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【注目トピックス 日本株】エコモット Research Memo(3):強みは「つなぐ力」「構築力」「組織力」(1)

2017年10月4日 16:05

■事業概要

1. 事業概要
(1) ソリューション別売上高構成
エコモット<3987>の2017年3月期の売上高は前期比85.5%増の1,371百万円へと急成長した。ソリューション別構成比は、インテグレーションソリューションのデータコレクトプラットフォーム「FASTIO」が8.8%、モニタリングソリューションの融雪システム遠隔監視ソリューション「ゆりもっと」が11.4%、コンストラクションソリューションの建設情報化施工支援ソリューション「現場ロイド」が42.2%、GPSソリューションの交通事故削減ソリューション「Pdrive」が37.6%であった。前期比増減率は「FASTIO」が134.4%増、「ゆりもっと」が8.8%減、「現場ロイド」が31.2%増、「Pdrive」が583.7%増となった。

(2) IoTシステムの構成
モノのインターネットであるIoTは、センサーをインターネットにつなぐことで、離れた場所の状態を知ることや、遠隔でモノを操作することが可能である。現実世界で起こる温度、湿度、気圧、照度、騒音、振動などの物理現象をセンサーにより電気信号に変換し、通信デバイスにより通信回線でインターネットに接続してクラウド上のサーバーにデータを収集する。サイバー空間では、クラウドサーバーからの計測データの表示、画像監視、遠隔操作、車両の運行管理を行い、機械の稼働状況などを解析する。データ解析には、人工知能(AI)を活用することもある。また、データをビジネスに生かすため、グループウェアやBIツール※とリンクさせる。

※BIツール:Business Intelligenceツールの略。企業の業務システムの一種で、膨大なデータを蓄積・分析・加工し、意思決定に活用できるような形式にまとめる。昨今は、情報の収集や成型といった入り口側の機能を簡略化し、美しく直感的なアウトプットに特化したものが注目されている。

同社のインテグレーションソリューションは、独自のIoTプラットフォーム※「FASTIO」を基盤として提供される。 「FASTIO」は、IoT運用により大量に発生するセンサーデータをリアルタイムかつ効率的に扱うための各種機能を実装している。

※IoTプラットフォーム:IoTを実現するためのプラットフォームのこと。一般的なIoTのフローでは、データの発生源であるセンサーから計測データが発信され、当該計測データを加工・分析した結果をトリガーとして、現地のデバイス(アクチュエーター)に対して何らかのアクションを起こす。この一連の処理を実現するソフトウェア並びにインフラを、IoTプラットフォームと呼ぶ。現在では広く解釈されており、データの収集や蓄積に特化したものや、データ解析に特化したもの、モバイル通信サービスに特化したもの等もIoTプラットフォームと総称される。

同社の特長は、サイバー空間から現実世界までのサービスや作業をワンストップで提供できることにある。一般的なIoTプラットフォームは、業務がサイバー空間に限定されがちだ。同社は、AIやBI、グループウェアなどは外部アプリケーションと連携し、クラウドサーバーや通信網は大手ベンダーやキャリアのサービスを利用するが、IoTプラットフォームから、システム構築、現実世界で使用される通信デバイスの設計・製造から屋外現場での設置工事までを手掛けられる稀有な存在になる。

同社は、IoTソリューションの企画及びこれに付随する端末製造、通信インフラ、アプリケーション開発並びにクラウドサービスの運用・保守に関する業務をワンストップで提供している。そのため、センサーや通信デバイスの設置工事などのイニシャル売上に加えて、顧客がサービスを利用する限り、ストック型のランニング収入が積み上がる。実際、2017年3月期の役務提供売上原価の最大項目は通信費であり、役務提供売上原価の39.1%を占めている。携帯電話大手3社は、2018年よりIoTに適した新しい通信サービスを開始するため、IoTシステムの用途とユーザー層の拡大が期待される。

(3) 強みは「つなぐ力」「構築力」「組織力」
同社は、過去10年間に累計7,000現場にIoTシステムを設置した実績を持ち、常時18,000アイテム以上を運用している。IoTシステムインテグレータとして同社が有する機能は、ワークフロー順でマーケティング・サービス企画、ハードウェア設計・製造、組込ソフト・プラットフォーム設計・開発、ネットワーク設計・開発、Web アプリケーション設計・開発、システムインテグレーション、他社アプリ連携、設置・工事、保守運用・アフターサポートと多岐にわたる。

