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【注目トピックス 日本株】サン電子 Research Memo(3):2018年3月期業績は増収ながら営業損失を計上

2018年7月11日 19:35

■決算動向

サン電子<6736>の2018年3月期の業績は、売上高が前期比6.5%増の26,297百万円、営業損失が1,074百万円(前期は141百万円の利益)、経常損失が1,102百万円(同221百万円の損失)、親会社株主に帰属する当期純損失が1,293百万円(同581百万円の損失)と増収ながら営業損失を計上した。ただ、期初予想を下回ったものの、修正予想(2017年11月10日付)に対しては上回る着地となっている。

売上高は、モバイルデータソリューションにおいてMLCが落ち込んだ一方、DIの大幅な拡大が増収に寄与した。また、エンターテインメント関連でも遊技機メーカー向けの遊技機部品販売が規則改正前の駆け込み需要の影響もあり想定以上に好調であった。

損益面では、利益率の高いモバイルデータソリューションの伸びに伴って原価率が改善したものの、研究開発費※や販売人件費の増加により販管費が大きく拡大したことで営業損失に落ち込んだ。ただ、修正予想に対しては、エンターテインメント関連が上振れたことから上回る着地となっている。

※研究開発費は前期比15.9%増の6,551百万円と大きく拡大した。販売開始に向けて最終段階を迎えているAR関連及びVRゲームコンテンツへの開発投資のほか、モバイルデータソリューションにおける研究開発費(新事業領域への拡充等のための新サービスの開発等)が主な要因である。

なお、営業損失に比べ親会社株主に帰属する当期純損失の損失幅が大きいのは、営業外費用として、持分法投資損失239百万円(前期は386百万円)※1を計上するとともに、減損損失758百万円※2、投資有価証券評価損167百万円※3を特別損失に計上したことによるものである。

※1 すべてInfinity ARにかかるもの。
※2 Bacsoft(のれん等)及びエンターテインメント関連の工場設備にかかるもの。
※3 Cellebriteが通信技術の獲得等を目的として出資しているCommuniTakeにかかるもの。

財務面では、総資産が「のれん」や「投資有価証券」の減少等により前期末比5.3%減の25,857百万円に縮小した一方、自己資本も内部留保の減少(配当や親会社株主に帰属する当期純損失の計上)により同19.6%減の10,949百万円に縮小したことから、自己資本比率は42.3%(前期末は49.8%)に低下した。ただし、当面の支払い能力を示す流動比率は153.9%(前期末は177.9%)と高い水準を維持しており、財務の安全性に懸念はない。

1. 事業別の業績
(1) モバイルデータソリューション
売上高が前期比6.9%増の15,383百万円、セグメント利益が同97.2%減の25百万円と増収ながら大幅な減益となった。売上高はMLCが同31.1%減と落ち込んだ一方、世界的に需要が拡大しているDIがすべての地区で大きく拡大し、同21.6%増と伸びたことが増収に寄与した。損益面では、MLCの下振れに加えて、販売人件費及び研究開発費※の増加が利益を圧迫し、大幅な減益となった。

※MLCにおける新サービスの開発やDIにおける新たな市場領域(データ分析等)への拡充にかかるもの。

(2) エンターテインメント関連
売上高が前期比7.3%増の8,941百万円、セグメント利益が同11.2%増の725百万円と計画を大きく上回る増収増益であった。構造的な変化(遊技人口の減少等)に加え、規則改正等※に伴い、先行きの不透明感の漂う厳しい業界環境(設備投資の先送り等)が続いているが、遊技機メーカー向けの遊技機部品販売が想定以上に好調であった。ただし、規則改正前の駆け込み需要による影響も大きかったとみられ、今期以降の業績に対する厳しい見方に変わりはない。

※2017年9月4日に公布(施行は2018年2月1日より)された「風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律施行規則及び遊技機の認定及び型式の検定等に関する規則の一部を改正する規則」への対応等の影響から業界全体は厳しい状況が続いている。

