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【注目トピックス 日本株】TOKAI Research Memo(5):今後4年間で1,000億円の戦略投資を実施し、大幅成長を目指す

2017年6月19日 15:04

■中期経営計画「Innovation Plan 2020“JUMP”」について

1. 中期経営計画の基本方針
TOKAIホールディングス<3167>は、2018年3月期よりスタートする新中期経営計画「Innovation Plan 2020“JUMP”(以下、IP20)」を発表した。基本戦略として、トップラインの成長を最優先に「守りの経営」から「攻めの経営」に転じることを打ち出し、4年間で顧客基盤の拡大につながるM&Aやアライアンスを積極的に推進し、総額1,000億円の戦略投資を実行していく方針を打ち出した。通常の設備投資については600億円程度を見込んでおり、総投資額としては1,600億円となる計算だ。直近4年間の設備投資額は約500億円で、M&A案件もなかったことからすれば、思い切った投資を実行していくことになる。ただ、市場環境の変化によってM&A案件は今後増えてくる見通しで、M&Aやアライアンスの投資で1,000億円の枠は使い切ることが可能と会社側では考えている。

M&Aの対象としては、中核事業であるガス、CATV、情報通信サービス等で顧客基盤を持つ企業、また、新中期経営計画ではクロスセルの強化も重点施策として挙げており、既存の生活関連サービスの周辺領域についてもM&Aあるいはアライアンスを組むことによって事業展開を進めていく戦略となっている。これら積極的な投資戦略によって、4年間で売上高を倍増させ、営業利益、親会社株主に帰属する当期純利益もほぼ倍増の水準を目指していくことになる。

2. 経営数値目標
具体的な経営数値目標としては、2021年3月期に連結売上高で2017年3月期比1.9倍増となる3,393億円、営業利益で同1.8倍増となる225億円、親会社株主に帰属する当期純利益で同1.6倍増となる115億円を目指す。また、グループ顧客件数は同1.7倍増の432万件以上に拡大していく方針だ。M&Aやアライアンス等により1,000億円、その他設備投資で600億円を実行していくため、有利子負債残高については1,200億円と2017年3月期末比で2.2倍に拡大することになる。ただ、転換社債型新株予約権付社債などゼロクーポン債なども組み合わせるなど多様な資金調達策を検討していく方針となっている。また、資本効率を重視した経営を継続していく方針で、有利子負債/EBITDA倍率で2.8倍、自己資本比率で31.6%、ROEで13.0%の水準を計画している。

なお、今回の投資1,000億円を実行するにあたって、ROI(のれん償却前営業利益÷投資額)は約8%の水準を目標にM&Aを検討していくことになる。

3. 主な取り組みについて
(1) M&A専門部署を設置
目標達成に向けた施策として、M&Aを積極的に推進するための専門組織「グループM&A推進室」を設置し、同部署にて投資案件の検討、買収/投資の実行、及びその後の経営統合までを担っていく。情報収集についてはM&A専門会社との協業強化に加えて、ベンチャーキャピタルやバイアウトファンドとの連携も進めていきながら、候補先企業を探索していくことになる。

都市ガスの小売自由化やCATV放送の4K/8K移行に向けた光化投資など、競争環境が激しくなるなかで経営体力のない中小事業者が大手資本のグループへ入る流れが、今後活発化していくものと予想され、複数の生活関連サービスを展開している同社にとっては、M&Aにより顧客基盤を拡大し、業績を伸ばしていく上で今後4年間が好機と捉えている。

また、生活関連サービス周辺の新サービス・商材についてもM&Aやアライアンスを通じて取り込み、これらサービスをクロスセルすることにより、シナジーを創出していく戦略となっている。新サービス・商材の候補としては、食品、スポーツ、医療、教育・保育、次世代農業等の領域が挙がっており、IT活用によって効率的なビジネスモデルを構築しているベンチャー企業や、既に顧客基盤を持つ企業などが対象となっている。

(2) 複数取引率20%を目指す
顧客の複数サービス取引率については2017年3月期実績で7%の水準にとどまっており、「TLC構想」を掲げる同社にとって、この数値を引き上げていくことが経営課題となっている。複数取引が実現できれば、解約防止につながるほか、1顧客当たり獲得・維持コストが低減し、収益性向上にもつながるためだ。同社は今回の中期経営計画で、複数取引率20%の水準を目指している。

複数取引を推進していくに当たっては、セット割引を既に導入しているが、2017年4月からはさらに能動的な営業体制を構築する。具体的には、事業部門ごとに複数取引に関する予算を設定し、予算に対する達成度合に応じてインセンティブを与えることで、営業部門のモチベーションを上げていく。特に親和性の高い事業について注力していく方針となっている。具体的には、ガスとCATVの組み合わせは親和性が高いため、新設の集合住宅にLPガスとCATVの両方のサービスを提案することで、訴求力が高まり顧客獲得が進みやすいという。LPガス事業者で複数のサービスを自前で展開している企業は他になく、同社の強みの1つと言える。

ちなみに、静岡県内の顧客に限ってみると、複数取引率は約16%の水準となっており、都市ガスやCATVの顧客についてはそれぞれ30%を超える水準となっており、次いでLPガスの顧客についても20%を超える水準となっている。このため、今後M&Aによって複数サービスを提供できるエリアが拡大していけば、全体で20%という水準も達成可能であると言える。

