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【注目トピックス 日本株】シノケンG Research Memo(2):投資用の土地付きアパート販売のフロントランナー(1)

2016年3月28日 16:08

■会社概要

(1)沿革

1990年、現代表取締役社長の篠原英明(しのはらひであき)氏が25歳の時に福岡市に(株)シノハラ建設システム(現シノケングループ)を設立。現在でも福岡市に本社を置く。土地を持たないサラリーマン層に土地付き木造アパートを販売するという旧来のアパート経営の常識を覆すビジネスモデルで事業を開始した。その後、順調に事業を拡大し、2001年には東京に進出。2002年にJASDAQ上場を果たした。

土地付きアパートの購入を検討するサラリーマン層は、投資用ワンルームマンションも検討対象になるため、顧客を取りこぼすことがないよう、2003年に東京の中堅投資用マンションディベロッパーの(株)日商ハーモニー(現(株)シノケンハーモニー)を買収した。シノケングループ<8909>は当時経営不振に陥っていたが、投資用不動産という同一カテゴリーであり、立て直しが可能と判断し、当時の経常利益と同水準である約2.8億円の投資を行い、投資用マンションの開発、販売に乗り出した。2005年11月に元一級建築士による耐震偽装事件が社会問題化した際、同社が手掛けたマンションにもこの元一級建築士が関わった物件があった。事件に巻き込まれた他社が補償に難色を示すなか、同社は該当7物件に関し総額30億円の補償を即断し、オーナーから物件を買戻した。このため2006年3月期は約6億円の最終赤字となったが、素早い対応、危機管理能力は、同社の信用をむしろ高める結果となり(返金を受けたオーナーの多くはその資金を元手に新たに同社の物件を購入したという)、翌期の業績はV字回復した。

2007年10月に(株)シノケングループを純粋持株会社とするホールディング制に移行した。リーマンショックを受けた金融機関の貸し渋りにより、不動産の流動性が低下し、2009年3月期に棚卸資産評価損などにより、41.4億円の最終赤字となり、財政状況が毀損した。決算期を12月に変更した2009年12月には小幅の赤字が残ったが、金融市場の落着きを受け2010年12月期に黒字化した。以降、6期連続増収増益と業績は急成長している。この間、M&Aも活用し、介護関連事業、ゼネコン事業など周辺事業へ事業領域を拡大してきた。

(2)事業概要

7セグメントで構成されており、フロービジネスのa)アパート販売事業、b)マンション販売事業、c)ゼネコン事業と、その周辺事業であるストックビジネスのd)不動産賃貸管理事業、e)金融・保証関連事業、f)介護関連事業、g)その他(LPガス供給販売事業など)に大別される。祖業であるアパート販売とマンション販売が収益の柱。アパート販売、マンション販売に連動し、ストックビジネスが着実に積み上がるビジネスモデルになっている。

a)アパート販売事業
同社のコア・コンピタンスと言える事業。担当する事業会社は(株)シノケンプロデュース及びシノケンハーモニー。賃貸需要の高い5大都市圏(東京、福岡、名古屋、大阪、仙台)の市街地の駅から10分以内のアパート用地を同社で一旦取得し、木造アパートを建築したうえで、土地・建物を合わせて個人投資家等(サラリーマン、公務員を中心に医者、自営業、法人、台湾や香港の投資家等)に販売している。創業以来、累計で3,000棟以上を販売してきた。

用地を取得した段階で投資家向けの営業を開始し、用地仕入れから引渡しまでの事業期間はおおむね半年と回転の早いビジネス。

現状のエリア別の販売価格等はおおむね以下のとおり。土地部分に関してはほぼ原価で販売し、アパート建築に関して利益を得ている。このためマンション販売事業に比べ売上高営業利益率は低い。

1棟当たりおおむね7~8戸。一部空室が発生しても投資家は賃貸キャッシュフロー上、致命的な影響を受けないため、原則、同社でサブリース(家賃保証)は行っていない。

b)マンション販売事業
担当する事業会社はシノケンハーモニー。東京圏(東京と一部、神奈川)において投資用マンションを企画、開発し、個人投資家等に販売している。

原則、住戸のタイプはワンルームで専有面積は20~30平方メートルが、条例によるワンルームマンション規制(区によって様々な規制がある)により、一部、40~50平方メートル、あるいはそれ以上の広さの住戸をつくり込む必要がある。未婚化、晩婚化により単身世帯や夫婦のみの世帯が増加していることもあり、2013年1月に実需用マンション販売チームを新設し、こうした広めの住戸については投資用だけでなく実需用としても販売を開始した(販売戸数全体に占める実需は1割に満たない程度)。

2015年9月には東証JASDAQに上場している(株)プロパスト<3236>と資本・業務提携し、DINKS向けの住戸部分の販売や用地仕入れ情報の相互紹介などで協業する方針。なお、プロパストは、小川建設を2014年2月に買収する際(後述)、小川建設の資本上位会社を買収する形を取ったが、当該会社が小川建設の株式の100%のほかに、プロパストの株式の15.4%を保有していたため、付随的にプロパストの株式を取得することになった。2015年9月の資本・業務提携により、プロパストの第三者割当増資約2億円を引受け、出資比率を19.5%とし、プロパストを持分法適用関連会社とした。

2009年12月に福岡で投資用マンション事業を展開する(株)えんを持分法適用関連会社化し、福岡で開発した投資用マンションをえんに1棟卸を行っていた。その後、個人投資家向け販売により充分な販売先を確保できていることや、経営資源の選択と集中のために2015年3月に資本・業務提携を解消した。それ以降、福岡では開発を行っていない。

