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【注目トピックス 日本株】USENNEX Research Memo(6):統合のモチベーションが垣間見られるセグメント別収益動向

2018年5月17日 16:10

■業績動向

1. セグメント別の成長性と収益性
事業セグメント別の収益推移を見ると、U-NEXTのコンテンツプラットフォーム事業とコミュニケーションネットワーク事業は、それぞれ2017年12月期と2016年12月期に一時的な利益の落ち込みはあるものの、売上高、利益ともに成長性が高い。しかし、営業利益率は低い。一方、USENの音楽配信事業、業務用システム事業、ICT事業は営業利益が額も率も高い。特に音楽配信事業は20%台の営業利益率を誇る。しかし、成長性が低い。その中で、USEN-NEXT HOLDINGS<9418>が成長事業と期待しているのがコンテンツプラットフォーム事業と、音楽配信事業に組み込まれている店舗運営ソリューション事業である。コンテンツプラットフォーム事業はまさに伸び盛りではあるが、コンテンツ調達のための資金が必要である。店舗運営ソリューション事業は、グループの総力を前提にしたビジネスである。安定高収益事業の資金を高成長事業へ回し、グループ各社の経営資源によるシナジーを追求するという、まさに今回の統合のモチベーションが垣間見られる。

今般の統合により、バランスシートがやや重くなった。旧USENの時価評価バランスシートを取り込むことによってプレミアム部分を含めた株式取得簿価との差額であるのれんが発生し、統合に必要な資金の大部分を借入で調達したため負債割合が増加したのである。但し、リスクテイクしたのれんの増加が結果的に大きな減損につながった2000年代とは異なり、本業中心にシナジーをより高めることを狙った資本戦略に伴うのれんの増加であり、低いリスクで収益性と成長性を引き上げることが期待される。尚、統合の目的の1つに財務内容の健全化があり、資本金及び資本準備金の減少によって増加したその他資本剰余金の一部を繰越欠損金に当てている。

実質的に収益性が改善
2. 2017年12月期の業績動向
2017年12月期の業績は、売上高114,291百万円(前期比149.3%増)、営業利益5,867百万円(前期は営業損失396百万円)、経常利益3,303百万円(前期は経常損失436百万円)、親会社株主に帰属する当期純利益は427百万円(前期は親会社株主に帰属する当期純損失935百万円)となった。ただし、統合で被吸収会社となったUSENは9ヶ月分(2017年3月1日~2017年11月30日)の連結取り込みとなっている。この変則的取り込みと統合の一時費用を修正したものが下表換算後業績であり、これによると収益性改善が図られていると言うことができる。

グループ全体ではポートフォリオ経営が生きている
3. 事業セグメント別業績動向
コンテンツプラットフォーム事業は、内部売上高を含む売上高が19,710百万円(前期比25.1%増)と大きく伸びたものの、営業利益は42百万円(同95.5%減)と大幅減となった。コミュニケーションネットワーク事業は、内部売上高を含む売上高が32,385百万円(前期比7.6%増)、営業利益が1,748百万円(前期は回収懸念債権と過剰在庫の整理により営業損失614百万円)と大きく回復した。音楽配信事業は、内部売上高を含む売上高が31,463百万円、営業利益は6,861百万円となった。業務用システム事業は、内部売上高を含む売上高が13,308百万円、営業利益が1,572百万円となった。ICT事業は、内部売上高を含む売上高が9,088百万円、営業利益が675百万円となった。その他事業は、内部売上高を含む売上高が9,954百万円、営業損失が1,246百万円となった。

コンテンツプラットフォーム事業では、映像配信サービスの市場が拡大する中、引き続きユーザーエクスペリエンスの改良やコンテンツの拡充、マーケットの開拓を進め、契約者数を順調に伸ばすことができた。特にコンテンツの拡充においては、韓流コンテンツの独占配信などラインナップ強化が進んでおり、2017年の大ヒット映画「美女と野獣」など最新作の配信もユーザー獲得につながったと思われる。さらに、2017年7月より「ビデオ見放題サービス」向けに毎月プレゼントしている「U-NEXT」ポイントを20%増量(1,000→1,200ポイント)、有効期限も2倍(45→90日間)に延長したが、これも顧客数の増加に寄与したと考えられる。一方、こうした契約者数拡大を狙った積極販促コスト、コンテンツの拡充・会員数増加によるコンテンツコストが増加した。

コミュニケーションネットワーク事業では、インターネット回線の販売代理店サービスで、新規獲得に注力している小規模事業者向けサービスが引き続き堅調に推移した。MVNOサービス「U-mobile」では、ヤマダ電機向けOEM「ヤマダニューモバイル」の販売を開始した。また、販売代理店の与信管理の徹底と質の改善にも継続的に取り組み、債権管理体制の強化を図った。