(3) 新規IT関連
売上高が前期比3.8%増の1,504百万円、セグメント損失が875百万円(前期は573百万円の損失)と増収ながら損失幅が拡大した。売上高の大部分を占めるM2M通信機器の伸びが増収に寄与した。損益面では、M2Mの損失幅がのれん償却費の減少などにより縮小したものの、販売開始に向けて最終段階を迎えているAR関連の先行費用(販促やマーケティング、研究開発の本格化に伴う費用)が開発遅延等に伴って拡大したことが損失の拡大要因となった。また、O2Oソリューションについても、テイクアウト予約決済アプリが立ち上がってきたものの、業績貢献は小さく、まだ費用が先行している段階である。

(4) その他(ゲームコンテンツ等)
売上高が前期比9.9%減の467百万円、セグメント損失は51百万円(前期は66百万円の損失)と減収ながら損失幅は縮小した。売上高は、スマートフォン向けゲームコンテンツの販売が低調であったことやVRゲームコンテンツの販売時期の変更(期ずれ)等により減収となった。損益面では、VRゲームコンテンツへの開発投資が拡大したものの、一部、セグメント組み替えにより、費用が全社費用に振り替わった。

2. 前期取り組みの総括と今後の方針
前期業績を総括すると、期初計画を大きく下回ったのは、1)MLCの大幅な下振れと、2)新規事業(AR関連、M2M、VRゲームコンテンツ)が遅れたことが理由である。同社では、今後の業績回復と成長加速に向けて以下のような取り組みを行い、方向性を示した点においては一定の成果を残したと評価できる。

(1) モバイルデータソリューション
MLCの下振れは、代替サービスの登場により主要サービス(データ転送)への需要が減少したことに加え、Diagnostics(故障診断サービス)及びMD(多端末対応機)等の新製品・サービスの販売が低調であったことによるものである。同社は、今後もMLCの事業領域による一定のポテンシャルは期待できると評価しているものの、より成長性が高く、Cellebriteが持つ技術的優位性を生かせるDIに経営資源を集中することにより、更なる差別化や事業拡大を図ったほうが得策との判断から、MLCの事業譲渡に踏み切った。一方、DIについては、従来の事業領域(データの抽出等)から、新たな事業領域(データ分析やデータ管理)へ拡充することにより、競争力の強化を図っている。

(2) AR関連
販売開始に向けて準備中の「AceReal」については、実証実験等を通じたマーケティング結果を受けて、顧客からの要求項目の変化(仕様変更)に対応してきたことが開発遅延の原因となったようだ。ただ、別の見方をすれば、顧客との事前すり合わせにより、より利便性や安全性を高める形で製品を進化させることができたとも言える。2019年3月期は、製品完成に注力し、第2四半期よりテスト導入、下期からの本格販売を目指す方針である。

(3) M2M
M2Mの下振れは、M2M通信機器Roosterのリリースが遅れたことに加え、BacsoftによるIoTソリューションの販売不振によるものである。特に、IoTソリューションの下振れが大きかったようだ。同社では、海外での実証実験を本格フェーズへと進めると同時に、国内においてもIoTソリューションを生かした製品及びサービスのパッケージ化を通じて、課題解決範囲の拡張による差別化を図る方針である※。

※実用化に向けて準備中の「おくだけセンサー」等での連携を図っている。「おくだけセンサー」は、小型のセンサーデバイスをデータ(温湿度、磁気、加速度、照度など)を取得したい場所に置くだけで、より簡単にIoT化を実現するものであり、IoTプラットフォームとの連携により、見える化、遠隔監視、遠隔制御や将来的には、取得データの蓄積から分析、AI活用へも展開が可能となる。

(4) VRゲームコンテンツ
販売時期が変更となったVRゲームコンテンツ「DARK ECLIPSE」※1については、2019年3月期での販売を予定している。なお、主な市場の1つである欧州圏においては、ソニー・インタラクティブエンタテインメントヨーロッパ(SIEE)の2ndパーティ※2のタイトルとして販売されることになった。同社にとっては世界展開に向けて力強い後ろ楯を得たと同時に、ソニーグループからの期待の大きさを示しているという点でも評価できる。

※1 「PlayStation®VR」初のMOBA(対戦型戦略ゲーム)であり、独特のファンタジーによる世界観や高いゲーム性、VR酔いに配慮されているところなどに特徴がある。
※2 欧州圏においては、マーケティング、ローカライズ、プロモーション、販売主体がソニーグループであるSIEEとなるということ。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 柴田 郁夫)

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