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【注目トピックス 日本株】シンワアート Research Memo(2):業界のパイオニアとして国内の美術品オークション市場をリード(1)

2017年10月6日 15:58

■会社概要

1. 事業概要
シンワアートオークション<2437>は、国内最大級の美術品オークション会社である。1989年の創業以来、業界のパイオニアとして国内のオークション市場をリードするとともに、業界唯一の上場会社でもある。日本の近代美術を中心として、近代陶芸やブランド雑貨、時計、宝飾品なども手掛けている。特に、同社が得意とする2,000万円以上の高額落札作品においては業界トップシェアを誇る。

美術品に対する専門性の高さや富裕層マーケティングによる人的ネットワーク、実績に裏打ちされた信用力やブランド力などを強みとして、業界のリーディングカンパニーとしての地位を確保してきた。
また、2014年5月期からは、これまで積み上げてきた富裕層マーケティングとのシナジー効果が期待できる事業として、医療機関向け支援事業及び太陽光発電によるエネルギー関連事業にも参入した。「アートから始まる富裕層向けのセレクトサービスカンパニー」へと事業ドメインを拡張することにより、安定収益源の確保と財務基盤の強化に取り組んでいる。

また、ホールディングス化によるグループ再編への準備も進めており、グループ戦略の強化によって、富裕層ビジネスの更なる発展を目指す。

事業セグメントは、主力の「オークション関連事業」のほか、太陽光発電施設の販売等による「エネルギー関連事業」、医療機関向け支援事業等による「その他」の3つに区分される。事業別売上高構成比率では、「オークション関連事業」が17.2%、「エネルギー関連事業」が82.7%、「その他」が0.1% となっており、2015年5月期より本格稼働した「エネルギー関連事業」の比率が高くなっている(2017年5月期実績)。

同社グループは、子会社7社(孫会社等4社を含む)と持分法適用会社1社で構成される(2017年5月末現在)。子会社には、宝飾品を中心としたオークションの企画及び運営を行うJオークション(株)、エネルギー関連事業及び損害保険代理業等を手掛けるエーペック(株)、医療機関向け支援事業を手掛けるシンワメディコ(株) 及びShinwa Medico Hong Kong Limited、ミャンマーで植林事業を行うシンワ・ミャンマー(Shinwa Myanmar Co., Ltd.)、PKS事業の開始に伴い新たに孫会社となったSHINWA APEC MALAYSIA SDN. BHD.がある。また、持分法適用会社は、香港での美術品を中心としたオークションの企画及び運営、美術品売買を手掛けるASIAN ART AUCTION ALLIANCE Co.,Ltd.(同社が21.1%を所有)である。

各事業の概要は以下のとおりである。

(1) オークション関連事業
オークション関連事業は、大きく「オークション事業」と「オークション関連その他事業」に分けられる。

a) オークション事業
オークション事業は、取扱作品・価格帯により、近代美術オークション、近代陶芸オークション、近代美術PartIIオークションを定期的に開催するほか、ワイン・西洋美術・コンテンポラリーアート等のオークションも随時開催する。また、ブランド雑貨、時計、宝飾品については、2013年10月に設立した連結子会社Jオークションが開催するオークションで取り扱っている。オークション関連事業の売上高は、主に落札価額に対する手数料収入(落札手数料及び出品手数料)で構成される。落札手数料は落札価額200万円以下に対して15.0%、200万円超5,000万円以下に対して12.0%、5,000万円超に対して10.0%、出品手数料は落札価額の10.0%と設定されている。他にもカタログ収入や会費収入などで構成される。

b) オークション関連その他事業
オークション以外の相対取引であるプライベートセールを中心に構成されている。オークション取引と同様に、販売価格をベースに販売委託者及び購入者から手数料を徴収する場合と、同社が作品を買い取り、その在庫商品を購入希望者に販売する場合とがある。

同社は、美術品市場全体の安定化と規模の拡大を目的として、いわゆる近代美術の巨匠と言われる作家の名品(マスターピース)クラスの作品を数点購入し、戦略在庫として保有するとともに、作品ごとに販売時期、価格及び販売先などを含め、最も合理的な販売を実現することにより、販売益の獲得や効果的なマーケットメイクを目指している。

なお、手数料収入と商品売上高は、売上高に対する量的なインパクトが異なるため注意が必要である。オークション関連事業の業績を判断するためには、取扱高及びセグメント利益を見るのが妥当と言える。

(2) エネルギー関連事業
富裕層向けに50kW級の低圧型太陽光発電施設の分譲販売を行うとともに、高圧型太陽光発電施設※を自社保有することによる売電事業も展開している。優遇税制措置は2017年3月末に終了したが、利回りに着目した根強い需要が続いている。また、2017年4月には、マレーシアにおいて新たにPKS事業(詳細は後述)を開始した。

