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【注目トピックス 日本株】ホットリンク Research Memo(2):マーケティング支援ツールの提供から、ソリューションサービスへと展開

2017年9月29日 15:43

■会社概要

1.会社沿革
ホットリンク<3680>は、2000年6月に現代表取締役社長の内山幸樹(うちやまこうき)氏が、 「知識循環型社会のインフラを担い、世界中の人々が“HOTTO(ほっと)”できる世界の実現に貢献する」というミッションを掲げて創業し、社名の由来ともなっている。内山氏は大学院在学中の1995年に日本で最初期の検索エンジンとなる 「日本サーチエンジン」 の開発プロジェクトに参加するなど、インターネット市場の黎明期から、その技術開発に携わってきた経歴を持つ。

2000年後半以降、インターネット業界で個人のブログや 「2ちゃんねる」 といったソーシャルメディアが急速に普及し始めたことを契機に、同社はソーシャルメディアに書き込まれる投稿記事をベースとした分析サービスを展開していくことになる。 2005年にブログの分析を開始したのを皮切りに、2008年には(株)ガーラバズから電通バズリサーチ事業(ソーシャル・ビッグデータの分析事業)を譲受し、現在の主力サービスの1つであるソーシャルメディア分析ツール 「クチコミ@係長」の提供を本格的に開始した。また、2012年には、ソーシャルリスク・モニタリングサービス「e-mining」を提供していたガーラバズを完全子会社化(同年、吸収合併)し、同サービスもラインナップに加えている。

ソーシャルメディアの分析サービスにおいては、ソーシャルメディア側が保有する投稿記事などのデータを購入する必要があるが、同社はブログのほかに、「2ちゃんねる」「Twitter」「Sina Weibo」といった大手SNSのデータの使用販売権を、各運営会社やデータ供給会社などと正式契約を結ぶことで獲得している。中国最大のSNSである 「Sina Weibo」に関しては、2014年6月に世界で唯一アクセス販売権を持つ米Effyisと業務提携を行い、中国を除くアジア・パシフィック地域での独占販売代理権を取得している。なお、Effyisについては2015年1月に100%子会社化をしている。

中国からの訪日観光客が急増した2015年には、インバウンド消費のトレンドをSNS上の口コミデータから分析する定期レポート「図解中国トレンドExpress」の提供を開始したほか、2017年に入ってからは中国市場においてソーシャル・ビッグデータを活用したマーケティング支援サービス「トレンドPR」のサービスを開始している。また、2017年6月にはinstagramを活用したソーシャルメディア運用支援ツール「BuzzSpreader」をリリースするなどサービスラインナップの拡充を進めている。

2. 事業内容
同社の事業は、SaaS※サービス、ソリューションサービス、クロスバウンドサービスの3つに分けて開示しており、それぞれの事業内容は以下のとおりとなる。

※SaaS(Software as a Service): 通信ネットワークを通じて顧客にソフトウェアを提供し、顧客が必要なときにネットワークにつないで使用するソフトウェアサービス。月額ごとに利用料金を徴収するストック型のビジネスモデルとなる。

(1) SaaSサービス
SaaSサービスでは、「クチコミ@係長」と「e-mining」の2つのサービスを主に提供している。「クチコミ@係長」は、「2ちゃんねる」や「twitter」、各種ブログなどから収集するソーシャル・ビッグデータをもとに、自社の商品開発や販促活動、競合他社比較等の調査などに利活用する分析ツールとなる。一方、「e-mining」は収集したソーシャル・ビッグデータの中から将来、自社商品やサービス、ブランドイメージなどに損害を与えかねない風評・評判に関する情報をいち早く発見し、事前に効果的なリスク対策を打てるようにするリスクモニタリングツールとなる。いずれも初期費用10万円で、月額利用料は「クチコミ@係長」が10万円~、「e-mining」が13万円~となっている。月額利用料に関しては利用可能ID数や対象メディア、データ容量などによって加算され、大口ユーザーでは月額100万円程度まで利用する企業もある。

累積導入社数は2つ合わせて1,900社以上(「クチコミ@係長」900社以上、「e-mining1,000社以上)となっており、このうち現在の実稼働数は約500社となっている。業種的には消費財メーカーやサービス、金融業界など幅広い企業に導入されており、利用企業の約8割が大企業となっている。

「クチコミ@係長」の特徴は、国内最大級のソーシャルメディアデータを保有し、トレンド分析や属性分析などを簡単操作、かつリアルタイムに実行できること、また、テレビやWebニュースなどとのクロスメディア分析、自社が保有するデータ(アンケート、コールログ等)のテキストマイニングを行うデータインポート分析機能なども実装していることが挙げられる。特に、ソーシャルメディア分析では国内ブログの約90%をカバーしているほか、投稿サイト「2ちゃんねる」の過去データをすべて保有しており、全世界のTwitterデータを販売するGNIPとデータ使用権契約を締結し、すべてのデータを収集するなど、国内では圧倒的なソーシャルメディアデータの保有量を誇っている。また、同ツールでは、トレンド分析などをリアルタイムに行えることから、顧客企業が自社のマーケティング施策に迅速に活用することができ、マーケティング部門におけるROI(投資対効果)向上のための支援ツールとして位置付けられている。

