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【注目トピックス 日本株】アンジェス Research Memo(3):最も注目される開発パイプラインは重症虚血肢向けのプロジェクト

2016年4月5日 16:26

■主要パイプラインの開発計画

アンジェス MG<4563>の主要開発パイプラインは、自社開発品であるHGF遺伝子治療薬とNF-κBデコイオリゴ、他社導入開発品となるCIN治療ワクチンなどがある。

(1) HGF遺伝子治療薬

○重症虚血肢向け
HGF(肝細胞増殖因子)遺伝子の血管新生作用の効果を活用して、重症虚血肢とリンパ浮腫向けの治験が実施されている。同社の開発パイプラインの中で最も注目されているのが、重症虚血肢向けのプロジェクトとなる。重症虚血肢の患者数は米国だけで推定50万人とみられており、このうち血管内治療や外科的バイパス手術など既存の治療法の適応とならない、またはリスクの高い患者に対して有効な治療法が開発された場合に創出される市場規模は約50億ドルと推計されているためだ。

重症虚血肢とは重症の末梢性血管疾患を指し、血管が閉塞することによって血流が止まり、下肢切断を余儀なくされることもある重篤な状態を指す。HGF遺伝子治療薬を血管が詰まっている部分周辺に注射投与することによって新たな血管を作り出し、血管新生による血流回復によって症状の改善を図る効果が期待されている。

国内では大阪大学医学部附属病院が主導となり、先進医療B制度を活用した医師主導型臨床研究を実施しており(2014年10月に1例目の投与開始)、6例のデータを持って条件及び期限付承認制度を活用した承認申請を2016年内に行うことを目標としている。治験デザインとしては1ヶ月ごとに2回投与し、2ヶ月の観察期間を設けており、主要評価項目として痛み、潰瘍の改善を挙げている。2016年内に承認申請を行うには、少なくとも秋までには観察期間を終える必要があるが、実施する医療施設は6施設あり、被験者のスクリーニングを進めている段階にある。症例数が少ないことや、今回はデータの再現性を確認するものであることから、観察期間を終えて結果が良好であれば、承認申請を行うまでの時間は通常よりも短期間で済むものと考えられる。

一方、海外では第3相のグローバル治験を2014年10月からスタートしている。症例数約500例を欧米、アルゼンチンの100施設以上の医療施設で実施していき、まずは2019年頃に米国、その後に欧州で承認申請を行う予定となっている。治験施設の開設スピードは当初の想定よりもやや遅れ気味ではあるものの対象施設数の半分以上まで進んでおり、症例数も積み上がっているもようだ。治験デザインとしては、2週間に1回の投与を4回繰り返すのを1クールとし、合計4クールを行い、観察期間は投与開始から18ヶ月となっている。また、主要評価項目は下肢の切断・死亡に至るまでの期間となっている。

販売提携先は田辺三菱製薬で、日本と米国における販売権許諾契約を締結している。また、欧州エリアについては現在、販売提携先を探索中となっている。

○リンパ浮腫向け
リンパ浮腫向けに関しても、HGF遺伝子治療薬の投与により、「リンパ管の新生」が動物実験において確認されたことから、2013年10月より原発性リンパ浮腫を対象として、POC※の確認を目的とした第1/2相の臨床試験を行っている。この試験の2014年および2015年に発生した費用の一部にはNEDO(新エネルギー・産業技術総合開発機構)の補助金が充てられている。

※POC(Proof of Concept):基礎的な発見が実際の臨床試験でも起こることを検討し、治療コンセプトの正しさを確認すること

リンパ浮腫とは、リンパ管の障害によりリンパ流が停滞することで手足等が高度に腫れる疾患のことで、日本における推定潜在患者数は原発性リンパ浮腫で約3,000人、二次性リンパ浮腫で10万人以上とみられる。二次性リンパ浮腫に関しては、子宮がんや乳がん術後の発生率が高く、最近では加齢によるリンパ浮腫も増える傾向にある。治療法は理学療法(弾性着衣、リンパマッサージ等)、薬物治療、手術などがあるが根治療法はいまだなく、HGF遺伝子治療薬がその候補として期待されている。同社では第1/2相の臨床試験を終了後に、次の開発ステージ(更なる臨床試験の実施やライセンス契約等)に移行する予定となっている。

(2) NF-κBデコイオリゴ(核酸医薬)

NF-κB(エヌ・エフ・カッパ・ビー)デコイオリゴ核酸は、核酸合成機で作成される比較的短い人工核酸により遺伝子の働きを制御する「核酸医薬」の一種で、生体内で免疫・炎症反応を担う「転写因子NF-κB」に対する特異的な阻害剤となる。このNF-κBデコイオリゴ核酸による治療法は、1995年に同社の創業者である森下竜一氏により発明された。主にNF-κBの活性化による過剰な免疫・炎症反応を原因とする疾患の治療薬として、研究開発を進めている。

