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【注目トピックス 日本株】桑山 Research Memo(3):世界に広がるネットワーク

2018年7月11日 15:39

■事業概要

5. 世界に広がるネットワーク
品質管理や生産技術に劣らず桑山<7889>を支えているのが、ネットワークである。そのネットワークの基点となる東京本社には、営業はもとより生産以外すべての経営機能が集中、専用基幹システムで各地の営業拠点や製造拠点とつながっており、顧客の要望にスピーディに対応できる仕組みを構築している。国内の営業拠点は、大阪と福岡にあって関西と九州をカバーし、加えて宝飾産業の集積地である甲府にも配置され、全国の主要な宝飾品マーケットを網羅している。海外では、ダイヤモンドルースの集積地であるベルギーのアントワープにオフィスを設け、直接仕入れによって安定供給を実現した。近年アントワープの地位が下降気味になっているが、ダイヤモンドルースは、アントワープ以外の内外様々なネットワークを駆使することで必要量を集荷することができる上、ルースの商売自体採算が低く利益への影響が限定されるため、同社にとって致命的な問題にはなっていない。このように、同社は内外の拠点やネットワークをフルに活用することで、調達・販売戦略をダイナミックに展開することができるのである。

ネットワークを支える同社のグループ企業は、同社、連結子会社7社、非連結子会社7社、持分法非適用関連会社1社で構成される。各社とも総合ジュエリーメーカーである同社グループの構成要素として、各種宝飾品の企画、製造加工、販売、各事業に関する調査研究、サービスの提供などを行いながら、互いの事業活動をサポートしている。

厳しいが大手の競合先がほとんどない宝飾品市場
6. 宝飾品市場の現況と同社のポジション
日本のジュエリー市場は、1990年の資産バブルの崩壊と2008年のリーマン・ショックという2つのショックをきっかけに、3兆円から1兆円へと縮小した。加えて、少子高齢化や未婚率の上昇から市場が伸びず、小売ではパイの奪い合いが激しくなっている。このような市場だからこそ、2020年の東京オリンピック・パラリンピックに向けての国内消費の活性化や、インバウンド、ブライダル、モチベーションの3つの需要に期待が集まる。

訪日外国人によるインバウンド需要については、一時中国人観光客による「爆買い」が宝飾品市場に多大な貢献をもたらしたことがある。しかし、中国における関税強化策の影響などにより2016年には「爆買い」が沈静化し、チャネル別では、特に百貨店で「爆買い」沈静化の影響が大きく生じたようである。しかし、日本政府観光局(JNTO)によると、訪日外国人数は2016年が2,403万人で前年比21.8%増、2017年も2,869万人で同19.3%増と、「爆買い」はなくとも観光立国へ向けた国家施策により、観光客数は非常に強い伸びを続けている。このため、東京オリンピック・パラリンピックへ向けて(そしてそれ以降も)、インバウンド需要は拡大を続けていくと考えられている。

ブライダル需要は、婚約指輪と結婚指輪が中心である。厚生労働省の人口動態統計(年間推計値)によると、2017年の婚姻組数は60.7万組と前年比で1.4万組も減少した。こうした基調に合わせるように、ブライダルジュエリーの需要も減少している。とはいえ、宝飾品市場においてブライダルジュエリーは一定の規模があるため、多くの小売企業が競い合う状況となっている。しかし同社にとっては、宝飾品素材の調達力と高度な技術力などOEM/ODM製品メーカーとしての強みを、むしろ発揮しやすい環境と言える。

モチベーション需要はクリスマスやバレンタインといった、気持ちの高揚を伴うイベントなどによる需要である。資産バブルの崩壊以後、長年、消費市場全体が低迷を続けている。このため、小売やメーカーがこぞって消費を盛り上げようと、何かにつけてイベント化を図り、今や月に1度は大きなイベントが開催されるようになった。一方、結婚記念日や誕生日など「○○記念日」や「自分へのご褒美」など、消費者個々人へのアプローチも抜け目ない。業界全体のマーケティングの腕の見せ所だが、メーカーブランドの非常に少ないジュエリー業界では、小売に依存したマーケティング戦略にならざるを得ないのがやや残念である。

現在、こうした需要を取り込もうと小売市場で戦っているのが、百貨店の1階に出店しているような小売専門店であり、その多くが同社の取引先である。ということは、同社製品が各店の店頭に並んでいるということになるのだが、多くがOEM/ODMであるため同じものが売られているわけではない。同社の製品力の高さに驚くばかりだが、小売段階でのシェア取り合戦はますます厳しくなっている。

同社は原則として小売業に参入するつもりがない。取引先と直接競合してしまうし、作るノウハウと売るノウハウは異なるという認識を持っているからである。ジュエリーは多品種少量で嗜好品かつ買い回り品である。このため、資産としての所有欲求以上に、シーンやストーリーが購買動機となる。そうなると店頭での接客や内外装の雰囲気、商品の打ち出し方など販売特有の技術が必要となるからである。中国でもOEM/ODM製品を香港や中国本土の大手ジュエリーチェーンに供給しているが、同様の考え方で小売に参入していない。ただし、既存小売業への影響がない範囲であれば、最終顧客である消費者との接点を持つことも、業界の発展や同社の技術力向上のために必要であるかもしれない。

国内にジュエリーメーカーは400社弱あると言われている。そのうちジュエリーの製造小売(製品製造もする専門店チェーン)は、ツツミ<7937>とAs-meエステール<7872>くらいと言われている。彼らとは取引先を競い合う関係ではなく、メーカーと小売という間柄である。一方、ジュエリー市場の川上において競合とされる比較的大手のメーカーは、光・彩<7878>やナガホリ<8139>、クロスフォー<7810>あたりだろうが、光・彩はパーツが主で製造品目の範囲が異なるため競合は少ない。ナガホリは一部製造をやっているものの主力が卸売と直販であるため、これも業態としてやや異質である。クロスフォーは、勢いはあるが、ダンシングストーンという特殊なカテゴリーのジュエリーを製造している。3社とも規模感で同社に劣る。

むしろ、日々競合しているのが、宝飾産業の集積地甲府にあるような、小規模のファッションジュエリー専業メーカーやフットワークのいい企画会社である。これらとは品目においてピンポイントで競合する場合がある。特にOEM/ODMで競争が激しくなることがあるが、小規模ゆえ企画力や製造力が安定しないという欠点がある。国内400社弱のジュエリーメーカーのうち、8割が10人以下の小規模企業と言われる。100人以上の企業は10社もなく、その10社とも業態が違うと言うことができる。大手の競合先はほとんどないということができる。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 宮田仁光)

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