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【注目トピックス 日本株】3Dマトリック Research Memo(3):CEマーキングを使った医療製品登録による販売展開を進める

2016年4月4日 7:49

■業績動向

(2)主要パイプラインの今後の動向

○吸収性局所止血材(TDM-621)
止血材の動向を地域別に見ると、国内においては2015年3月に一旦取り下げた臨床試験の再申請に向けた協議をPMDA(独立行政法人医薬品医療機器総合機構)と継続して行っている状況にある。適用領域は前回と変わらず、プロトコルに関しては、対象領域ごとの止血効果の評価方法などまとめている模様で、残すは症例数の設定をどうするかという点となっている。スリー・ディー・マトリックス<7777>では前回実施した臨床試験のデータを援用することで症例数を抑えたい意向であり、そのための検討を進めている。前回の臨床試験では97症例だったが、今回は比較試験を実施するため100~200症例程度と見られる。再申請時期としては前回と変わらず2016年4月期中に行い、2017年4月期第1四半期の臨床試験開始を目指すとしている。このため、4月までに実施されるPMDAとの協議によってプロトコルを最終確定したい考えだ。

また、北米地域では米国で2013年2月にFDAにIDE申請(治験計画届に相当)を行い、プロトコル設定に関する協議を行ってきたが、ようやく協議も終盤を迎え、あとは臨床試験開始の承認を得る段階まで協議が進んでいる模様。症例数はほぼ当初の見込みどおりとなったもようで、順調に進めば2016年4月期中に承認を得て、治験を開始できる可能性がある。また、CEマーキング適用国であるカナダについても、医療製品登録申請を早期に進めていく予定となっている。

欧州、アジア・オセアニア、中南米市場においては、2014年1月に欧州で取得したCEマーキングを使った医療製品登録による販売展開を進めている。欧州では英国、ドイツ、スイス、フランス、スペイン、イタリア、北欧で販売代理店と契約を結び、医療施設への販売活動を推進している。前述したように販売計画は当初の見通しを下回っているが、販売先は着実に増加しており、製品に対する不具合も現段階で発生しておらず、導入した医療施設からは良好な評価を得ている。このため、同社では販売代理店で製品の習熟度を上げるためのトレーニングを実施していくこと、また、英国、ドイツ、フランスなど主要国では代理店を増やしていくことで販売力を強化し、販売先の開拓を強化していく方針となっている。

同社でも大口取引先がある英国では新たに子会社を設立し、専任担当者をつけるほか、フランスやオランダの子会社においてもマーケティングスタッフを増員する。欧州のスタッフ数に関しては早期に現状の約1.5倍まで増員する予定だ。こうした取り組みによって、販売先となる医療施設数は2016年秋までに100ヶ所程度まで拡大し、また、同社の止血材を使用する医師の数も増やしていくことで、売上げの拡大を目指していく。

なお、焦点となっている独占販売権許諾契約の交渉先に関しては、従来と変わらず欧米3社と同時並行で進めている。ただ、契約締結の時期は当初見込みの2016年4月期中が困難となり、2017年4月期以降にズレ込むこととなった。契約締結に時間を要している理由は3社とも異なっているが、共通していることは、販売・使用実績データの更なる積み重ねが必要であるという点にある。使用実績は既に100症例を超えているものの、領域ごとに見れば心臓血管外科領域のデータが少ないなどバラつきがある。このため、これら不足しているデータの補強が今後の契約締結に向けての課題となる。同社では既に販売している欧州やアジア地域、並びに当第4四半期から販売を開始するオセアニアや中南米市場での販売強化を進めていくことで、2017年4月期の契約締結を目指していく考えだ。現状では1社と独占販売権許諾契約を締結し、現在、販売している顧客の引き継ぎを行う予定としており、契約額も従来と同じく約20億円の水準を見込んでいる。

アジア・オセアニア地域では、香港とインドネシアで既に販売を開始しているほか、第4四半期には既に医療製品の登録承認済みであるオーストラリア、シンガポール、マレーシアの各販売パートナー向けに初期ロット分で各数千万円の売上げが見込まれている。また、韓国でも販売パートナーのデウンがCEマーキングによる医療製品登録の申請を2015年1月に行っており、順調であれば今年中に承認取得できる見通しとなっている。承認取得後には初期ロットの販売が開始されるほか、マイルストーン収益も見込まれるが、まだ流動的なことから2016年4月期の計画には織り込んでいない。

その他、2015年7月にタイ、ベトナム、フィリピンにおける独占販売権許諾契約を締結したデウンは、タイで医療製品の製品登録承認を2016年1月に取得しているが、現時点ではまだ販売に向け調整しており、販売開始は2017年4月期以降となる見通しだ。また、ベトナム、フィリピンについては今期中の製品登録申請を行う予定となっている。2015年12月にシンガポール、マレーシア、ブルネイでの独占販売権許諾契約を締結したTransmedic社では、既に各国での販売が可能となっていることから、当第4四半期以降、逐次販売を開始する予定となっている。なお、中国市場に関しては現在、複数の販売パートナー候補先企業と交渉を進めている段階にある。臨床試験について共同で進める意向であり、条件がまとまれば、早ければ2017年4月期から臨床試験に入る可能性がある。