音楽配信事業では、音楽配信サービスから開業支援、事業環境の構築、集客・販売促進までトータルなサービスを提供する店舗運営ソリューションで、店舗や商業施設向けサービスのラインナップを充実させた。主なラインナップとしては、多機能・低価格なタブレットPOSレジ「USEN Register」、USEN Registerのオプションでテーブルオーダーにおける省人化システム「USEN Register Table Top Order」、店舗アプリ作成サービス「UPLink」、業務店向けWi-Fiサービス「USEN SPOTシリーズ」、スマートフォンで遠隔管理できるIPカメラ「Viewlaシリーズ」、飲食店向け予約サービス「USEN Reservation」、カード決済サービス「USEN PAYGATE」——などである。また、職場環境を改善するオフィスBGM「Sound Design for OFFICE」や、メンタルヘルスケア対策支援ASPサービス「こころの保健室」などの利用促進にも注力した。さらに、集客支援のグルメ情報サービス「ヒトサラ」とのシナジーを期待して、全国の料理人・飲食店と生産者をスマートフォンで結ぶ「REACH STOCK」をリリースした。

東京オリンピック・パラリンピック開催へ向けて建設ラッシュのホテル市場において、訪日外国人への対応や人手不足を補完するITソリューションの導入ニーズが高まっている。このため業務用システム事業では、引き続きホテル管理システムや自動精算機など新商品を市場投入するとともに提案型営業を強化した。加えて、新製品やカスタマイズ製品の品質強化を図るため、開発・製造プロセスやフィールドサービスの改善を進めた。ほかに、省スペース化したクリニック・調剤薬局向けの自動精算機や、ホテル・病院向けの次世代型ソーシャルロボット「Unibo」を投入した。

ICT事業では、「USEN GATE 02」ブランド中心にサービスラインナップの強化を推進してきたため、マルチベンダーとして現在160以上のサービスを取りそろえることができている。このため、ネットワーク関連サービス事業において、中小企業向けインターネット接続サービスの販売取扱高で高い実績を誇り、クラウドサービス事業においてはGoogleの「G Suite」、サイボウズの各種SaaSサービスを販売するなど順調に業容を拡大している。

その他事業では、飲食店向け集客支援サービス「ヒトサラ」で、関連書籍の出版などにより競合他社との差別化を積極的に進めたほか、ビューティーマーケット向けWebマガジンやフリーマガジンの発行、ウェディングイベントの開催など、周辺領域にも積極的に進出した。エネルギー事業は、店舗運営ソリューションの一環として取り組んでいることに加え、専従の営業部門を設けるなど投資と営業活動を積極化したことから、高圧小口需要中心に好調に推移した。

2018年8月期は実質2ケタ営業増益見込み
4. 2018年8月期の業績見通し
同社は2018年8月期について、売上高108,000百万円、営業利益5,500百万円、経常利益4,500百万円、親会社株主に帰属する当期純利益1,700百万円を見込んでいる。決算期変更のため前期比増減を示していないが、本社移転などに伴う一時費用控除後12ヶ月換算の業績では、増収で2ケタ増益の見込みとなっている。

計画を見ると2018年8月期はまさに、映像コンテンツ、音楽コンテンツ、IoT各種商材、ネットワークインフラ、安定した顧客基盤といった、U-NEXTとUSENがそれぞれに持つ経営資源を相互活用し、グループシナジーを追求する期という位置付けだということがよく分かる。そのためにも積極的な経営を展開する考えで、マーケットが伸び悩んでいるMVNO事業や固定ブロードバンド回線事業、販売代理事業以外、すべての事業で増収を見込んでいる。また、グループ各社の拠点集約を目的に本社移転を行う予定であり、2018年8月期においては移転コストが足を引っ張る見込みだが、中期的には業務の効率化やシナジーの最大化などを通じて収益貢献が期待される。

5.類似企業比較
同社は統合したばかりのうえ、事業が多岐にわたっていることもあり、現状、同社に対する株式市場の認識は低く、株価は利益規模に比べてやや割安になっているといえよう。しかし、株式市場においても特徴づけられるのが、コンテンツプラットフォーム事業の映像配信サービスと、音楽配信事業の音楽配信(+周辺)サービスである。この2サービスが、同社の成長ドライバーと期待されるからだ。また、2018年4月4日にニューヨーク証券取引所に上場した音楽配信事業のスポティファイの初日終値ベース時価総額が2.8兆円と高額になったように、株式市場でテーマ化しやすい事業でもある。統合のシナジーが顕在化し、成長の道筋を描けるようになれば、同社はコンテンツ配信関連の大手企業の中でもプレゼンスを高めることができるだろう。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 宮田仁光)

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