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【注目トピックス 日本株】エイアンドティー Research Memo(6):戦略商品が完成、海外販売ではアボットとの連携強化

2016年3月9日 7:56

■2015年12月期決算

(4)トピックス

次に2015年12月期のトピックスを説明する。

a)品質保証の強化
2014年12月期に掲げた重要方針を継続した。エイアンドティー<6722>の商品は高級品が多く、品質への信頼は同社のビジネスの継続にとって最重要項目の1つと言えるためである。また、薬事法の改正に伴い、医療機器も医薬品同様の厳しい安全規制が導入されたことも影響している。なお、「品質保証の強化」は、ここ数年で終了するものではなく、中・長期的に取り組まれる課題である。

b)国内の直販及びOEMの強化
2015年12月の業績説明で触れたように、人員の拡充と組織変更による直販の拡充、日本電子を始めとした連携強化、古野電気との新規提携など、OEM拡充が図られた。

c)海外販売の強化
強化されたのは、国内販売だけではない。海外販売の拡充も行った。同社は製品開発全般に関して、現在主力の国内向けだけを視野に行うのではなく、海外向け仕様への変更ができるようにすることを前提としている。2015年12月期はこの理念に基づいて開発された海外向け仕様を大きな収益源として期待できる動きがあった。

その第1弾となるのが、2015年5月に供給を始めた分析前工程統合管理モジュール「MPAM+」である。海外仕様に改良されたシステムで、世界最高速レベルの1時間当たり570検体の開栓、540検体の分注、1,000検体の仕分ができる。日本仕様にも搭載されている、急ぎで検査する必要のある検体がある場合、測定する検体の列の中に割り込ませて検査する「ランダムコントロール発信」機能も搭載。さらに、他の搬送システムや分析装置との柔軟な接続が可能となっている。2016年以降、エイアンドティーの前処理工程システムはこの世界市場開拓の戦略商品となる。

また、アボットとの連携強化を図った。アボット側の経営陣の交代をきっかけに話し合いを行い、今後は、検体検査自動化システムの前処理工程システムに特化して供給することになっている。

なお、アボットとは、新たな製品供給の検討打診など、今後、さらに提携関係の強化が期待される。

また、同社が市場成長性に最も期待する中国でも、数年間の提携関係にある中国最大の生化学分析装置メーカーとのOEM販売の拡充を行った。

海外販売の拡充は、積極的に推進し、欧州・中国市場を主なターゲットに電解質センサーの各国規制に対応した品質改良及び開発を進めた。さらに、検体検査自動化システムに関して、中国・韓国の中小規模病院市場を開拓するための戦略製品として、5月に国内に投入したばかりである「CLINILOG STraS」の海外規制対応機種の開発も検討している。

なお、海外事業の売上高は、同社の年商の5%程度であるが、3年後には安定して10%を確保できるようにするという目標を引き続き掲げている。

d)戦略商品の完成
2015年12月期は、「MPAM+」の他にも複数の戦略商品の開発が完了した。まず、5月に発売された中小規模病院向けの検体検査自動化システム「CLINILOG STraS」である。「CLINILOG STraS」は、血液検査に最低限必要な機器をつなげて検査の自動化を実現する。現場ユーザーの声を反映して開発した。同社の顧客は大学病院などの大病院が多く、検体検査自動化システムも大型機種だが、この新製品によって中小規模病院という新市場を開拓する。

同じく5月には、臨床検査情報システムにおける検体検査ソフトウェアモジュール「CLINILAN GL-2」の後継機「CLINILAN GL-3」が発売された。血液検査のデータ処理業務が簡単にできるソフトウェアだが、画面の見やすさや使い勝手を改良している。ユーザーである現場の技師の声を丹念に集めて集約した。同社が2013年に発売した情報統合化システム「CLINILAN Core」とセットで新規・更新需要を開拓する。

e)中国事業
2012年に設立した、中国における合弁事業の問題が解決に向けて大きく前進したこともトピックスである。海外事業は提携戦略を中心に展開しているが、中国には49%を出資した東軟安徳医療科技有限公司がある。合弁では、中国市場向け分析装置を販売している。しかし、予定していた試薬工場の建設が合弁相手である現地の医療システムメーカー、瀋陽東軟医療系統有限公司(以下、瀋陽東軟)の都合で難航し、大きな課題となっていた。

2015年12月期は、この課題を解決するために新たなパートナーを合弁会社に迎えることを決めた。そのパートナーとは、現地の試薬メーカーである威特曼生物科技(南京)有限公司(以下、威特曼)である。同社の年商は日本円で約12億円程度だが、河東及び河南の3省を中心に中国では『二級』と言われる中ランクの公立病院を顧客として事業展開している。威特曼の試薬とネットワークは、そのまま合弁に活用できる。一方で、威特曼は分析装置もネットワークに加えることで事業の拡大が図れる。両社の思惑が一致し、協力体制を構築することになった。具体的には、現在の合弁会社は、2つの段階を経た後に2016年後半をめどに威特曼の法定代表者の熊菁氏が33.65%、瀋陽東軟が55%、エイアンドティーが11.35%を出資する新会社「東軟威特曼有限公司」の完全子会社となり、社名も「東軟威特曼(瀋陽)」に変更される。これにより、中国合弁は、経営を威特曼の総経理である孫文勇氏が担い、エイアンドティーの関係会社でなくなる。

新スキームは、一見すると、エイアンドティーの中国事業の縮小に見えるが、そうではない。今まで、エイアンドティーは、合弁で展開している検体検査装置以外の臨床検査情報システム及び検体検査自動化システム事業に関しても、OEMを除いて、独自に行おうとした場合、必ず合弁を通じて行うこととなっていた。今回の新スキームによって、合弁を通じての販売が不要となり、自由に事業展開できるようになった。エイアンドティーは、中国合弁の足踏みの最大の原因は、マーケティングの欠如にあったと考えている。出資比率は低下したものの、マーケットに精通した孫氏が担う新合弁を通じてマーケティングを強化し、新しいパートナーも探して中国で独自に事業ができる体制を整備していく。このほど、社内の「中国事業推進室」を中心に検体検査装置だけでなく、臨床検査機器システム事業も独自で行う『中国事業の多面的展開』を進めて行く方針である。また、威特曼が持つ試薬は、生化学分野だけであるため、エイアンドティーから試薬を供給する新たな取引も期待できるとしている。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 柄澤 邦光)

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