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【注目トピックス 日本株】パイプドHD Research Memo(5):今期の営業利益は33.4%減予想だが、主要因は次期に飛躍のための布石

2018年6月11日 15:08

■今後の見通し

● 2019年2月期の業績見通し
パイプドHD<3919>の2019年2月期の連結業績は、売上高で前期比12.8%増の5,800百万円、営業利益で同33.4%減の500百万円、経常利益で同34.6%減の490百万円、親会社株主に帰属する当期純利益で同34.5%減の300百万円が予想されている。

下で述べる新しい中期経営計画の達成に向けて、前期(2018年2月期)の大量採用(90名)に続いて今期も95名の採用を予定していることから、これら新規採用人員の研修・教育費用が先行投資として今期(2019年2月期)に発生することから減益を予想している。

■中長期の成長戦略

1. 中期経営計画2020の見通しには変更なし
パイプドHD<3919>は、前の中期経営計画が2017年2月期に終了したことを受けて、2020年2月期を最終年度とする新しい「中期経営計画2020」を発表している。新中期経営計画の見通しは、2020年2月期に売上高7,300百万円、営業利益1,700百万円となっており、2017年2月期からの平均成長率(CAGR=Compound Average Growth Rate)は売上高で15.0%(前中期経営計画は24.0%)、営業利益は26.2%(同14.4%)となっている。

記述のように今期(2019年2月期)が減益予想であるにもかかわらず同社ではこの中期経営計画の目標を変えていない。その理由は、この目標達成のために前期(2018年2月期)90名、今期(2019年2月期)95名(予定)と大量に人員を採用することにより、売上高の寄与に先行して費用(研修・教育費など)が発生するからである。同社のホームページにも、「当社グループでは、採用した人材をすぐに現場へ配属するのでなく、約6ヶ月に及ぶ集中的な研修期間を通して、当社グループのサービスやシステムを徹底的に習得した後に本人の希望や適性を勘案してグループ各社へ配属しております。(中略)採用後の最初の約6ヶ月間は研修のみに集中するため、この間は業績に貢献しない期間となり、当社グループにとっては採用費に加えて当該期間の育成費や人件費が先行投資となります。」と記載されている。この結果、今期は減益ながら来期(2020年2月期)は大幅な回復を見込んでいる。

2. 重点施策
会社は、今回の新中期経営計画の標題として「リ・イノベーション」を掲げ、「明日のあるべき豊かな情報生活に貢献する企業集団」を目指すとしている。これの目標及び前述の定量的数値を達成するために、以下のような重点施策を実行していく方針だ。

(1) 「リアル×IT」の推進
リアルビジネスとITとの接点を強化し、イノベーティブな事業へ挑戦していく。その具体的な事例として新しい子会社を設立した。

a) VOTE FOR
以前から社内で行っていた政治・選挙情報サイト「政治山(R)」を活用してリアル×ITを実行していくために、2017年3月に設立された。今後は、「政治山(R)」+「ネット投票」を前面に押し出すことで、ネット投票の実現に向けてブロックチェーンなどの新技術を生かした投票システムの構築を目指す。

b) アイラブ
こちらも以前から社内で行っていた地域活性化プロジェクト「I LOVE 下北沢」を一段と推進すると同時に、そのノウハウを生かして「ショッピングモールやテーマパークに負けない楽しいコトが提供できるまちづくり」を目指す。具体的には、スマートフォンの仮想通貨を活用した少額決済で、投げ銭やチップなどの新しい取引の創造を目指す。

(2) グループ採用・グループ育成
グループ各社におけるIT分野の初等教育を共通化し、全体のレベルの底上げと現場スタッフの育成の手間を削減する。これにより、2020年2月期の業績の最大化を目指し、2018年2月期には新卒+第二新卒合わせて90名を採用したが、今期(2019年2月期)もさらに95名を採用する計画だ。

このグループ採用・育成をバックアップするのが子会社ブルームノーツ(2016年10月設立)だ。本来の事業は、顧客企業独自のノウハウをプログラムとして体系化し、この運用を支援するオーダーメイドの人材育成代行事業であり、これを生かして同社グループ全体の人材育成業務も行う計画だ。

(3) グループ各社の情報資産の有効活用
グループ各社の顧客や商品・サービスマッチングを一段と推進し、新たな取引や事業の創出を目指す。

3. 資金調達
また同社は、今後の成長に向けて下記のような自己株式取得及び資金調達計画を発表した。

(1) 子会社から自己株式を取得
連結子会社であるパイプドビッツが保有する同社株式50万株を767百万円で取得した。ただし連結子会社が保有する自己株式の取得なので、所有権が移転しただけであり、連結決算上は何の変化もない。元々この株式は、持株会社化前のパイプドビッツが少数株主からの買取り請求により取得したものだ。

(2) 第5回及び第6回の新株予約権の発行
さらに同社は、マッコーリー・バンク・リミテッドを割当先とする第三者割当による新株予約権(第5回250千株、第6回250千株)の発行を決議した※。

※詳細については同社ホームページ参照。

今回の発行の内容を要約すると、第5回の行使価格は1,800円(行使価格の修正は行われない)、第6回の行使価格は下限が1,800円だが、同社の決議により1,800円以上に修正が可能。この結果、割当てられる株数の上限は500千株に限られる一方で、同社は最低でも900百万円の調達が可能となる。さらに行使が行われた場合には、上記の子会社から取得した自己株式(500千株)を充当予定であることから総発行済株式数は増加せず、既存株主に対する希釈化は起こらない。

また今回の新株予約権の割当先であるマッコーリー・バンク・リミテッドは、新株予約権に対して対価(5,872千円)を支払っており、これを回収するためにも少なくとも株価が1,800円以上になってからでないと権利行使を行わないと推測される。さらに、権利行使後は取得した株式を少しずつ市場で売却するものと予想され、その結果、最終的にはこれらの株式は市場に放出され、株式市場での流動性増に寄与すると思われる。

以上から、今回の資金調達のスキームは、関係するステークホルダー(同社、既存投資家、割当先)すべてにとって好ましいスキームだが、その必要条件は株価が1,800円を上回ることだ。そのためにも、上記の中期経営計画の達成が必須となるだろう。

■株主還元策
今期は減益ながら予想配当性向30%を維持
同社は株主還元策として配当性向30%を公言しており、2018年2月期には年間21.0円の配当を実施し、配当性向は34.9%となった。2019年2月期は上記のように減益を予想しているものの、配当性向30%を維持するため年間12.0円の配当を行う予定だ。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 寺島 昇)

<TN>

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