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【注目トピックス 経済総合】中国経済崩壊のシナリオ1:ベースシナリオ 構造改革先送りで中所得国の罠に【フィスコ 世界経済・金融シナリオ分析会議】

2017年9月28日 14:48

実質的な経済成長が減速期に入っていると思われる今、中国は国家による投資主導の成長モデルから、個人消費主導型の成長モデルへの転換が求められている。中国において、一貫して進められてきた投資主導の高GDP成長が限界に達していることはすでに記したとおりで、これを打開するには、個人消費を拡大し、消費によって経済成長を高めてくしかない。

しかし、社会保障制度への不安や流動性への制約など、中国が構造的に抱える諸問題が足かせとなって、個人消費の拡大はなかなか進まない現状がある。結局、GDPのかさ上げのための不要な投資と不良債権先送りが実施されており、そうした政策によって既存の経済モデルは強化・温存されている状態だ。このままの状態が進めば、他国を巻き込んだ金融危機の発生と、外貨準備減少ループは際限なく続くと思われる。中国に対する「世界需要」が急増し、延命するシナリオも考えられるが、そのインパクトは限られており、またその発生確率も低いことは否定できない事実である。

こうした状況を踏まえて、中国政府が随時訪れる危機にどのように対処するかによってシナリオが大きく分岐することを想定し、「ベースシナリオ」「ソ連崩壊型シナリオ」「新中国誕生シナリオ」「内戦シナリオ」という4つのシナリオを想定して、4回にわたってそれぞれが世界経済や日本経済に与えるインパクトについて考察していきたい。

本稿ではシナリオ1「ベースシナリオ」をご紹介する。

■不良債権、構造改革先送りで中所得国の罠に

もっとも現実的で、中国にとって相対的に望ましいシナリオは、ゆるやかな元安誘導によって金融危機の発生を回避しつつ、他国からの投資を誘引、輸出立国としての地位を維持強化することである。このシナリオでは、統制経済の方向性が今以上に強まることで、不良債権処理や構造改革は先送りとなり、成長鈍化の大きな改善は望めない。そうなれば中国は典型的な中所得国の罠に陥ってしまう可能性も否定できない。中所得国の罠とは、途上国がある一定水準まで発展・成長を実現すると、その後その発展モデルや戦略から抜け出せなくなり、自国の人件費の高騰や後発の新興国の台頭なども影響して成長率が低下し、長期低迷に陥ることをいう。

この場合、中国にも、超長期のバブル処理が求められ、バランスシート不況が続く、という状況が少なからず訪れることになるだろう。このシナリオでは、地政学的にも現状維持の状態が続くことになる。そのため、現在がそうであるように、比較的安定的ではあるものの、周辺で小規模の軍事衝突の可能性が残されることになろう。日本経済への影響という点では、円高圧力が高まり、株価は短期的なショック安となるだろうが、その幅は小さいと思われる。

ただ、中国の崩壊に対する警戒感が長期的な株価の抑制要因になりそうだ。そして中国が輸出拡大策に舵を切ることで、輸出関連株の調整が大きくなると予想される。長期的に円高傾向が続き、日本経済が長期低迷に陥る可能性も考えておくべきだろう。グローバル経済への影響はどうか。為替では新興国通貨売り、先進国通貨買いの流れが長期化することが予想される。安全資産である米国債や日本国債に資金が向かうことで、日米の長期金利は低下方向。世界的に金融緩和政策が強まることも、先進国の長期金利低下を促すことになろう。そして対中貿易は緩やかに減少し、外資系企業撤退の動きも出てくるだろう。長期的に見ると、新興国の連鎖破綻につながる可能性も否定できない。

(つづく~「中国経済崩壊のシナリオ2:ソ連崩壊型シナリオ【フィスコ 世界経済・金融シナリオ分析会議】」~)

■フィスコ 世界経済・金融シナリオ分析会議の主要構成メンバー
フィスコ取締役 中村孝也
フィスコIR取締役COO 中川博貴
シークエッジグループ代表 白井一成

【フィスコ 世界経済・金融シナリオ分析会議】は、フィスコ・エコノミスト、ストラテジスト、アナリストおよびグループ経営者が、世界各国の経済状況や金融マーケットに関するディスカッションを毎週定例で行っているカンファレンス。主要株主であるシークエッジグループ代表の白井氏も含め、外部からの多くの専門家も招聘している。それを元にフィスコの取締役でありアナリストの中村孝也、フィスコIRの取締役COOである中川博貴が内容を取りまとめている。2016年6月より開催しており、これまで、今後の中国経済、朝鮮半島危機を4つのシナリオに分けて分析し、日本経済では第4次産業革命にともなうイノベーションが日本経済にもたらす影響なども考察している。今回の中国についてのレポートは、フィスコ監修・実業之日本社刊の雑誌「JマネーFISCO株・企業報」の2017年春号の大特集「中国経済崩壊のシナリオ」に掲載されているものを一部抜粋した。

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