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【注目トピックス 日本株】オンコリス Research Memo(4):食道がんの放射線併用療法で高い治療効果を示す臨床研究結果が発表

2018年9月5日 8:03

■オンコリスバイオファーマ<4588>の開発パイプラインの動向

1. テロメライシン
(1) 概要
テロメライシンは、テロメラーゼ活性の高いがん細胞で特異的に増殖し、がん細胞を破壊する遺伝子改変型アデノウイルスのことで、腫瘍溶解性ウイルス製剤の一種である。テロメライシンの特徴は、正常細胞にもがん細胞にも感染するが、テロメラーゼ活性の高いがん細胞で特異的に増殖することでテロメライシンを複製させ、がん細胞を破壊していくことにある。アデノウイルス自体は自然界の空気中に存在し、風邪の症状を引き起こすウイルスのため、ヒトに投与すると発熱等の症状が出るが、軽度なものであり人体の安全性には問題がないとされている。また、正常な細胞の中では増殖能力が極めて低いため、副作用も少ない。オンコリスバイオファーマ<4588>では食道がんやメラノーマなど固形がんを対象疾患として、開発を進めている。

(2) 開発状況
テロメライシンについては国内と米国、台湾・韓国にて複数のプロジェクトが進んでいる。

a) 食道がん(放射線療法との併用)
2013年より岡山大学で実施された医師主導の臨床研究では、ステージI〜IIIまでの食道がんで外科手術による切除や根治的化学放射線療法が困難な患者(高齢者等)を対象に放射線療法との併用による治療が実施された。治療期間は6週間で、週5日の放射線治療とテロメライシンを合計3回投与し、腫瘍縮小効果を見ると言うもの。臨床研究の結果については2018年7月の日本臨床腫瘍学会で発表されており、全13例中のうち8例で腫瘍が完全消滅したことが確認されている。

また、2017年7月から同社でも岡山大学の臨床研究と同内容で第1相臨床試験を開始している(治験施設は岡山大学、国立がん研究センター東病院)。全6例中、4例の組入れが既に完了しており、順調に進めば2018年中にも終了する予定となっている。同社ではこれら良好な結果を受けて、第2/3相臨床試験の開始に向けたPMDAとの事前相談を行い、治験デザインの検討を開始しており、2019年からの臨床試験開始を見込んでいる。

第2/3相臨床試験を進めていくに当たっては、いくつか課題も出ている。1つは、対象となる患者を絞り込む必要がある。ステージIの患者については放射線療法だけでも腫瘍が消失する確率が高いため、実際に臨床試験を実施する際にはステージII、IIIの食道がん患者で、かつ外科手術や根治的化学療法が困難な患者に絞られることになる。治験方法としては、放射線療法単独での治療とテロメライシンとの併用療法による治療の結果を比較することになるが、対象患者数が少ないことから治験期間が長期化する恐れがある。このため、同社では放射線単独療法については過去データを援用し、臨床試験は併用療法のみ実施する単群試験をPMDAに提案する意向だ。ちなみに、直近3年間における放射線単独治療を実施したステージII、IIIの食道がん患者の完全奏効率※はおおよそ3割程度であり、岡山大学の臨床研究並びに同社の臨床試験の途中経過とデータ的に差が示唆される。このため、第2/3相臨床試験が実施されれば成功する確率は高いと弊社では見ている。

※治療を受けた患者を分母として完全に腫瘍が消失した患者の割合。30%以上腫瘍が小さくなった患者の割合は部分奏効率と呼ぶ。

今後のスケジュールの見通しについて、2019年に第2/3相臨床試験(症例数30例程度、単群試験を10施設程度で行うことを前提)を開始したとすると、1年半程度で全ての組入れが完了し、半年間の経過観察期間やデータ解析などの時間も考慮すると、製造販売承認の申請時期は2021〜2022年頃になると予想される。また、申請に当たっては早期審査・承認が可能となる先駆け指定審査制度を活用した申請を行う予定にしている。なお、臨床試験の費用については症例数にもよるが、30例程度であれば国内で4億円程度の費用となる見込み。

また、米国でもNRG Oncology※が同様の臨床試験を行う準備を進めており、2019年にも臨床試験が行われる可能性がある。20施設以上で行う大規模試験になる可能性が高いため、同社の費用負担も大きくなることが予想されることから、早期に開発パートナーを見つけていくことが必要となる。

※NRG Oncology:がんの治療法に関するガイドラインの策定や臨床試験を実施する非営利団体組織。臨床試験は国立がん研究所の資金援助によって行われている。

b) 進行性または転移性固形がん(免疫チェックポイント阻害剤との併用)
国内では食道がんを中心とした進行性または転移性固形がんの患者を対象に、抗PD-1抗体であるペムブロリズマブとの併用療法による医師主導の第1/2相臨床試験が、2017年12月より国立がん研究センター東病院等で開始している。症例数は最大で28例(最少で11例)を予定しており、2018年7月時点で5例(食道がん4例、胃がん1例)の組み入れが完了している。主要評価項目は、安全性、抗腫瘍効果、免疫応答等で1年間の経過観察期間を設けている。ペムブロリズマブの単独治療では部分奏効率が15〜18%程度と言われており、併用療法によってこの数値が25%を上回ってくれば、末期食道がん患者の治療法としてその価値が認められると考えられる。