IoTを活用した現実世界の課題解決のためには「モノ・コト」をセンシングする機能が要る。パートナープログラムを通じて2,000種類以上の接続実績があるセンサーを用意し、多彩なニーズに対応可能としている。多様な顧客ニーズに適応するため、豊富な自社開発の通信デバイスを製品化している。また、顧客の利用形態に応じて、自社エンジニアがカスタマイズもする。多くの導入実績に基づき、多種多様な屋内外の設置場所において最もセンシングに適した場所の選定などフィールドでの設置ノウハウを蓄積している。同社の強みは、この「つなぐ力」にある。

第2の強みとして、「構築力」が挙げられる。同社がSIerとしてIoTシステム開発することで、各ベンダーやメーカー間の調整に時間をかけず、迅速なシステム構築が可能になる。API連携により、各ベンダー、メーカーの良い部分を取り込んだシステム使用を提供する。構築ノウハウ、接続実績が豊富なため、安定したシステム構築と運用を実現している。

第3は「組織力」になる。IoTシステムによる課題解決するため、IoTネイティブのマインド、全社員参加型の業務推進、一元的な体制でIoTをフルスタックエンジニアにより提供することを実現している。IoTシステム開発では、「つなぐ力」「構築力」「組織力」が合わさって、同社の強みが増幅する。

創業以来一貫してIoTを提供している同社では、上記「つなぐ力」「構築力」「組織力」が強みとして培われている。

2. インテグレーションソリューション「FASTIO」
IoTインテグレーションソリューションに対するニーズが高かったことから、IoTプラットフォームとして「FASTIO」を開発し、外部顧客へ提供している。クラウド提供であることから、通信インフラやクライアントソフトのインストールが不要であり、短期間で、安価にIoTサービスを利用することができる。IoTの導入はセンサーやゲートウェイ※端末選定が重要となるが、アライアンスプログラム「FASTIO LINK」及び「FASTIO DATALINK」により多様なデバイスからのデータ取り込みを可能にしている。

※ゲートウェイ:異なるネットワーク同士を接続するネットワーク関連機器及びソフトウェアの総称。

標準のアプリケーションで、画像・動画管理、遠隔接点制御、位置情報管理等に対応しており、様々な産業、市場が利用できる。さらに、複雑な分析やBIツール、AIのマシンラーニング等の先進分野における外部クラウドサービスとの連携を前提として設計されている。外部クラウドサービスがセンシングデータを利用できるようAPI※を充実させ、シームレスなデータ提供を可能とする。クラウドベンダーに対しても、インテグレーションソリューションの提供を行っている。

※API:Application Programming Interfaceの略。ソフトウェアコンポーネントが互いにやりとりするのに使用するインタフェースの仕様。

同ソリューションにおいては、パートナー企業との協業を推し進めている。「KDDI IoTクラウド Standard」は「FASTIO」をKDDI向けにカスタマイズしたものになる。データコレクトプラットフォーム「FASTIO」は、APIで外部クラウドと接続できる。2016年1月に業務・資本提携したテラスカイ<3915>のグループウェア「mitoco」との連携を図っている。また、同年12月に外部AIエンジンを活用した「FASTIO AI」を利用した画像解析システム及び気象予測システムをリリースした。顧客のニーズに対応するため、自社で不足する経営リソースは、それを得意とする外部のベンダーとのパートナーシップにより最適なソリューションを提案する。

3. モニタリング ソリューション「ゆりもっと」
創業事業である融雪システム遠隔監視ソリューション「ゆりもっと」は、北海道を中心に1,800台以上設置している。2017年3月期は、約200台を新規に設置した。現場に設置される監視カメラの費用は、1台当たり約30万円になる。同期の売上高は157百万円であり、内訳としてイニシャルとランニングに分類できる。イニシャルは、主にカメラ等のハードウェアの導入料である。ランニングは遠隔監視サービス利用料であり、物件毎に1シーズン当たり平均して約10万円の料金を受け取る。

顧客は、賃貸マンション・アパートのオーナーや分譲マンションの管理組合及び管理会社となる。札幌市内の賃貸マンションへの導入例では、融雪面積1,116平米、融雪ボイラー8台の条件で、導入後8シーズンにおける省エネ効果は平均56%、1シーズン当たり141万円の燃料費の削減を実現した。

同ソリューションは、監視センターの設置や24時間監視の要員を配置しなければならず、事業が一定規模を超えないと収益化しづらい。同社は、他社に先駆けて市場に参入した上、数々の賞を受賞しており、市場をほぼ独占している。札幌市内のターゲットとするマンションでは、対象とする物件の約7割への浸透を済ませており、より小型物件へすそ野を広げることになる。市場は成熟化し、稼働期間も12月から3月の冬季に限定される。市場の成長性は低いものの、圧倒的なシェアにより、同ソリューションは「金のなる木」となっている。今後は、コスト削減の一環として、AIによる融雪ボイラーの運転判断情報を提供し、監視業務の効率化を図る。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 瀬川 健)

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