中南米地域では、2016年2月にメキシコのGenelife S.Aと販売権許諾契約を締結したほか、同月に医療製品登録承認も取得したことから、当第4四半期から販売を開始している。Genelife社とは2017年4月期以降最低購入額の契約を結んでおり、2017年4月期の売上高としては数千万円程度見込まれる。また、チリでは販売代理店の選定を進めており、当第4四半期中の契約締結、販売開始を予定している。その他、ブラジル、コロンビアでは既に医療製品登録承認を取得しており、現在は販売パートナーや販売代理店との交渉を進めている段階にあり、2017年4月期の上期中には契約を締結し、販売を開始する予定となっている。

そのほか、同止血材に関しては、消化器の内視鏡的粘膜下層はく離術(ESD)後の創傷治癒への応用に向けた取り組みを慶應義塾大学病院にて医師主導治験として実施してきた。2015年11月に100例以上の症例結果をまとめた学術論文が発表されており、その中で「ESD後の治療部位に止血材を塗布することで、術後出血の予防や瘢痕化による創傷治癒の遅延防止効果が得られるなど良好な結果が示された」との報告がなされたことから、同社では2017年4月期中にも開発を進める意向を示している。止血材の新たな適用領域拡大につながることになり、売上げの成長ポテンシャルも一段と高まることが予想される。

○粘膜隆起材(TDM-641)
外科的内視鏡手術で用いられる粘膜隆起材に関しては、2014年12月より国内で臨床試験を開始したが有効性をより明確にするための製材改良が必要との判断により、2015年2月に一時中断している。動物モデル(ブタ)では容易にポリープの切除が可能であったが、臨床試験では一定割合で切除しにくい症例が発生する模様だ。このため、今後の開発計画について検討中である。

○歯槽骨再建材(TDM-711)
米国での上市を目指している歯槽骨再建材に関しては、当第1四半期より開始した第2段階の臨床試験の登録患者数が2016年1月末時点で予定数(12例)に達し、骨形成を確認するための経過観察で1年程度かけ、結果が良好であればFDAに2017年春頃にも製造販売承認申請を行う見通しだ。また、同データをもって欧州でもCEマークの取得申請を行う予定で、販売パートナーへのライセンスアウト活動も同時期に進めていく予定となっている。

○創傷治癒材(TDM-511)
創傷治癒材に関しては、2015年2月に米国のFDAより市販前届(510k)の承認を取得し、販売の許認可を得ている。同社では他の薬剤とのコンビネーション(抗生物質、抗がん剤、ヒアルロン酸等との混合投与)による治療効果の増大により、製品としての付加価値向上が期待できることから、今後はコンビネーション材として開発を進めていくことを基本方針としている。このため、現在は「PuraMatrixTM」を医薬品メーカー等に販売し、協業の可能性を探っている段階にある。ただ、一方で単材としても医療機器メーカーから商品化の引き合いがあることから、今後はパートナーシップ契約を結び事業化を進めていく予定となっている。

○siRNA核酸医薬用DDS(TDM-812)
国立がん研究センターとの共同プロジェクト「RPN2※標的核酸医薬によるトリプルネガティブ乳がん治療」における医師主導型の臨床第1相試験が2015年3月より開始されている。同治験では「がん幹細胞」に特異的に発現するPRN2遺伝子をターゲットとし、その発現を抑制する核酸(PRN2siRNA)と、同社の自己組織化ペプチドA6K(TDM-812)をキャリアとするDDSを組み合わせた製剤の安全性評価を行うもので、症例数は30症例を目標に、経過観察を含めて2017年夏頃までかけて臨床試験を行う予定。

※PRN2…がんの転移・浸潤・薬剤耐性を担うターゲット遺伝子。siRNAは分解性が高いといった特性があり、ターゲットのがん細胞に届くまでに体内で分解されるといった課題があったが、A6Kとの複合体にすることで分解が抑制される効果があり、がん細胞に確実にPRN2siRNAが送り届けられることになる。既に、イヌの自然発症乳腺腫瘍症例において、核酸医薬としての有効性が確認されており、ここ最近は製薬企業からの問い合わせも増加するなど注目度が高まっている。

乳がんにおける核酸医薬での臨床試験は国内でも初の取り組みとなり、試験結果が良好であれば企業主導型の試験への移行、及び大手製薬企業へのライセンスアウトの可能性も出てくる。また、乳がん以外の他のがん腫にも応用が可能なため成長ポテンシャルも大きく、今後の動向が注目される。

なお、2016年3月にA6Kを用いた「がん幹細胞を含むまたはそれに由来するがんの治療としての適用」に関する特許が日本で成立したことを発表している。このことは、A6Kが今後の核酸医薬用DDSとして有効な医療材料となり得ることを示したものとして、評価されるだろう。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)

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