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【注目トピックス 日本株】サン電子 Research Memo(8):新たな成長軸の立ち上げにより成長加速を目指す

2018年7月11日 19:37

■成長戦略

サン電子<6736>の中期的な成長戦略は、情報通信関連分野のグローバル展開によって、成長を加速することである。MLCの事業譲渡に踏み切ったことにより、戦略の方向性がより明確になった。特に、犯罪捜査におけるデジタル・インテリジェンス分野のリーディングカンパニーとして世界市場の開拓を進めるとともに、新たな成長分野であるM2M、AR関連、O2Oソリューション等の強化を図るため、M&Aを含めて先進的な技術への積極投資を行っていく方針である。2019年3月期はAR関連 及びVRゲームコンテンツ等の販売開始を予定しているほか、M2MやO2Oソリューションも着実に立ち上がってきていること、DI向けが順調に伸びていることから、同社は新たな成長ステージに向けて転換期を迎えていると言える。

(1) モバイルデータソリューション
MLCの事業譲渡を決定した一方、成長性の高いDI向けに経営資源を集中することにより、世界的な需要の拡大を自らの成長に取り込む戦略である。特に、独自技術を生かしたデータ抽出の対象機種数を拡大するとともに、インターポールとのパートナー契約締結を始めとしたトレーニングプログラムの充実や、新製品・新サービスの開発(UFEDの優位性が生かされる機能の強化)などにより事業拡大を目指す。また、中長期的にはポテンシャルの大きいデータ分析(AIや機械学習の活用による犯罪捜査の効率化等)やデータ管理の領域へ拡充を図り、持続的な成長を実現する。

(2) M2M
M2M事業については、需要拡大に対応するための製品ラインナップの強化を図るとともに、BacsoftのIoTプラットフォームとの連携によるトータルソリューション化により差別化を実現する戦略である。特に、「おくだけセンサー」の拡販による成長加速を目指す。また、デバイスマネジメントサービス(ルータや後位端末死活監視、電源制御サービス等)などを通じてRoosterの競争力を高め、大型案件の受注向上にも取り組む。一方、進捗が遅れている海外においては、IoTソリューションの実証実験を本格フェーズへと進めるとともに、世界展開に向けて販売チャネル及びマーケティング強化を図る方針である。

(3) AR関連
「AceReal」については、産業用スマートグラス及び業務支援アプリケーションによる強みを生かし、産業界の改善に特化した製品を開発するとともに、実証実験を重ねていくことにより、B2B向けの共通プラットフォームとしてデファクトスタンダードの確立を目指す戦略である。特に、土木・建設、保守・点検、製造・物流、インフラ(鉄道、航空、発電)、医療、警備・セキュリティ分野をターゲットにしているようだ。

(4) VRゲームコンテンツ
VRゲームコンテンツ「DARK ECLIPSE」については、SIEEの2ndパーティータイトルとして欧州圏に展開するとともに、その他、米国、アジアは自社ブランドで販売し、世界市場に向けて成長を加速する戦略である。Free to Play※のため、しばらくは本タイトルの運営に注力し、早期収益化(投資回収)と業績への本格的な貢献を目指す。

※ユーザーはゲームに無料で参加することができるが、追加コンテンツを獲得するためにはフィーを支払う必要がある収益モデル(アイテム課金)である。したがって、収益化を実現するためにはゲームの運営力がカギを握ると言える。

弊社でも、今後の成長ドライバーとして、需要拡大が期待できる1)モバイルデータソリューション事業、2)M2M関連、3)AR関連の3つの事業が軸になるとみている。足元の業績は、エンターテインメント関連の落ち込みに加えて、MLCの下振れ、新規事業の進捗の遅れ等により後退したものの、3つの事業のポテンシャルの高さや同社の成長性の評価に変化を及ぼすものではない。モバイルデータソリューションは、既にリーディングカンパニーとして世界開拓を進めているが、世界規模で拡大している需要(安全、安心に対する社会的な要請)にどのように対応していくのか、その道筋に注目している。M2M事業についても、IoTソリューションとの融合を含め、同社ならではのソリューション提供により、これからの裾野拡大をいかに取り込んでいくのかがカギを握るとみている。また、新たな市場であるAR事業については、どのような戦略(ポジショニング)により先行者利益の享受や事業拡大を図っていくのかが参入に当たっての重要なテーマと考えられるが、共通プラットフォームの確立により産業分野でのデファクトスタンダードを目指す戦略は、同社の強みが生かせる分野であるとともに、事業展開のスピードを高め、スケールメリットの享受や参入障壁を構築するうえでも合理的な戦略であると評価できる。また、それぞれが順調に立ち上がってくれば、事業間連携の促進(ソリューションと顧客基盤を含む事業資産の相互利用など)による新たな収益チャンスの獲得にも期待がもてる。2020年3月期以降の成長加速に向けて、M2MやAR関連がどのようなペースで業績貢献してくるのか、今後の動向に注目していきたい。

一方、リスク要因は、市場環境に不透明感のあるエンターテインメント関連の動向である。構造的な問題(遊技人口の減少、低貸玉化による影響等)に加えて、2018年2月に施行された新たな規制(出玉制限など)の影響が懸念材料として挙げられる。いずれにしてもパチンコホールの業績や投資意欲の状況次第の展開と言えるだろう。業界環境の悪化に伴うリスクを最小限に抑えながら、一定の収益を稼ぐ事業構造変革の進捗にも注目したい。

■株主還元
2019年3月期も前期と同額の1株当たり20円配を予定
同社の配当政策は、安定的な配当と業績に応じた増配による利益還元を基本方針としている。2018年3月期については、前期と同額の1株当たり年20円(期末配当)に決定した。2019年3月期も1株当たり20円(期末配当)を予定している。

弊社では、同社本来の収益力や財務の状況等を勘案して、年20円配は可能な水準であると判断している。また、積極的な投資により成長加速を優先すべきフェーズにあるものの、収益基盤が確立してくれば、利益成長に伴う増配の余地は十分にあるとみている。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 柴田 郁夫)

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