4. 主力事業の取り組みについて
(1) LPガス事業
家庭・業務用のLPガス市場は、人口の減少や機器の省エネ性能向上等により、今後4年間で約7%の市場縮小が予想されており、競争激化により中小零細事業者が淘汰され、大手資本への集約化が進むと見られている。業界第3位の同社にとっては市場シェアを拡大する好機と言える。

同社は既存営業エリアの開拓だけでなく、2016年3月期以降に進出した新規エリアで顧客開拓を進めていくことで、今後4年間に顧客件数を3割増の76万件に拡大していく計画となっている。このうち、新規エリアの顧客件数は、2017年3月期末の8千件から9倍増となる7万件を目標としている。なお、2018年3月期以降に進出を予定しているエリアとしては、既存エリアの拡張の一環として三重県、愛知県(愛西市)に進出するほか、CATV事業を展開している岡山県、長野県、リセプション事業を展開している北九州エリアへの進出を予定している。進出に当たっては、自前で営業拠点を設立するかM&Aを実施していくことになる。物流は進出エリア内で一定の顧客基盤を獲得するまで、現地パートナー企業に委託する。

(2) 都市ガス事業
都市ガスの小売自由化が2017年4月に解禁された。現状は新規参入事業者との競争も大都市圏のみに限定されており、電力自由化の際よりも動きは静かではあるが、現在、203社ある都市ガス事業者の中で大手4社を除けば競争に打ち勝つだけの体力は乏しく、市場全体が緩やかに縮小に向かうなかで、大手事業者のグループ化が進むものと予想される。

こうしたなかで、同社は積極的にM&Aあるいは同業他社とのアライアンスを推進していく戦略となっている。導管延長投資や、新たな産業用の需要等も取り込みながら、契約件数を2017年3月期末比5倍増の29万件、営業利益で2.3億円の増益を目指していく。エリアについては全国全てを対象にしているが、他のサービスを展開しているエリアが望ましいことに変わりない。また、同社は水回りを中心としたリフォーム事業(セグメントは建築及び不動産事業に含む)を同時に展開しており、1顧客当たりの売上高は約3万円と業界の中でも屈指の実力を持っている。都市ガスの顧客件数の増加によってリフォーム事業の収益も拡大していく方針で、営業利益では2017年3月期の0.5億円から2.5億円と5倍増を目指している。中小零細の都市ガス事業者は、他のサービス・商材を扱っていないところがほとんどだが、同社が資本を投入することによってこうしたサービス・商材を扱えるようになり、買収先企業にとっても経営面で大きなメリットになると考えられ、M&Aも比較的スムーズに進むことが予想される。

(3) ブロードバンド事業
国内のブロードバンド市場は成熟化しているとはいえ、今後も年率2%程度の伸びが続くと予想されている。一方で、格安スマホの普及によりMVNO市場は今後大きな成長が見込まれている(契約数880万件→4年後に1,950万件)。こうした市場環境下において、同社では引き続きFTTH契約の光コラボへの転用を進め、1顧客当たり売上高、利益の拡大を図っていくほか、新規事業として2017年2月より開始したLIBMO(MVNOサービス)を強化していく方針を打ち出している。

光コラボ率(光コラボ契約÷FTTH契約)に関しては2017年3月期の50%から4年後に85%まで引き上げていく。これにより、1顧客当たり月額収入は3,048円と2017年3月期約21%上昇する見込みとなっている。ブロードバンドサービスの顧客件数に関しては、4年後に1.7倍増の134万件を見込んでいる。

一方、LIBMOに関しては4年後に顧客件数14万件を目標としている。LIBMOはデータ通信+音声プランで月額利用料が1,180円~2,980円となっている。これにセキュリティサービスや保険サービスなど自社サービスを加えることで顧客売上単価をアップし、収益化を図っていく戦略だ。

(4) CATV事業
国内のCATV業界では、2020年の東京オリンピック・パラリンピックに向けて高精細な4K/8K放送の試験・実用化放送が開始されている。ただ、こうした高精細な放送を流すには光ファイバーや関連機器の投資が必須となる。競争環境が厳しくなるなかで、設備投資余力のない中小事業者は大手グループの傘下に入り、投資資金を得てサービスを継続していくものと予想される。同社ではこうした市場環境の変化をチャンスと捉え、M&Aを積極的に推進していく方針となっている。

サービス面では、4K放送とインターネットを組み合わせた価格優位性のあるサービスの投入や、行政と連携し地域に特化した防災情報等の配信サービス、自治体と連携して高速通信網が未整備な地域へのFTTH、地域BWA(ブロードバンド無線アクセスシステム)のインフラ構築などを進めながら事業を拡大していく。

CATVの顧客件数は、2017年3月期末の73.3万件(放送サービス50.8万件、通信サービス22.5万件)から4年後には82.3万件(放送サービス53.8万件、通信サービス28.5万件)を目指しているが、M&Aの動向次第では100万件を超える可能性もある。同社ではM&Aの方針として、買収先企業のブランド名の維持や、番組制作といった経営の自主性を重んじている。最大手がJ:COMブランドで統一しているのとは対照的だ。また、その他にもガスや通信、宅配水など多くのサービス・商材を持ち、これらを取り扱えることも買収先企業にとっては魅力的であると考えられる。既に複数のM&A案件が持ち込まれるなどM&Aを行う環境は整っており、今後の動向が注目される。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)

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