※兵庫県西脇市(800kW級)と埼玉県秩父市(約2,300kW級)に大型太陽光発電施設を保有している(そのうち、秩父市は2016年11月から売電を開始)。

(3) その他
医療機関向け支援事業として、診療報酬債権ファクタリング事業を行ってきたが、資金調達の遅れ等により一旦凍結とした。現在は、日本を含めたアジアの富裕層に日本の最先端の医療技術やより良い品質の医療サービスを紹介する医療ツーリズムを収益の柱にするべく注力している。また、アンチエイジングなどの健康食品(サプリメント)の販売も行っている。

加えて2017年7月からは、優遇税制措置の終了した太陽光発電施設に代わり、富裕層の節税ニーズに対応する商品として、海外不動産販売の紹介事業も開始した(詳細は後述)。一方、2016年4月から開始した保険代理店事業(地震保険キャプティブ設立コンサルティング)については、制度上のハードルがネックとなっており、受け身営業に変更したようだ。

2. 活動実績
(1) 海航資本集団との連携を見据えた戦略提携の締結
同社は、2016年10月に采誉投資有限公司に対する第三者割当による新株発行及び采誉投資有限公司の100%子会社である喜昌投資有限公司との業務提携を締結した。采誉投資有限公司は、中国の海航資本集団の文化事業構想のために2015年5月に香港に設立された法人であり、同社としては海航資本集団との連携(対日投資及び文化事業支援)を進めるところに狙いがある。特に、中国及び日本における美術品市場の活性化はもちろん、同社が新たな収益ドライバーとして注力している医療ツーリズムにも大きな効果が期待できる。具体的な業績貢献には中長期的な目線が必要であると考えられるが、今後のダイナミックな展開が注目される。

(2) ブロックチェーン技術の実証実験を開始
フィスコ<3807>グループで、FinTech関連ビジネス(特に、ブロックチェーン技術の活用)を手掛けているカイカ<2315>との共同により、オークション事業における美術品所有管理及びエスクロー業務について、ブロックチェーン技術の適用性を確認するための実証実験を開始した(2017年2月)。同社では、エスクロー業務のプラットフォーム化やエネルギー事業とブロックチェーンの親和性(活用方法)の検証に狙いがある。

また、(株)フィスコ仮想通貨取引所との資本業務提携を締結(2017年4月)。アート業界における仮想通貨決済やブロックチェーン技術を使った美術品の登録システムの実証実験や共同開発を進める予定である。

(3) PKS輸入販売事業の開始
エネルギー関連事業の新たな収益の柱の1つとして、マレーシアにおいて、バイオマス発電の燃料となるPKS(パーム椰子殻)の輸入販売事業を開始した(2017年4月)。バイオマス発電は、政府の長期エネルギー需給見通し(エネルギーミックス)でも重要な電源として位置付けされているが、その燃料としてPKSへの注目度は高く、取扱量もここ数年で急速に伸びてきた。今後、バイオマス発電所の建設が急速に進むものと予想されており、PKS需要の拡大余地は大きい。同社では、現地での直接仕入れやストックヤードの自社保有により、低コストで安定供給ができる体制を構築しており、それが長期契約をとるための差別化要因となっている。今後は、販売先(発電事業者)の稼動に向けた進捗状況によるところが大きいが、2018年5月期中に立ち上がってくる可能性がある(本格的な業績貢献は2019年5月期以降となる見込み)。

(4) 海外不動産販売の紹介事業の開始
富裕層ネットワークの更なる拡大を目的として、海外不動産販売の紹介を中心とするウェルスマネジメント分野にも新たに参入した(2017年7月)。海外不動産の場合、国内不動産と比較して、不動産価格に占める建物部分の割合が高く、減価償却費による節税メリットが大きいところに違いがある。また、米国の中古住宅市場は非常に充実しており、日常的なメンテナンス・リノベーションを行う習慣が根付いているため、築年数の古い物件であっても家賃収入(インカムゲイン)が安定しているほか、値上がり(キャピタルゲイン)の期待もできる。同社は、経済成長や人口の伸びが著しいテキサス州の中古不動産物件購入希望者を日本国内で開拓し、現地の中古不動産販売業者を紹介する形を取っている。

(5) 文化支援事業
同社グループは、ミャンマーで事業を進める傍ら、収益の一部を文化支援に充てる活動を進めているが、その一環として、日本とミャンマーの文化交流を推進するため、20世紀後半以降のミャンマーを代表する油絵作家ルン・ジゥェ(U Lun Gywe)に関する展示会を日本で開催した。同社では、今後も海外アーティストの発掘・支援などを通じた美術品市場の活性化や、アジア展開を見据えた現地とのネットワーク作りにも取り組む方針である。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 柴田 郁夫)

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