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【注目トピックス 経済総合】一尾仁司の「虎視眈々」:金融政策を巡る混乱

2016年3月11日 20:01

〇ECB、サプライズの6連射も打ち止め感で混乱

金融政策の限界が指摘されるなかで、ECBは量的、質的、金利の総方向で追加緩和を行い、予想以上の「バズーカ」となった。ただ、その後のドラギ総裁の記者会見で追加利下げの可能性が否定されるとともに、市場は急反転、混乱の金融政策となった。混乱に陥ること自体が、金融政策の限界と受け止められる。

ECBの6発連射は、利下げ(政策金利、上限限界貸出金利、下限中銀預金金利の三つ)、資産買い入れ拡大(月額600億ユーロ→800億ユーロ)、投資適格社債(9000億ユーロ市場規模)を買い入れ対象プログラムに含める、TLTRO(期間4年の条件付き長期資金供給オペ)を6月から4回実施、の内容。社債は通常、無担保なので、ECBがリスクに関するハードルを下げたことを意味し、「クレジット・バズーカ」と呼ばれる。購入対象は国債、住宅担保ローン証券から拡大し、量的緩和の拡大を可能にする。また、TLTROは銀行が企業や家計に融資を拡大するなら、積極的に銀行に利子を払って資金を提供する(積極的な銀行には中銀預金金利が適用される)ことを意味する。

内容的にはサプライズに該当するが、投資家との間にはミスマッチが生じている。例えば、日本市場で海外投資家がマイナス金利の国債を大量買いしているのは、ドル円のベーシススワップ取引(日銀が外債投資を活発化させる政策を取っているため、恒常的なドル不足に陥り、ドルを円に交換すると上乗せ金利が得られる)から、マイナス金利の国債が好利回り商品に化けているためだ。マイナス0.2%程度の5年債利回りはスワップ取引で約2.3%のプラス利回り商品となり、米5年国債の1.3%程度を大きく上回る。2月の海外投資家による中長期債投資は1兆6600億円に膨らみ、海外勢の国債保有比率は10%程度に膨らんでいるとされる。

マイナス金利の異常な状態、世界経済の不透明感から米大統領選の見通し困難まで、先行き展望の立たない状態で、安定的な債券保有バランスが崩れ、勢い投資家は目先の運用益を追求するスタンスに大きく傾いている。

皮肉にも、株式市場でも成長政策を求めながら、目先の株主還元が重視される構図と重なる(昨日のキャノン株の反落も、東芝メディカル買収による成長力よりも財務内容悪化による目先の株主還元後退を嫌気したと受け止められたことが象徴的)。欧州ではスワップ金利の上乗せは報じられていないので、マイナス金利の更なる拡大可能性が重視されるのであろう。ドラギ総裁の追加利下げに否定的発言で乱高下する結果となった。ドイツ株は一時の2%超高から終値は2.31%安に大幅下落となった。市場の短期運用化によるミスマッチと受け止められる。

ただ、欧州だけが全てではない。来週の日銀、米FOMCの見極めに関心は移る。どういう政策スタンスになるかと言うより、結果によって市場波乱を招くかどうか、に関心が高まる構図が考えられる。

以上

出所:一尾仁司のデイリーストラテジーマガジン「虎視眈々」(3/11号)

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