○アトピー性皮膚炎(軟膏剤)
対象疾患の中で最も開発が進んでいるのがアトピー性皮膚炎向けとなる。アトピー性皮膚炎患者のうち、顔面に中等症以上の皮疹を有する患者を対象に、2015年3月より第3相の臨床試験を国内で開始し、2016年2月に最後の症例の観察期間が終了し、臨床試験が実質的に完了した。現在、治験データの収集を行っている段階で、順調に進めば2016年上半期中に結果が発表される見込みとなっている。良好な結果が得られれば、2016年内の承認申請を予定している。現在、アトピー性皮膚炎の治療薬としてはステロイド剤などがあるが、副作用への懸念があることから、NF-κBデコイオリゴが承認されれば十分市場を開拓できる可能性がある。国内で結果を出したのちに、さらに市場規模が大きい海外への展開が期待される。

○血管再狭窄予防(薬剤塗布型バルーンカテーテル)
メディキットと共同開発を進めてきた薬剤塗布型バルーンカテーテルの臨床試験は、既に最後の登録患者の観察期間も終えており、現在は各患者のデータ回収・解析作業を行っている段階にある。2016年上半期中に結果が発表される見込みとなっている。結果が良好であればメディキットが2016年内に承認申請を行う予定で、2017年中の承認取得が期待される。透析シャント静脈狭窄を対象疾患としているため、国内での市場規模としては小さいが、今後は市場規模の大きい欧米市場への展開や適応疾患の拡大も視野に入れている。なお、薬剤塗布型バルーンカテーテルは従来も抗がん剤を使ったものが販売されているが副作用への懸念があり、同社開発品が承認されればシェアを獲得する可能性は十分あるとみられる。

共同開発した製品は、バルーンの外表面に抗炎症作用を持つNF-κBデコイオリゴDNAを塗布することで、バルーン拡張によって引き起こされる血管炎症の抑制、血管の再狭窄までの期間延長、及び外科的手術の回避が期待されている。

○椎間板性腰痛症(注射投与)
椎間板性腰痛症を含む腰痛疾患を適応症とした治療薬となり、患部に注射投与することによって、慢性腰痛に対する鎮痛効果とともに、椎間板変性に対しても有効な可能性がある新しいタイプの腰痛治療薬として期待されている。国内において2013年3月に国内で日本臓器製薬(株)と独占的開発販売権許諾契約を締結したが、2014年12月に契約を解消している。相手先の開発方針の変更によるもので、NF-κBデコイオリゴの安全性に関しての問題が原因ではない。これを受けて、同社でも同領域での開発を米国で行っていくこととした。米国での椎間板性腰痛症の患者数が多いことに加えて、本薬の治療に必要な手技に精通した医師が多いこと、標準的な治療方針に本薬のような椎間板変性を抑制する薬剤が一致するなど、市場を開拓していくうえでの環境面で適していると判断したためだ。

椎間板変性などを原因とする腰痛症に対する治療薬は、現在のところ消炎鎮痛剤などを用いる対処療法しかなく、椎間板変性の進行抑制や修復を促す効果が期待できるNF-κBデコイオリゴの開発動向が注目される。米カリフォルニア大学にて第1/2相の臨床試験の実施に向けて現在準備を進めている段階にある。

(3)子宮頸部前がん病変治療ワクチン(CIN治療ワクチン)

韓国のバイオリーダース社から導入したCIN治療ワクチンは、子宮頸がん前がん状態の組織を退縮させ、子宮頸がんへの移行、円錐切除手術を回避する効果が期待される乳酸菌L.caseiをベースとした経口剤となる。子宮頸がん予防ワクチンとの違いは、予防ワクチンが子宮頸がんの原因ウィルスであるヒトパピローマウィルス(HPV)未感染者を投与対象者としているのに対して、CIN治療ワクチンは既に子宮頸がん前がん病変であるCIN2/3ステージ(中程度~高程度異形成、上皮内がん)の患者を投与対象とした治療薬ということにある。CIN2/3ステージの全世界の推定年間罹患者数は約1,000万人とも言われており、潜在市場規模は大きい。

現在は東京大学医学部附属病院にて、医師主導型探索的臨床研究を実施している。これまでの発表結果(2014年9月リリース)では、CIN3を対象とした試験において、投与した17症例において有害事象の発生がなく、適用量を服用した被験者の70%で前がん病変の明らかな退縮(投与開始後9週目)が確認されている。同附属病院ではさらにCIN2を対象として40症例の試験を実施中であり(厚生労働省からの補助金を使用)結果を待って次の開発ステージに移行する可能性がある。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)

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