アパート販売事業と異なり、投資用マンションについては、原則、サブリースにより家賃保証をしている。投資用マンションは、1戸のみの購入だと入居者の入れ替わりにより空室が発生すると一時的にせよ賃料収入が完全になくなり、投資家にとって空室リスクが高いためである。サブリース賃料は2年ごとに見直しているため、同社の逆ざやリスクはない。

c)ゼネコン事業
2014年2月に買収し、完全子会社化した小川建設で事業展開している。小川建設は明治42年創業の建築系の中堅ゼネコン(土木は手掛けていない)。本社は新宿区で、関東圏を中心に、マンションをはじめ教育施設、病院、事務所などの建築請負を幅広く行っている。他の投資用マンションの開発業者からの受注もある。老舗で相応の技術力、知名度があったが、リーマンショックによる取引先の破綻による貸倒や銀行の貸し渋りを受け2009年1月に民事再生法適用申請に至っていた。

小川建設を買収した主目的は、マンション販売事業におけるマンション建築の内製化。東日本大震災以降、建設技能労働者不足が顕在化し、ゼネコンが受注を拒否するような事態も起きていたため、安定したマンション供給を行うためにグループ内にゼネコンを持ちたいと考えたもよう。ただし、コスト競争力を持たせるため、外部のゼネコンにも発注しており、2015年12月期の内製化率は約50%であった。

d)不動産賃貸管理事業
ストックビジネスの中核となる事業。(株)シノケンファシリティーズにおいて、賃貸住宅の入居者募集、家賃回収及びメンテナンス等、賃貸住宅経営を全面的にサポートする賃貸管理事業を行っている。2015年12月期末の賃貸管理戸数18,261戸(前期末比3,230戸増)のうち18,000戸近くが、同社グループが開発したアパート、マンションで、若干、他社が開発した物件の管理も行っている。約14,000戸がアパート、約4,000戸がマンション。2015年の平均入居率は97.1%と非常に高水準だ。

このほか、(株)シノケンアメニティが東京で、(有)マンションライフが名古屋圏において、マンション管理事業(管理組合からの受託)、ビル管理事業を展開しており、清掃や設備点検などを行っている。マンション管理戸数は2015年12月期末で3,705戸(前期末比591戸増)。

e)金融・保証関連事業
(株)シノケンコミュニケーションズにおいて、家賃の滞納が生じた場合に、滞納家賃を立替える家賃滞納保証業務を行っているほか、同社グループからアパートを購入しようとする個人顧客が自己資金と金融機関からの融資だけでは購入資金が不足する場合に同社から不足分を貸付けるバックアップローンを行っている。ただし、近年は金融機関の不動産融資姿勢が非常に緩和しているためバックアップローンの必要性が薄れていることから、ここ4~5年は新規の融資実行はない。

2015年12月期末の家賃滞納保証件数は13,955件(前期末比2,155件増)、保証残高は8.1億円(同1.5億円増)。延滞率は0.52%と非常に低位に抑えられている。新規の入居者には必ず加入してもらうため、着実に増加している。保証件数が賃貸管理戸数よりも少ないのは、約10年前に当該事業を開始する以前に入居してからまだ入れ替わっていない入居者がいるためで、時間の経過とともに賃貸管理戸数に近付いていくことになる。

また、50%を出資する子会社のジック少額短期保険(株)において、同社グループが販売したアパート、マンションの入居者向けに家財保険を販売している。

賃貸住宅の入居者やオーナーのニーズをくみ取り、2014年7月には同社独自商品である「孤立死原状回復費用保険」や「ストーカー対策費用保険」などの特約が付帯できる新たな家財保険「生活安心総合保険」の販売を開始した。高齢化社会の進展により賃貸住宅オーナーにとって高齢単身者の受入れは避けて通れない時代になっているが、従来の保険では孤立死した被保険者の法定相続人しか保険金を請求できず、身寄りがない場合には賃貸住宅オーナーが費用を全額負担せざるを得なかった。「孤立死原状回復費用保険」(特約)では、賃貸住宅オーナーを被保険者とすることでこの問題をクリアした。高齢単身者にとってもこの特約に加入することにより賃貸住宅への入居が容易になるため、社会的意義の高い保険と言える。

f)介護関連事業
担当事業会社は(株)シノケンウェルネスとその完全子会社である(株)フレンド及び(株)アップルケア。

東京と福岡で3棟のサービス付き高齢者向け住宅(サ高住)を保有、運営しているほか、大阪、東京でグループホーム6棟を主として保有、運営しており、2017年6月には福岡で新たにグループホームを開設予定。東京と福岡ではデイサービスも展開し、各施設の利用者に対する訪問介護サービス等の提供も行っている。

また、既存の若年層向け賃貸マンション、アパートの空室をリニューアルし、24時間介護サービスの付いた高齢者向け賃貸住宅とする「楽らくプラン」というサービスを展開している。有料老人ホームに入所するのに比べ格段にリーズナブルで、生活の自由度も高く、このビジネスモデルは2013年度グッドデザイン賞を受賞した。

このように幅広い要介護度に対するサービスをワンストップで提供できる体制が整ってきている。

g)その他の事業
当該事業の中心となるのは、LPガス供給販売。そのほとんどは当社グループが販売したアパート、マンションの入居者に対するもの。担当する事業会社は(株)エスケーエナジー、(株)エスケーエナジー名古屋、(株)エスケーエナジー東京であり、福岡、名古屋、東京の3拠点で展開している。2015年12月期のLPガス供給世帯数は15,569世帯(前期比2,528世帯増)。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 堀部 吉胤)

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