提携やM&A等により事業を拡大していく計画となっている。

直近の取組みとしては、2017年4月に米子会社と戦略的提携を発表したがんの主要研究施設の1つである「Fox Chase Cancer Center」が合弁でインドに生体試料バンクを開設することを発表している。米子会社では従来、欧米の医療施設から様々な生体試料を収集して、医療研究機関や創薬企業等での研究目的用として提供してきたが、インドでは臨床グレードのヒト生体試料の収集・提供は殆ど行われていなかった。今回、生体試料バンクを開設することで、年内に毎月約3,000件の生体試料を収集する体制が整うことになり、収集した生体試料を世界中のがん研究施設に提供していくことになる。

3.業績予想と前提条件
2018年3月期の連結業績は、売上高で前期比1.0%増の1,270百万円、営業損失で880百万円(前期は944百万円の損失)、経常損失で817百万円、(同937百万円の損失)、親会社株主に帰属する当期純損失で817百万円(同911百万円の損失)となる見通し。為替の想定レートは110円/ドル、140円/ポンドとしている。売上高は前期に米子会社が15カ月決算となったことで、微増収にとどまっているが、実質ベースだと11%程度の増収となる。前期に受託契約を締結したファンケルだけでなく、欧米の製薬・バイオ企業からのiPS細胞樹立サービスやヒト細胞・組織を使った薬剤スクリーニングサービス等受託案件の引き合いが増加しており、創薬支援サービスが伸びるほか、臨床検査事業もヘリオスからの受託検査業務の増加などによって増収増益が見込まれる。利益面では「ステムカイマル」の臨床試験準備費用が新たに発生するほか、のれん償却費なども引き続き同規模水準が続くが、グループ子会社の集約化による間接コストの削減も進む見通しで、損失額は前期から若干縮小する。

2019年3月期以降は創薬支援事業や再生医療事業における「再生医療向け培地・試薬製品」の販売増によって、売上高の成長スピードが加速する見通しとなっている。利益面では、「ステムカイマル」の臨床試験開始に伴う研究開発費の増加があるものの、増収効果によって損失額は徐々に縮小する見通しで、2020年3月期はのれん償却前営業利益で黒字に転換する計画となっている(のれん償却費は毎期266百万円の想定)。

経済産業省等の調査報告書によれば、世界の再生医療の市場規模は2012年の3,400億円から、2020年に2兆円、2030年に17兆円、2050年に53兆円(うち同社関連分野は42兆円)と急速に成長すると予測されており、今後の成長産業と位置付けられている。同社は、ヒトiPS細胞に関して高品質・高効率かつ安全性の高い作製技術を基盤に、関連試薬の製造販売や創薬支援サービス、細胞医薬品の開発までワンストップ、かつグローバルに展開していくことで、今後、飛躍的な成長を遂げる可能性がある企業として弊社では注目している。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)

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