一方、「e-mining」は、あらかじめ設定したリスクに関するキーワードを「Twitter」や「2ちゃんねる」などから自動収集し、アラート機能によってこうしたリスクの拡大を早期に察知できるツールとなる。モニタリングの対象は、「Twitter」「2ちゃんねる」以外にもブログや各種ニュースサイトなど約2,000メディアを網羅し、1日当たり約13百万のWebページを巡回して、カテゴリ別に検索結果を報告する。特にここ最近ではソーシャルメディアへの投稿を契機に風評被害等が拡大するケースが増えていることもあり、大企業を中心に導入が進んでいる。

その他、2017年6月より新たにinstagramを活用したソーシャルメディア運用支援ツール「BuzzSpreader」の提供を開始している。InstagramとAPI連携し、ハッシュタグの利用動向や入力キーワード、アカウントのポジショニング(強さ)の3要素を考慮して独自開発したAIエンジンによってinstagramユーザーが目に留まりやすいハッシュタグを自動的に生成し、投稿画像の注目度を高めやすくするほか、各種分析や運用管理も行えるツールとなっており、ROIの向上に寄与するサービスとなっている。サービス開始以降、主にアパレル、食品メーカーからの問い合わせが多く、新規契約も増えてきている。

(2) ソリューションサービス
ソリューションサービスには、2015年1月に子会社化したEffyis(ブランド名:Socialgist)のソーシャルメディアデータ販売事業のほか、「クチコミ@係長」を構成する「データ」及び「分析エンジン」をSIer等に提供するデータプラットフォームサービス等が含まれている。

Effyisは世界中のブログ、掲示板、Q&A、レビューサイト等のソーシャル・ビッグデータを収集し、世界の大手IT企業(ソーシャル・ビッグデータ分析、マーケティングプラットフォーム、BI等のツールベンダーなど)に販売している。ソーシャル・ビッグデータの流通販売企業では大手3社の一角を占めている。特に、中国大手ソーシャルメディアのデータに関するフルアクセス権の販売ライセンスを唯一取得しており、中国のソーシャル・ビッグデータに関する収集力では圧倒的な強みを持っている。主要顧客にはIBMやセールスフォース・ドットコムなどグローバルIT企業のほか、金融機関や政府機関、ベンチャー企業など数多くの企業がある。最大顧客はセールスフォース・ドットコムで、Effyisの売上高の約15%を占めていると見られる。

(3)クロスバウンドサービス
子会社の(株)トレンドExpressが提供する事業となる。訪日外国人の消費動向を分析した定期発行のレポートサービス「中国トレンドExpress」や、顧客ニーズに合わせたカスタムリサーチサービスに加えて、2017年より中国市場でのマーケティング支援サービスとなる「トレンドPR」を本格的に開始している。

このうち、「中国トレンドExpress」については月額8万円、カスタムリサーチサービスについては100万円からサービスを提供している。また、「トレンドPR」は自社の商品やブランドを中国市場で認知・育成し、売上を拡大したいといった顧客ニーズに対して、費用対効果の高いマーケティング支援を提供するサービスとなる。具体的には、同社が強みとする中国市場でのソーシャル・ビッグデータ分析に基づき、最適なマーケティング施策の企画・立案、実行と、その後の効果測定、改善提案までPDCAサイクルを回すことで、費用対効果を向上しながら顧客の中国市場における販売支援を行っている。マーケティング施策としては同社が中国で提携する2,000以上のメディアサイトにビッグデータ分析に基づいて効果的に拡散していくことになる。顧客側から見れば、データがすべて可視化できるため、客観的に費用対効果が分析できプロモーション施策のための予算を組みやすくなると言ったメリットもある。なお、1案件についての料金は案件によって異なるが、数百万円程度からサービスの提供を行っており、2017年6月までに10数社のマーケティング支援を実施したが、いずれも高い評価を受けリピート契約が決まっているものもある。顧客属性としては、予算をかけずに効果的にプロモーションを行いたいとする中小企業が多い。

3. 同社の強み
同社の強みは、Effyisを子会社化したことにより世界最大のソーシャルメディアデータ流通企業としての地位を確立したことに加え、同社が持つ世界レベルのビッグデータ解析技術に、Effyisが持つデータストリーミング技術を組み合わせることで、迅速かつ高度な分析サービスを提供できる体制が整ったことが挙げられる。

また、ソーシャル・ビッグデータを収集・分析するサービスを提供する企業がここ数年で増えているが、これら競合の中には、正式な利用契約を締結せずにソーシャルメディアのオープンデータを収集してサービスを提供しているところも多い。コストをかけずにデータを収集しているため利益率も高くなるが、同社では今後、こうしたデータの収集方法は困難になると見ている。実際、2017年2月に米Twitterがオープンデータの無断収集を禁止する意向を表明したほか、データの販売価格も若干値上げを実施している。こうした動きは、サービス内容の質という観点から競合と格差が開くことを意味しており、同社にとっては追い風になると弊社では考えている。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)

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