臨床試験では投与量を徐々に増やしながら進めているが、2018年秋からは高投与量群で3例を予定しており、合計11例となる。11例のうち3例で部分奏効が確認されれば、企業治験を開始する可能性もある。今回の臨床試験の終了予定は2020年頃を見込んでいるが、国立がん研究センター東病院では2019年1月に米国で開催される学会で中間報告を発表する予定にしており、その内容が注目される。

また、米国ではコーネル大学が食道がん患者を対象に、ペンブロリズマブとの併用療法による医師主導第2相臨床試験の準備を進めている。早ければ2018年10月頃から北米5施設で最大37例の臨床試験を開始する。米国では対象となる患者数も多いため、2018年内にも10例程度の組入れは可能と見られる。同社は10〜20例程度の結果を見て、部分奏効率で25%を上回れば承認される可能性が高いとの判断から、企業治験に切り替えて進めていく予定にしている。

同社は食道がん患者のうち、ステージI〜IIIについては放射線療法との併用、ステージIVについてはペムブロリズマブとの併用による局所治療コントロール薬としてテロメライシンの薬事承認を目指し、将来的にはがんを切らずに治す治療法として確立したい考えだ。食道がんは米国で年間約1.7万人(2017年)、国内で約2.2万人が罹患しており、外科手術を行う患者も多い。外科手術不要な治療薬としての潜在的なニーズは大きく、今後の開発動向が注目される。

c) メラノーマ(単剤→免疫チェックポイント阻害剤との併用)
米国で第3、4ステージの切除不能、または転移性メラノーマ患者を対象とした第2相臨床試験が2017年7月から開始されている。治療期間は24週間で6週間ごとにテロメライシンを5回投与し、有効性、安全性、免疫応答等を評価する。症例数は最大50例を予定しており、最初の10例は単剤投与試験で局所効果及び全身の免疫効果を確認し、4例以上で効果があると確認されれば単剤投与での臨床試験を継続※、逆に3例以下にとどまった場合は、免疫チェックポイント阻害剤との併用試験に切り替えて進むか、もしくは中止することも選択肢として考えている。現在の組入状況は4例と当初の想定よりも遅れ気味となっているため、治験施設を現状の4施設から8施設に拡大し、2018年内に10例の実施を目指し、遅くとも2019年夏までには今後の開発方針を決定するとしている。弊社では、食道がんでの臨床試験が米国で進む可能性が高いこと、メラノーマでは先発品が既にあり競合が激しいため、同等程度以上の薬効が確認されなければ臨床試験は中止する可能性もあると見ている。

※既に上市している腫瘍溶解性ウイルス製剤「T-VEC」と同等程度の薬効

d) 肝細胞がん(単剤→免疫チェックポイント阻害剤との併用)
台湾の提携先であるMedigenと共同で2014年より、ステージ3/4の肝細胞がん患者を対象とした第1/2相臨床試験を韓国・台湾で進めている。既に単回投与試験12例を実施し安全性は確認されている。2017年より反復投与試験(2週間おきに3回投与)に入り、6例中4例まで終了しており2018年内に残り2例の実施を目指す。肝細胞がんの開発に関しては、最初の12例のデータを持って、中国の提携先であるハンルイが第2相臨床試験の申請を行う予定にしている。自社の抗PD-1抗体「SHR-1210」(承認申請中)との併用療法で開発を進めていく。オプジーボ単剤での部分奏効率が15%程度であったことから、併用療法で25%程度まで引き上げることができれば承認される可能性は高いと見ている。中国ではがん疾患の中で肝細胞がんがもっとも死亡者数が多く、治療薬の開発ニーズが高いためだ。ハンルイでは2018年下期にも治験計画をCFDAに提出し、2019年の早い段階での臨床試験開始を目指している。臨床試験の結果が良ければ、中国以外の他の市場を対象に同社でも販売ライセンス交渉を進めていく予定にしている。

e) 頭頸部変形上皮がん、サルコーマ(放射線治療との併用)
その他の適応疾患として、頭頸部変形上皮がん及びサルコーマ(骨肉腫)※についてもテロメライシンの薬効が前臨床試験において確認されており、今後、医師主導の臨床研究が開始される見込みとなっている。頭頸部変形上皮がんについては熊本大学、サルコーマは岡山大学で進めていく予定だ。特に、サルコーマは外科手術により切除不能な場合は、抗がん剤治療が一般的に行われているため副作用も強く患者負担が大きい。副作用リスクの低い安全な治療薬のニーズは強く、期待度は大きい。

※全身の骨や軟部組織(脂肪、筋肉、神経など)から発生する悪性腫瘍の総称で希少疾患。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)

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