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【注目トピックス 日本株】シンワアート Research Memo(5):2017年5月期は苦戦が続くなかで、太陽光発電の販売拡大により増収を実現

2017年10月6日 16:06

■業績動向

1. 過去の業績推移
シンワアートオークション<2437>の上場後の業績推移を振り返ると、2006年5月期をピークとして2014年5月までは伸び悩みを続けてきた。特に2009年5月期はリーマンショックに伴う景気後退の影響を受けたことから取扱高及び売上高ともに大きく落ち込み、2期連続の営業赤字につながった。2011年5月期に黒字に転じたものの、その後も長引くデフレ経済の影響で、主力の近代美術オークションにおける平均落札単価が低迷し続けたことから、業績は停滞感の中で推移してきた。

ただ、2014年5月期にデフレ脱却に向けた政策の影響などで近代美術オークション市場が緩やかながら回復基調に入ると、同社のオークション事業の業績にも一旦回復の兆しが見られ始めた。また、2014年5月期からは、新たな収益の柱として参入したエネルギー関連事業が連結化されると、2015年5月期以降、大幅な事業拡大により同社の業績の伸びをけん引している。2017年5月期も、オークション関連事業には伸び悩みがみられるものの、太陽光発電施設の販売拡大により過去最高の売上高を更新した。

財務面では、2013年5月期まではほぼ無借金経営を続けており、自己資本比率もおおむね70~80%の高い水準を維持してきた。エネルギー関連事業及び医療機関向け支援事業を連結化した2014年5月期以降は、太陽光発電施設の販売拡大に伴う運転資金や自社保有分を有利子負債で賄っていることから自己資本比率は大きく低下してきたが、財務基盤の安定性に懸念を生じさせる水準ではない。むしろ、これまでの手堅い財務方針が、成長に向けた攻めの姿勢に転じたことを反映したものとして捉えることができる。

2. 2017年5月期決算の概要
2017年5月期の業績は、売上高が前期比37.2%増の5,348百万円、営業利益が同2.3%増の364百万円、経常利益が同8.7%減の303百万円、親会社株主に帰属する当期純利益が同1.3%増の166百万円と2期連続で30%を超える大幅な増収となり、過去最高の売上高を更新した。ただ、中核のオークション関連事業の低迷により、利益面では伸び悩む結果となった。

売上高は、エネルギー関連事業(太陽光発電施設の販売)が想定以上に拡大したことが大幅な増収に寄与した。一方、苦戦が続いているオークション関連事業は減収となった。

利益面では、エネルギー関連事業の拡大に伴うセールスミックス(売上構成比)の変化が売上原価率の上昇を招いたことにより、営業利益は緩やかな伸びにとどまった。営業利益率も6.8%(前期は9.1%)に低下している。すなわち、手数料収入による粗利益率の高いオークション関連事業の低迷が要因と言える。また、太陽光販売施設の販売拡大に伴う運転資金調達(コミット型シンジケートローン)にかかる支払手数料及び支払金利の増加により、経常利益では減益となった。

財政状態については、オークション関連事業における戦略在庫(商品勘定)の積み増しやエネルギー関連事業における売掛金の拡大により流動資産が増加するとともに、自社保有目的の大型太陽光発電施設(2MW)の取得により固定資産も増加したことから、総資産は前期末比62.5%増の6,432百万円と大きく拡大した。それに伴い、有利子負債も長短合わせて同107.7%増の2,848百万円に増加したことから、自己資本比率は31.2%(前期末は44.6%)に低下した。ただ、流動比率は153.6%の高い水準を維持しており、財務の安全性に懸念はない。

各事業の概要は以下のとおりである。

(1) オークション関連事業
オークション関連事業は、取扱高(落札総額)が前期比27.5%減の2,994百万円、売上高が同21.9%減の922百万円、セグメント損失が112百万円(前期は89百万円の利益)と想定を下回る大幅な減収により、セグメント損失に落ち込んだ。オークション開催回数が28回(前期は30回)に減少したほか、出品数、落札数、平均落札単価のすべてがマイナスとなっており、総じて低調に推移した。主力の近代美術についても、出品数は増加したものの、落札数が微増にとどまり、平均落札価格では大きく下落する結果となった。また、積極的に取り組んでいるプライベートセール(相対取引)についても、高額作品の成約があった前期と比べて減収となり、オークション事業の落ち込みを補完するには至らなかった。

(2) エネルギー関連事業
エネルギー関連事業は、売上高が前期比62.9%増の4,421百万円、セグメント利益は同78.0%増の479百万円と想定を上回る大幅な増収増益となった。太陽光発電施設の販売拡大が業績の伸びに寄与した。節税効果を目的とした旺盛な需要に支えられ期限となる2017年3月末までに114基を販売した。4月以降は、需要の伸び悩みを予想していたが、利回りに着目した需要が根強くあり、その結果、合計193基(前期実績101基、計画では150基)にまで販売数を伸ばすことができた。また、販売価格も強い需要に支えられ好調に推移したことから、セグメント利益率も10.8%(前期は9.9%)に改善している。一方、売電収入についても、兵庫県西脇市の太陽光発電所(800kW級)に加えて、2016年11月からは新たに取得した埼玉県秩父市の太陽光発電所(2MW級)が稼働を開始したことから、合計で90百万円程度の売上貢献となったもようである。なお、秩父市の太陽光発電所の取得により、2017年5月期末の有形固定資産は1,116百万円(前期末比826百万円増)に拡大した(減価償却期間は17年間を予定)。

(3) その他
その他は、売上高が4百万円(前期は2百万円)、セグメント損失が2百万円(前期も2百万円の損失)となった。医療機関向け支援事業においては、医療ツーリズムを収益の柱とするべく、香港において、中国・アジアからのインバウンド旅行者向けに、銀聯カード決済機能付きプラットフォームの稼動を開始するとともに、日本国内の提携病院及びクリニックの同プラットフォームへの加盟店促進に取り組んでいる。また、新たなサプリメント「プラズマローゲン・プレミアム」を、オリジナルブランド「A|A|A|A」(Asian Anti-Aging Alliance)の製品として販売を開始した。ただ、まだ事業モデルの完成度を高める段階にあり、本格的な業績貢献には至っていない。

以上から、2017年5月期決算を総括すると、外部環境の影響等によりオークション関連事業の回復に遅れが生じていることには課題が残ったものの、太陽光発電施設の販売拡大により売上高を大きく伸ばしたところは評価できる。特に、優遇税制措置が終了した4月以降も利回り目的の需要が根強いことが確認できたところは今後に向けてプラス材料となった。また、前述のとおり、エネルギー関連事業及び富裕層ビジネスにおいて、新たな収益ドライバー(PKS及び海外不動産紹介)が立ち上がってきたところにも大きな成果があったと言える。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 柴田 郁夫)

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