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【注目トピックス 市況・概況】「反米」エクアドルのドル化実験【フィスコ・コラム】

2018年1月28日 9:01

中米エクアドルがドルを法定通貨とする政策に切り替えてから、来年でちょうど20年になります。「反米」を標ぼうする政権のドル使用という矛盾は、原油価格の緩やかな回復によって覆い隠されてしまうかもしれません。

エクアドルは1990年代終盤にアジア通貨危機の飛び火や原油価格の下落などを受け、極端なインフレに陥ります。そこで、流通していた自国通貨スクレを廃止して緊急避難的にドルの使用に踏み切り、その後は正式通貨としました。2000年代に入り、ドル化政策の定着とともに原油価格の上昇などが寄与し、経済は安定成長が続きます。2008年のリーマン・ショック後の成長はやや鈍化したものの、すぐに回復しました。

しかし、2014-15年の原油安で税収が落ち込み、公共事業の減退、消費マインドの悪化などで2016年はマイナス成長に転落。2017年もさえない状況が続きました。そのような混乱のなか、ドル化政策の問題点がクローズアップされてきました。アメリカからみれば、エクアドルなどは独自の判断でドルを使用しており、連邦準備制度理事会(FRB)はこうした国々の経済情勢を念頭に入れて政策を展開しているわけではありません。

ドル化政策で、エクアドル中銀は自立した金融政策を運営することができず、財務省証券の引き受けや中銀証券の発行などにより資金の流動性を確保してきました。しかし、アフリカのジンバブエ同様、当然ながら独立性などは担保されていないといった問題点があります。また、独自通貨があれば原油などの輸出入を通じた通貨の需給による調整も期待できますが、エクアドルにはそうした機能も期待できません。

このため、エクアドル国内にドルが潤沢に供給されなければ同国経済はたちまち行き詰ってしまいます。それを避けるには、アメリカに移住したエクアドル人からの送金に頼らざるを得ません。また、輸出入の最大の相手国はアメリカです。反米のコレア政権が2007年から10年間続き、現在のモレノ政権もその路線を引き継いでいますが、実際にはアメリカ経済にかなり依存した経済構造になっています。

同国内にはドル化政策の転換に関する議論もあるようです。ただ、景気が低迷するなかで独自通貨を導入すれば、切り下げ圧力がかかりドル建ての債務に圧迫される事態が予想されます。結果としてハイパーインフレとなり債務不履行に陥るため、実質的に独自通貨を持つことが困難と指摘されています。ほぼ同時期にドル化政策に移行したエルサルバドルも、同じような問題を抱えているようです。

IMF主導の新自由主義が格差を拡大させたとの主張から、コレア政権はキューバに倣い公共事業を積極的に拡大するとともに福祉を手厚くする政策を進め、生活水準を引き上げました。原油安で混乱した際には、原油高を前提とした手厚い政策をスリム化するチャンスでした。ただ、原油価格は昨年後半から緩やかな回復傾向にあり、輸出国の経済を安定化させる見通しです。エクアドルの「矛盾」は目先も維持されるでしょう。

(吉池 威)

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